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出張におみやげ要る?

今週 GFC(グローバルファイナンスコンファレンス、って長いわ!)という会社のイベントが開催されていて、ここジュネーヴに世界各地の財務責任者が集結しておりました。

今や香港法人の CFO であるキャンディも来ていましてね。8ヵ月ぶりに再会する喜びを分かち合いました。

CFO になって 1年以上たったキャンディがあんまり変わっていないことは、うれしくもあるのですが。
相変わらずスッピン&無造作ヘア&質素な服装なのはいいとして、CFO らしさがないというか・・・。

このイベントに集まった現地法人の CFOたちは、半分以上が女性です。
この機会に本社のお偉方にアピールしようと、皆さん気合が入っているわけですよ。直前に美容院に行っただろうし、入念に勝負服を選んだのがわかります。
CFO オーラを放出しているんです。
かたやキャンディは、普段着で来ちゃった?なんならコンビニに行った帰り?みたいな軽妙さでイベントに参加していました。
おそらく最年少なのと、アジアから来たアウェイ感で萎縮しているかもしれない、と思いましたが、並み居るエネルギッシュな CFOたちとも打ち解けていたので、余計な心配だったようです。

見た目は変わっていないけど、振る舞いとメンタルはたくましくなっているのね。

とまあ、そんな話はさておき。
キャンディは、おみやげ (souvenir) ですと言って、香港から持参したお菓子を参加者たちに配っていました。
これには私も失笑を禁じ得ませんでした。
出張者がおみやげを持参するのは、ジャパニーズサラリーマン特有の伝統ですが、香港人も同じことするんだね。
しかも、キャンディが持参したのは、香港のダウンタウン (Causeway Bay) で買ってきたような駄菓子的シロモノ。
これを各国の CFOたちに配る強メンタルよ。

一方、日本支社の CFO(男性)も、やっぱりおみやげを持参していました。
こちらはさすがにフォーマル感高めでした。
なんと、「とらや」の羊羹ですよ。小型羊羹の詰め合わせみたいなやつ。

別の意味で、失笑を禁じ得ませんでした。

そういえば、去年受けた異文化研修で「おみやげを渡す」は日本人のビジネスマナーの要諦だったっけ。

このパロディのような研修の所作をまんま実践している日本の CFOよ。
一周回ってスタイリッシュだと思いました。


かつて日本の会社に勤務していた私は、この “おみやげ文化” がメンドクサイな、と感じていました。
出張者が持参するおみやげも。休暇中のプライベイト旅行後に職場に配るおみやげも。それができない奴は社会性が欠如している、みたいな空気が嫌だったな。

でも、これ悪くないかもね。
日本、あるいはアジア特有のカルチャーとして。
日本人は一種の形式美として、見た目もテイストも古風な老舗の御菓子を持参する。
香港人はカジュアルに、これ巷で人気なんだよ、みたいなノリで、ジャンクで美味な駄菓子を持参する。
どちらも喜ばれます。

日本人がそうするからといって、例えばヨーロッパ人が日本に出張するときに同じことをする必要はありません。
同様に、ヨーロッパにそういう習慣がないからといって、日本人がおみやげ文化を廃止する必要もないと思いました。

つまり、「いただいたからお返しする」みたいなことではなく。
来訪者がおみやげを持参するのは日本特有の文化なのだから、たとえそれが一方通行であろうとも、give & no take でもいい。
カルチャーの違いを純粋に楽しめばいいと思うのです。

日本の会社と付き合い始めたヨーロッパ人は思っています。

あいつら、毎回 souvenir を持参してくる。
甘さ控えめなヨーカン。マッチャ風味のチョコレート。びっくりするくらい柔らかいふわふわスフレ(のようなお菓子)。
次はどんな souvenir を持ってきてくれるんだろう。
ああ・・・日本からの出張者が待ち遠しいよ。

そんなささやかな心遣いが微笑ましいグローバルファイナンスコンファレンスでした。