見出し画像

コロナが明けた東京にて

出張で東京に来て 1週間たちました。
前回の一時帰国では、日本で感じる違和感について書きました。

今回感じたことも記しておこうと思います。
日本に住んでいる方にとっては、「え?そんな細かいこと?」と思えるかもしれませんが、海外在住者は日本のそんな細かいことが気になるのです。
今回の東京滞在中に気になったことどもを、小ネタ的に集めてみました。


朝のラッシュを避けるため、取引先との商談を午前10時にセットした。
9:40 に溜池山王から銀座線に乗ったら、車内は足の踏み場がない混雑だった。
時差出勤のせいで、9時台が混むようになったのか、と合点した。

この状況で、80% の乗客が何かにとり憑かれたように電話機を見ている。
20年近く前に東京で勤務していた頃は、車内で新聞や雑誌を読んでいる人がいた。すぐ目の前に立っている人が読んでいる新聞の裏面を盗み読んでいたものだ。
現在は、すぐ横に立っている人の電話機が丸見えで、その画面がいやでも目に入ってくる。
この際、隣の乗客(30代男性)が電話機で何をしているのか観察してみた。
Yahoo ニュースをすごい速さで下にスクロールしている。
記事をクリックする気はないらしい。読みたい記事がないのか、見出しだけ目を通すことにしているのか。
それにも飽きたらしく、某 SNS サイトに移動した。同じように下にスクロールしていくが、興味を惹かれるものはないようだ。
次に、メールをチェックし始めた。未読メールを開けては閉じを繰り返した後、やはり下にスクロールする。
その後も、ニュースサイト、SNS、メーラーを行ったり来たりしている。

彼は、何かを読んでいるというよりは、電話機をもてあそんでいるだけか、電話機の操作自体を楽しんでいるように見えた。
ちょうど子供が手遊びをするように。

車内が少し空いてきたとき、車内の広告が同じ広告一色であることに気づいた。
某英会話学校の広告だ。
中吊りから両サイドまで、100% 同じ会社の広告である。
20年前と同じ眺めにデジャブを感じた。
日本で英会話学校に通うことの無意味さに、人は気づかないのだろうか。
20年同じ広告をやっている=効果がないことを証明している、とは考えないのですか?


次の日の午後に銀座線に乗ったら、外国人比率の高さに驚いた。
銀座線沿線には、浅草・上野・渋谷といった外国人観光客の聖地があるからだろう。
外国人は乗車マナーが悪い。
一人が二人分の座席スペースを占拠する。大きな声でしゃべる。リュックがぶつかりまくる。ドア付近に立って、乗降客に道を空けようとしない。
海外生活が長い私からすればフツーの光景だが、お行儀の良い東京生活者はイラっとくるだろうなと思う。
外国人観光客の増加によって日本がフツーの国になっていくのが、良いことなのか悪いことなのか、複雑な気持ちになる。

電車を降りるときに、後ろの人に靴のかかとを踏まれ、靴が半分脱げた。
振り向くと、30代と思われる日本人女性が「あーっ!ごめんなさーい!」と血相を変えて謝ってきた。私はとっさに微笑んだが、あまりのオーバー謝罪にこっちが戸惑った。そんなに私の見た目がコワいのだろうか、と落ち込んだ。

ところで、東京メトロの駅名はどうしてあんなに長いのだろう。
Tameikesannou
Shirokanetakanawa
Kiyosumishirakawa
一生覚えられる気がしない、とスイスから同行した同僚らが呆れていた。
香港から来ているキャンディは、多少日本のことを知っているほうだが、
「Asakusa と Asakasa を混同してしまう」
と言う。
「Asakasa・・・? どこそれ?」
と訊くと、
「私たちのホテルがあるところ」

Akasakaだよ!


Asakusa と Asakasaだったら、私でも区別できんわい。
キャンディを Akasakasakasu に連れて行ったらどうなってしまうんだろう。

日本はもっと外国人に覚えてもらいやすい駅名を考えるべきだと思う。
Ginza, Kanda, Hiroo, Kiba は合格だ。


海外生活者にとって東京での食事はどれもが夢のような体験なので、ふらりと入った適当なお店でも十分満足な食事体験ができる、と考えがちである。
必ずしもそうではない、ということを今回私は学んだ。
東京の飲食店はピンからキリだと思った。
ひどいところはひどいのだ。
コロナを経て、品揃えとサービスの質が落ちたのかもしれない。
情報なしで入ったやる気のないお店で、せっかくの日本メシ時間を台無しにしたくない。私にとっては、日本でいただく 1回 1回の食事が貴重なのだ。

そこで、あらためて思ったのだが、ネットの口コミ情報は絶対に見たほうがよい。
食べログなどのレーティングは詐欺まがいでアテにならない、ということを承知のうえでそう思う。あの数字は一定の目安にはなるし、口コミを 3件も読めばほぼ正しい感触を得られる。

例えば、平均レートが 3.5 を超えてくるお店は、まず間違いない。

浅草にて
御成門にて

フリーの夜、私は新橋周辺の居酒屋に一人で行くことが多い。
すると毎回見かけるのが、40~60代の男性 3人と 20~30代の女性 2人、みたいなグループである。
そして、必ずと言っていいほど聞こえてくるのは、男性陣のなかで最年長とおぼしきオッサン(じいさん)が説教じみた話をし、女性陣が素直に相槌を打ちながら見えすいたお世辞を言うやりとりだ。
日本の会社は全然変わってないな、とせつなくなる瞬間である。

サラリーマンのオアシス新橋はやはり世界最強だと思う。
安くて旨いお店から、高くてもっと旨いお店まで、フルラインナップが揃う大人の街だ。
ただ残念なのは、客層がやや品性に欠けることである。
一人で食事をする私にとって、他の客の会話は楽しい BGMであってほしい。
メチャメチャおもしろい話をしてくれとは言わない。ただ、こっちの酒までまずくなるようなお説教や自慢話はやめにしてほしいだけです。

以上、とりとめもなく書いてみました。
東京での仕事を終えて、スイスと香港の非日本人メンバーたちがホームに帰って行ったので、私の日本滞在はこれからが本番です。
以下のことを守って、日本を楽しもうと思います。
✅1回の食事も無駄にしないこと
✅オッサンを温かい目で見ること
✅他人の電話機をのぞかないこと