わたしは夜中にひとりで四股を踏む
父親入院16日目。
今日お見舞いに行ったら随分と上機嫌だった。わたしは鬱の浮き沈みの“沈み”の時期に入っていてぐったりとした気持ちで病院に行ったので愛想笑いを決め込んで会話は母親に全て任せていた。
リハビリを毎日やっていて、ベッドから自力で車椅子に乗り洗面台まで行くこともできたらしい。入院してから横になっている姿しか見たことがないので驚いてしまった。凄い、2週間と少しでそこまで回復するなんて。思わず倒置法になってしまうくらい凄い。
父親の入院生活を見て感心したのは、身動きができず食事も摂れない状態の時から父親は朝晩しっかり歯を磨いていたし、髭も剃っていた。寝たきりの人間がこんなに身だしなみに気を使っているのは見たことがない。
わたしが警部膿瘍という首の病気で2週間入院したときは髭なんて一回も剃らなかった。歯は磨いていたが、患部が首なので振動がいかないようにおっかなびっくりさすさすと歯ブラシを歯に擦り付けるだけだった。
父親は頭を12針も塗ったのに普段と同じように歯を磨いている。偉い。
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