見出し画像

なぜ社会学なのか

ゆうです。
今日は、あたしが今やっていることについて、なぜそんなことをやっているのか説明したいと思いました。

あたしは、名古屋大学の文学部人文学科を卒業しています。
学部に在学中は、おもに哲学と思想史を専攻していました。
普通に就活して、トヨタ御三家と呼ばれる自動車部品の会社に就職しましたが、1年数ヵ月で辞めました。
引きこもり期間の後、地元の親友とともに香港へ渡り、そこで「世界の普通から」(以下、世界さん)に出会いました。

香港に 3年住みました。
その間、世界さんのご家族とかかわっているうちに、人生のリセットボタンを押してもっと自由気ままに生きよう、という思いが育っていきました。
2022年、日本に帰国し、八王子にキャンパスがある大学の聴講生となり、「学びなおし」を始めました。

聴講生って自由でね。
学位は取れないけれど、気の向くままいろんな講義に出て、学部生や教授とも話せて、飲み会に誘われたりもするんです。
あたしは現役学生だった頃に親しんだ分野だけでなく、自分の知らない世界の講義にも出るようになりました。
経済学、人類学、法学、経営学、情報科学、生命科学、心理学、などなど。
どれもマニアックすぎてあんまり理解できなかったけど、そういう学問分野があるって知っただけでもムダではなかったと思っています。

結論的に感じたのは・・・
「〇〇学」みたいな科学 (science) として確立しちゃってるものはダメだなってことでした。
理論とか体系ってやつに固執していて、それ自体が目的になっちゃってる。
「学」の目的は、世界と人間をより良くすることだとあたしは思っていて、その手段でしかないものが目的化しているように感じたんです。

たとえば経済学。
はっきり言ってつまらない。
数式まみれなんですよ。
たしか世界さんの note記事に、「経済」の語源は「経世済民」であり、それはサイエンスではなくアートだ、みたいなことが書いてあった。
アダム・スミスは、市場原理ではなく「道徳」を説いた人だった。
カール・マルクスは、経済ではなく「社会」のあり方を問うた人だった。

大学は、そういう本質を教えずに、定式化された説をなぞることに終始している。
サイエンス原理主義みたいになっていて、二言目にはエビデンスは?なんてしょーもないことを言う。

この世界を混沌とさせているのは人間なんです。
その人間が作り出した経済や法や情報などに、自然科学的アプローチが通用するはずないんですよ。

そこであたしは考えました。
人間を研究しなきゃダメだってこと。
それも個々の人間を研究するのでは不十分で、人間の集合体である「社会」を解析することが不可欠だと思いました。
たとえば、個々の人間は善良なのに、それが「社会」という非人称になると暗黒みを帯びてくるのはどういうわけなんだろう。

もういちど経済学を例にとると、経済学にはミクロとマクロってのがある。
ミクロ経済学は、個々の人間の行動にフォーカスしているけど、そこで想定してる人間はホモ・エコノミクスという、現実の人間とは似ても似つかない架空のモデルなんです。
一方、マクロ経済学は人間を無視して数式と数字ばかり扱ってる。

哲学は、人間の本質に深く入り込むけれど、それが形成する共同体の解明に至っていない。
経済学は、そもそも生身の人間を扱っていない。
あたしの知りたいことはそのどちらにもないんです。
そして出会ったのが社会学でした。
日本ではマイナーな学ですね。「社会学部」なんて学部を設置している大学はほとんどないでしょう。就職にも不利そうだし。

あたしが知りたいのは自分の経験にかかわることです。
たとえば、せっかく入った会社でどうして 2年も続けられなかったのか。
社会に適応できなかったあたしが悪いのか。会社の風土に問題があるのか。社会のシステムに欠陥があるのか。
それがわからないうちは、この社会で生きていける気がしないのです。

ヒトは弱い生き物です。弱いから社会をつくった。その社会が弱いヒトをさらに苦しめるようになってしまったとしたら。
群れから離れて生きることは、確実に生存確率を低下させる。
群れのなかで生きるのがつらい人は、苦しみ続けるしかない。
どちらにも救済がないのなら、第三の最適解を見つけたい。それがあたしにとっての社会学です。

今は大学院生として人文科学研究科にいます。
社会学の学位を取り、大学で生きていくつもりです。
どこまでやれるかわかりませんけどね。
第一の目的は、あたし自身の生存戦略を見つけること。
第二に、この社会で生きづらい人を救済することです。
生存戦略とは、食うための策ではありません。自分自身の欲求と社会の態度との間に折り合いをつけながら、安らかな心持ちで生きる。ただそれだけのことです。
それだけのことが最も難しい時代だと思うから、この閉塞した世界の片隅に安住の地を見つけるため、あたしは社会について深く理解したいのです。


(追記)
「ゆうの学びなおし」初回の投稿記事です。

この記事が参加している募集

#とは

57,847件