donor_10_End_太陽と詩人

太陽は(も)夢を見る
遠ざかる意識に身を横たえて
カラダに刻まれるそのビートを
時に心地よく時に疎ましく思う  

頭から爪先にかけて
とろっとした液体が流れていく
あたたかくもつめたくもない温度
きっともうこれは夢の中だと
判断して太陽はねむる  

太陽はねむる  

詩人は想像力でもって液体となり
太陽のまわりをぐるりと囲みこんだ
熱に溶けぬように太陽の呼吸に合わせて
気体と液体を行ったりきたりする
太陽が完全にねむっていることを
確認すると、詩人は
おそるおそるその地表に手を置いた  

…熱くない
というか冷たいくらいだ
真っ赤に燃え滾っていた太陽なのに  

詩人はその場で胡座をかき考える
「おかしいなぁ」と首をひねる  

詩人の首はぐにゃりと曲がり
やがて360度廻って元の位置に戻る
まだまだ思考が止まないので
詩人の首はいつまでも
ぐるぐるぐるぐる廻る  

詩人はぐるぐる  

詩人は諦めて太陽に話を聞こうとする
地表をポンポンと叩き起こそうとする
(首はまだぐるぐる廻っている)  

しかし太陽は気持ちよさそうに
ねむったまま起きようとしない
太陽は(も)夢を見る  

詩人は太陽の夢の内容を
想像する(わからない)  

ぐるぐるぐるぐる
ぐるそのうちにねむる
詩人もいつかはねむるぐる  

しかし太陽の地表の手ざわりについて
ねむってしまう前にもう一度考える
詩人は想像するのが好きな生き物なのだ  

「実態」というものがない詩人は
感情だけが強く立体的に存在する
「手ざわり」というものがない詩人は
涙という液体に時おり姿を変える  

太陽は(も)夢を見る
詩人もいつかはねむるぐる



この詩はdonor_10
「太陽と詩人」の続きです  

donor_10 /akira osawaさん キキさん  

akira osawa さんのTumblr
http://sodawater829.tumblr.com/

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