エンジェル投資家という職業

先日献本されたジェイソン・カラカニス(Jason Calacanis)の「エンジェル投資家」を読んでみた。訳者の滑川さんがテッククランチで書評を書かれている。

彼の名前を初めて聞いたのは、2010年当時Evernoteのボードオブザーバーだった時、会社の2回目のラウンドが終わった後のCap table(株主名簿)に、何人かいる個人投資家の一人として発見した。その後、色々なイベントやアクセラレーターなどで見かけるようになった。見た目小さいおじさんで、本書でも書かれている通り周りの人たちは、あまりいい印象を持ってないような言い方をされていた。その後もエンジェルリストなどで、シンジケート投資のリーダー(発起人)をするから、参加しないかというメールが多数来るようになって、同じく胡散臭いかな、とも思っていた。(もっともメールは本人ではなくエンジェルリストから自動で送られて来るものだったけど)

この本を読んで初めてどういうことをしている人か知ったのだが、エンジェル投資家を職業としてやっている人ってそんなにいないし、ちょっと前の感覚だと、スタートアップで成功した元起業家とか、昔からの金持ちで余剰資金である意味税金対策でやってる人というイメージがあったけど、この人はエンジェル投資家を職業としてあえて選んでやっているようだ。もっとも最近では、アドバイザー、エンジェル投資家をメインにやっている人はだいぶ増えたが、これは彼の功績も関係しているのかもしれない。

この本はどうやったらエンジェル投資家になれるかを指南している。シリコンバレーのエコシステムにとって、起業家のアイデアやプロダクトを「ビジネス」に変えるために一番最初に関わるプレーヤーとして重要な役割を果たしているのだが、彼に言わせると大学生や資本がない人でもなれるということらしい。もっともエンジェル投資家に必要な資質を備えているという前提であるが。

一番最初にリスクをとるエンジェル投資家がいるからこそ、シリコンバレーの多産多死からユニコーン・デカコーンを生み出す土壌が成り立っているとも言えるが、翻って日本がシリコンバレーのようなスタートアップが次々と生まれる土地にするには、これらエンジェルが相当数出てこないと難しいと思う。手っ取り早いのは、大企業で長年、技術や人脈を気づいてきた人たちが、ジェイソンも行ったようなアドバイザーというポジションで、まずは始めてみるというのもありだと感じる。副業としてできることってこういうことも含まれると思うし、大企業にいたとしてもスタートアップに役立つということがわかってくれば、エンジェル投資家としての資質を築くために、まずは大企業につとmという若い人たちも出て来るだろうし、少し希望を示せるのかもしれない。

https://jp.techcrunch.com/2018/07/12/book-review-angel-calacanis/

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