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【韓国ビジネス】久しぶりに韓国ドラマを見て思い出した事件

カンボジアからの帰国後、Netflixを数年おやすみしていたが、北朝鮮ウォッチャーとして”愛の不時着”がとても気になり遂に再開し見事沼にハマり、梨泰院クラスも一気見。無事沼にハマったものの、韓国社会が怖くなった仕事で起きた事件を思い出した。それなりにトラウマなのと、同じような目にあう人が出ないことを祈って書きます。

1.韓国とのビジネス

韓国は数えきれないほど行ったことがあるが、1年半前の出張の際にソウルの京畿道で起きた事件が起きてから一度も行っていない。買い物しに、ご飯を食べに行きたい、マッサージ行きたい、と思いつつも、行くならチェジュ島とかだな〜と自然に思っていた。

日本の社会も大概だが、韓国の社会はそれなりに闇という認識は、リベラルな人間であっても報道やドラマ、コラムなどを見て持つ印象だと思う。芸能界を見ていても自殺者や逮捕者が続出したり、歴代の大統領は退任後、捕まったり自殺したりとただ事でない。そして、大抵の映画やドラマは財閥や金持ちが登場し、そして暴力で結果を出すような反社会的な存在が登場してくるが、それもあながちフィクションではないと思うことも多い。

そんな印象だったが、もちろん韓国が嫌いとかそういう感情はなかったし、旅行にも行っていた。そんな中で前職で韓国担当になった。

前職の海外事業の立ち上げにあまり能力のある人がいなかった事によるミス選定だったと信じており、多くの企業はそれなりにまともだと思ってはいるが、取引先(フランチャイジー)がドラマに出てくるような完全なる金持ちによるファミリーカンパニーで、ダメ企業だった。

社長の旦那も社長業をしているとのことだったが、芸能人の友達たくさんいるよ!と言ってくる胡散臭いやつだった。そして私の上司が旦那を調べたところ、前大統領にかかっている疑惑に関与した人だとYoutube上で告発されていたりするなど完全に反社でアウトなファミリーだった。
(もちろん、会社規模としては、愛の不時着のセリの家族の会社や、梨泰院クラスの長家には全然及ばないが)

そのような企業なので、やはりやりとりをしていてもあまり信頼感を持てる企業ではなく、店舗の衛生環境もよくなく、私が韓国を担当していた頃のチームは常識的で論理的なメンバーだったので取引先の対応、韓国マーケットのクオリティコントロール、売り上げのコントロール、新店舗計画など何をするにも毎度困っていた。また、ハングルが通じることを良いことに、事件の前から、韓国出身の上司は、日本人に見えないところで取引先の経営陣に詰められたり、セクハラ・パワハラを受けていたらしい。正直、当時の担当者はみんな常識を持っていたため契約を切り、距離も近くマネジメントしやすいので直営での展開への方向転換を切に願っていた。

2.暴行未遂事件発生

そんな矢先に起こった事件。仕事の後、店舗のあるショッピングモール付近にあるカルビタンスープの美味しい焼肉屋さんで私、韓国出身の上司、取引先の日本人社員の女性3人で安定のソジュのビール割を飲んでいたところ(3人とも安定のザル)近隣の店舗の店長さんも合流してきた。

その店舗は他店にも増して男性スタッフが多く、店長が軍隊的な規律を持ったマネジメントをしていたのでちょっと落ち着かない感じは前からしていた。儒教や兵役の影響で男性の中での上下関係って日本にもましてめんどそうで大変そうだな・・・と感じていた店舗であった。

その店長が合流するなりソジュを飲みまくっていた。店長は英語はあまりできないので、通訳してもらったり、韓国出身の上司が1on1で話していたりする感じで和気藹々とした良い雰囲気だった。話も弾み、ラストオーダーもすぎ客も周りにはいなかったし、何時閉店かわからないけど追い出される気配もなく韓国のお店は若者に優しいな〜!なんて思っていた。

しかし、事件は突然起きた。

店長が韓国出身の上司に向け一方的に話はじめ、上司が、俯いてごめんなさい、と言ったり、手を差し伸べたり(和解の握手のような?)し始めた。何この感じ?韓国あるあるなのか?ドラマでもあんま見たことない・・・ちょっとおかしいぞと思い店長を見ると顔が酔ってベロベロ、グラスを持つ手も少し覚束なくなっていた。

