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どうせ成果はデタラメなのだから

Yuitaさんの記事に反応しました。

記事から引用します。

例えば開発の成果をガンガンだして評価高い人が、部下に辛くあたって辞めさせて、人事が採用数の成果をあげても全然人材が定着してないとか。事務が効率をあげるために導入したソフトは事務の人の入力時間を減らして画期的な成果として表彰されてたけども、あれになってから全従業員の入力の手間を増やしてるとか。それって時給✕人数だと、ものすごく出費じゃない?
全体最適化できてると思えない。
成果っていったいなんなんだ?
元気?って毎日声をかけてる派遣マダムのほうが定着に貢献してても評価しないよね。

Yuita, Ph.D.

くぅー。わかるぅー。

こういう例、世の中にゴロゴロ転がってますよね。
それどころか、こういうパターンのほうが主流になっちゃってる。

とくに、目標管理制度 (MBO) を導入している組織では、わかりやすい成果、手っ取り早く成果を出しやすいプロジェクトに走る傾向があります。
このテのプロジェクトには必ず副作用がある。
ときに副作用は、本来の成果を上回るマイナスをも生む。
プラスマイナスゼロどころか、マイナス。

私が真っ先に思いつくのは、業務システムの導入です。
業務効率アップとか ”IT化” と言われると、誰も抗えない。
もちろん方向性は悪くないし、システムの導入が成果を上げることもある。
しかし往々にして、全体としてマイナスになっていることが多い。
Yuitaさんが例に挙げられている、特定部門の手間は減ったけど、全従業員の手間が増えた、なんてのはその典型でしょう。

日本企業の IT化が遅れているのはたしかだと思いますが、グローバル企業は何でもシステム化しようとしてかえって非効率を招いたり、社員を疲弊させているケースが後を絶ちません。

うわべだけの成果を評価し、マイナス面には目を瞑る。
それとは逆のパターンが「元気?って毎日声をかけてる派遣マダム」です。
数値化しにくく、ゆえに評価シートの「成果」に書きにくいことだけれど、じつは途轍もなく大きな成果をもたらしている。

目に見えやすい成果 > 見えにくい成果
ハデな成果 > ジミな成果
マイナスの副作用を伴う成果 > プラス効果しかない成果
制度に乗っかりやすい成果 > 制度に無視される成果
どう見ても、両者の成果はフェアに扱われていません。

以上のことは、多くの人が薄々気づいているはずです。
だから 360度評価のようなアイデアも出てくる。
360度評価それ自体もまた、成果を狙ったプロジェクトみたいなものですが、全従業員の仕事を増やすというマイナス面が大きい。
そもそも、1人の上司から評価されるのもストレスなのに、メンバー全員から評価されるなんて生きた心地がしない。

じゃあどうしたらいいかって?
評価そのものをやめたらいい。

評価制度なんてものがあるから、クソどうでもいいプロジェクトを思いつく連中が後を絶たないのです。
「派遣マダム」は、評価制度などなくても同じように振る舞います。
評価制度でトクしている善人っていますか?
評価制度がなくなって困る人っていますか?

もしかして、評価制度がないと、社員がやる気をなくすとでも思っているのだろうか。
そんな考えをもつ経営者や管理職は、人間理解から学び直したほうがいい。
本質的に人とは、「善い」と思うことを自ら進んでやる生き物なのですよ。

上から評価されるために取り組む仕事。
自分が「善い」と考えて取り組む仕事。
どちらが真の成果を生むでしょうか?

自分が「善い」と考えた仕事で成果を出した人は、成果そのものが報酬なので、他人の評価など求めません。

世の中に完璧な評価制度があるのならいいですけどね。
そのようなものを私は寡聞にして知りません。

世にある評価制度の弊害は、有害な仕事が増えることだけではなく、
有害な仕事を作り出すタイプの輩を上に昇進させてしまうこと。
うわべの成果で点数を稼ぎ、アンフェアな目に遭った人たちを一顧だにしないような人間は、どんな上司になるでしょうかねぇ。

公正さfairnessなど端っから存在しないのですよ。
私の貢献をわかってくれる人がいるはず、とか期待してはいけないのです。
そんな人はいませんから。
仮にいたとしても、その人も自分のことで精一杯なんです。

何もわかっちゃいない奴のデタラメな評価に一喜一憂するの、もうやめようぜ。