大企業のイノベーションの実状に関するレポートby CB Insights

CB Insightsによる企業のいわゆる経営企画部門(英語だとcorporate strategy)の役員含めたエグゼクティブたちへのアンケートから分析した大企業のinnovationに関する調査レポート。

結論としては、innovationの取り組みに成功しているもしくは新規事業が貢献している企業の多くは

・First Mover: 最初に動くこと
・Risk Take: リスクを積極的に取りに行くこと
・CEO Ownership: 社長自らが取り組みに参画すること(判断すること)

の3点に、そうでない企業との差があるという。私のブログでこれまでも言っている内容と全く同じ結果となった。

成功の条件はわかるとして、逆にうまく行っていない企業では

・talk the talk but don't walk the walk: 有言不実行
・focus on incremental innovation: 小さく地続きの変化
・take an insular view on innovation: 自前主義

というところが原因とみているようだ。

それ以外にもよくある内容も散見される。

新製品、サービスに関するアイデアからローンチまで、1年以上かかる企業が60%(そのうち2年以上は25%)だったり、新規事業(アイデアの事業化)のプロセスは正規ルート化されておらずその都度ベースで議論される、つまり既存事業の範疇(事業規模やKPI、過去の成功体験などの感情論)で議論されるのでなかなか目がでない、とこの辺もさもありなんという感じ。結局は聖域作って、そこからはみ出るなということだろう。有言不実行の部分と重なるけど、「うちも何か手を打たないとと慌ててとりあえず、xxイノベーション推進部だとかオープンイノベーションxx事業部だとか作ろう」とか、「競合の取り組みがメディアで紹介されたのをみて、うちもやるべきだ」とか、本質的な部分の変革ではなく表層的にやってる感を出しているだけという、仏作って魂入れず状態だろう。

興味深いのはこの調査は日本に留まらず、世界各国の企業を対象に行った調査ということ。洋の東西問わず、いわゆる大企業病によるイノベーションの阻害要因は同じということか。細かい要因は各社個別事情もあるだろうが、根本は同じところでつまづいている。大企業のイノベーションのブームがきてからそれなりに時間が経ち、そろそろベストプラクティスがでてきて欲しいところではあるが、大企業が本気でイノベーションを大事にするのであれば次の一手が必要になってきているということだろう。

レポートはこちらから↓↓

https://www.cbinsights.com/research-state-of-innovation-report

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