すると突然店長が立てと叫び、上司も立つと机越しに上司に殴りかかった。私はとっさにそのグーを手で止めた。上司は私より小柄だから守らないと反射的に手が出てしまった。

机を回ってこちら側に来そうだったため、取引先の日本人の方も止めようとして少し吹っ飛ばされた。私はすかさず凶器になりそうな皿をしれっと隣のテーブルに写してけが人が出ないようにし、私も店長を元座っていた椅子に戻るよう促した。ハングルで言ったのか英語で言ったのか、日本語でキレたのか覚えていないが、とりあえず戻った。

何が起きたのかよくわからないが、店長はタバコを吸いに外に行った。私たちは男性が暴力を振るったという事実にびっくりし、いない間に解散する準備を始めた。

お会計も終わらせて外に出て、何かを喚いている店長をタクシーまで引きずり、押し込んだ。言葉が話せないので最前線にいたわけではなかったが、一番店長に近いところに上司がいて、タクシーに引きずり込まれそうになったため(この時危害を与えるようなことを言っていた模様)引き離し、私たちはその場を離れてタクシーを探すことにした。

取引先の日本人の方は帰宅し、私は上司と一緒に明洞のホテルに戻りその日はとりあえず就寝をし、私は予定通りの翌日の便にて帰国した。上司は、自分の受けた恐怖と、自分の国で部下をこのような目にあわせてしまった責任を感じて本当に辛かったと思う。

3.暴行未遂事件のその後

翌日、上司は焼肉店に戻り、防犯カメラの映像を入手し、私たちの会社の社長や上長に送りつけた。業務時間外で飲みの席とはいえ、これまでの取引先の愚行と合わせてもありえないことだと考えたから。

流石に会社も動き、まず日本にいた私にヒアリングをしてきた。ただ、ハングルがわからないので話の真意はまだわからなかった。

後日上司に聞いたところ、殴られる直前に店長は日本側への不満を口走っていたようだった。アイデアをいつも日本側は却下する。と。日本側からすると、ちゃんと取引先社内でアイデアを揉んで、費用対効果について明らかにした上で検討したいため、詳細の提出を依頼をしているが返答がいつもなく、検討を開始することができない状況だった。それを私たちのせいにされたということは完全に取引先の組織の機能不全の問題であるとしか考えられず、完全なるとばっちりであった。

以前から契約不履行問題があったことから、状況を把握したマネジメントが急遽ソウルに飛び、MTGが行われた。そこでは、事件現場にいた取引先の日本人の社員や取引先の管理職が口を揃えて暴力はなかった、と言い出したため、動画を見せたら黙ったとのことだった。まさか、そんなことはなかったと言い出すなんて。とても驚いた。韓国の社長はこういう指示を出すんだと驚いた。

その後、店長はクビになり、店舗も売り上げが芳しくなかったことから閉店になったものの、取引先が、この事件が起きた理由が店長と私の上司の痴情のもつれという着地点に向けて動き始めた。この方向性に落ち着かせることの悪質さと、ジェンダー観点での違和感で全方位への嫌悪が生まれた。

そして何故か私たちの会社の声のでかい優秀な女性社員を嫌うマネジメントたちもそれを信用し、法的手段にも、契約違反扱いもしてくれなかった。さらには、そのストーリーをその後に入ってきた社員にも伝えるなど非常に悪質対応をされた。何故が被害者側にも非があるようなことを私たちが退職するまでずっと言われていたのかとても意味がわからず、社員を守る気のない会社だと完全に分かった、そこからもう会社にはいられないと思い、退職を決意したのであった。

4.まとめ

もちろん全ての韓国の企業がこのように酷い企業ではないことは重々承知している。ただ、このようなドラマに出てきそうな典型的なヤバい企業やヒトは日本よりもリアルに存在していて、遭遇率が高そうだと感じている。日本だと本当の金持ちほど心に余裕がある、なんていうけれども、隣国はそうじゃないのかもしれない。

特に、梨泰院クラブでのタンデムvs長家の抗争では本当に色々と震えた。ああ、こういう考え方しているんだろうな、ととてもリアルに感じた。だからこそ、パク・セロイを心底応援したし、彼に共感してくれる強い仲間に囲まれ突き進んでいくこの過程の社会的な意味は計り知れないと思った。

韓国にはいい人も企業もたくさんあるはずなので、この嫌な経験を払拭できるような日が来ると良いなと韓国ドラマの沼に陥りながら思っている。








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