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新メンバーのご紹介|白石由己

2022年5月1日付にて、新メンバー白石由己さんがDNXにジョインしました。

元ベンチャーキャピタリストであり、また直近ではM&Aでエグジットした教育系のスタートアップの共同創業者を務めてこられた白石さん、今回ベンチャーキャピタリストとしてDNXにご参画いただきました。
白石さんは、大学卒業後に富士通に入社、その後大学院を経てバイオテックやハードテック分野を強みとするベンチャーキャピタルの執行役員として活躍。その後、同ベンチャーキャピタルの投資先に副社長として転職し、オーストラリアの上場企業へ事業を売却。投資家と経営者の両方をご経験されてきた貴重なキャリアをお持ちです。

この度、倉林との長年のご縁もありご一緒いただけることになりました。Principalとしてご参画頂けることを、チーム一同とても嬉しく思っています。

今回は、白石さんのこれまでのお仕事のお話と、倉林との出会い、今回のキャリアチェンジに対する想い、今後のビジョンについてご紹介します。

白石 由己
富士通を経て、バイオテックとハードテック分野のベンチャーキャピタルの執行役員に就任。その後、投資先に副社長として移り、オーストラリアの上場企業への事業売却を実行。製造業とBtoC分野の企業の社外取締役を歴任した後、2010年にエドテックのCLEARNOTE(旧アルクテラス)を共同創業。副社長として資金調達、資本業務提携、管理業務、国内事業開発を担当。2021年に大手文具企業に売却し、2022年よりDNX Veturesに参画。

慶應義塾大学経済学部、同大学院経営管理研究科(MBA)修了。ベンチャーキャピタリストとしての活動の他に、高校や大学でアントレプレナーシップ教育の講師を数多く務める。


この度、DNXのチームの一員となりました白石です。
私がスタートアップの世界に初めて触れたのは、2002年でした。当時は慶應ビジネススクールの大学院生で、ベンチャーキャピタル(VC)の創設にインターンとして参画しました。毎日が刺激的で、起業家と伴走できる仕事に夢中になり、そのまま卒業後もVCに残りました。その後、投資先のに経営者として転身し、以降、独立した社外取締役として、そして共同創業した経営者として、スタートアップの世界で20年間を過ごしてきました。

2022年という節目の年に、DNXという素晴らしい実績のあるVCに参画したことを嬉しく思います。自分の20年間のスタートアップの経験を投資先の起業家に還元でき、かつ自分自身も更に成長できる舞台に立つことを日々楽しみたいと思います。

スタートアップで起こりうるハードシングスをすべて経験!?

前職のスタートアップはEdTech(教育分野)で、2010年に創業し、2021年に大手文具会社に売却しました。共同創業者(COO&CFO)として11年間、スタートアップで起きることのハードシングスを全て経験したのでは?と思うほど困難の連続でした。とりわけCFOとして責任がある資金繰りにはとても苦労しました。日次単位で管理しなければならない局面を迎えたこともあり、社員に給与が払えなくなる悪夢をよく見ました。
 しかし、幸運にも、エクイティの資金調達はシリーズDラウンドまで実施でき、最後は大手企業へのグループインに至りました。多くのエンジェル(友人)、国内外のVC、事業会社(CVC)の方に出会い、資金的な支援のみならず、会社売却などの大事な意思決定のタイミングで助言を頂けたことは私の大きな財産となりました。
 この財産を次に活かせる仕事として、VCは自然と選択肢となりました。また、前職の会社にエンジェルとして出資してくれた友人の一人が、DNXの倉林陽でした。倉林とは富士通時代の同期で、新人研修の時の席が前後という縁もあり、お互いに富士通を辞めてからも長く交流が続いていました。この不思議な縁を大切にしたいとも思い、決断しました。

20年のスタートアップ経験を活かして必要な支援を

スタートアップでの経験を活かして、起業家に寄り添うベンチャーキャピタリストになりたいと思います。海外では王道のキャリアでもあるスタートアップ経営者のVCへの転身ですが、日本ではとても少ないと聞きます。VCに入ることを関係者に報告しましたが、一番印象に残った反応は「なんで今さら投資家に戻るの?」でした。逆に言えば、スタートアップ出身という希少性のあるキャピタリストになるチャンスだと受け止めます。

「起業家ファーストで寄り添う」というとカッコよく聞こえますが、経営者と優先株主であるVCの立場には同じ船であっても違いがあり、緊張感のあるガバナンスと関係性の中で、信頼関係を築くのは簡単なことではないと想像できます。そこに大きなチャレンジがあります。

特に、DNXは投資をしたら投資先のボード(取締役会)に入ることを大前提としており、社外取締役としての責務を果たしながら、投資先の成長にコミットしなくてはなりません。チームの一員として、担当する投資先としっかりコミュニケーションをとりながら、過去の財産を活かして必要な支援を行いたいと思います。

挑戦領域はサイエンスを源泉とした領域のソフトウェア

私は、これからのSaaSの可能性をとてもポジティブにとらえています。日本の企業1社あたりのSaaS平均利用数はいまだ8個程度(*1)で、アメリカの企業のそれは110個(*2)と、調査や国の背景に違いがあるにせよ、あまりにも大きなギャップがあり、日本国内の余地は広大です。アジアパシフィック全体に目を広げても、IT支出におけるクラウドの浸透割合は僅か4.7%しかなく(*3)、SaaSの可能性に賭けることの余地と意義は高いと考えています。
 SaaS領域の投資で有名なBessemer Venture Partnersの最新レポートでは、" We believe this business model may be the best on the planet"(*3) という言葉があります。DNXに参画するからには、この姿勢を私も貫きたいと思います。

(*1)メタップス調査, 2020
(*2)State of SaaSOps, 2021
(*3)State of the Cloud 2022

投資領域として挑戦したい一つは、サイエンスを源泉とした領域のソフトウェエア(SaaS)です。私はバイオテックに特化したVCに在籍していましたので、ディープテックに代表されるサイエンスとテクノロジーのフロンティアにとても関心があります。

俯瞰すれば、従来からサイエンスリンケージが高い医薬品・化学・情報産業から、サービス業(金融、小売、医療福祉)・製造業(自動車)といったサイエンスリンケージが今まで低かった分野にも、AIに代表されるサイエンスが浸透してきています。

SaaSに投資するDNXは、産業を越えるホリゾンタルなスタートアップ、産業に特化したバーティカルなスタートアップ、どちらにも投資できる視座をもっています。言い換えれば、ハードウェエアの製品化に走りがちなディープテック領域であっても、ハードに依存しない、ハードを支えるソフトウェエアという切り口を見出し、ホリゾンタルあるいはバーティカルな事業を展開できる企業に投資できる胆力がDNXにはあります。国内外の専門家のネットワークにアクセスしながら、革新的なスタートアップを創造していきたいと願っています。

DNXチームの一員として、これからの挑戦を日々楽しみたいと思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。


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