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ロックンロールがきこえる

職場で音楽を聴きながら作業をしていたら、やれ代表電話に気付かないから、だの、質問しづらいから、だの、諸々の文句をつけられたことがあるので、なんとなく音楽を聴きながら作業するのは職場では忌避してきた。マイクのついたイヤホンが小さくなってくれたから、今となってはデスクでオンラインの会議に入っていることも珍しくなく、音楽を聴いているのと見た目ではなんら変わらないことに気付いた。そういうわけで最近は音楽を聴きながら作業をしているわけだけど、やっぱり自分の好きなものが絶え間なく耳に流れているのはテンションが乗るし、そういうわけで筆も乗る。働かない人たちのどうでもいい話もシャットアウトできるので精神衛生も良くなる。今のところデメリットが見当たらないのでおそらく今後も音楽を聴きながら作業をしていると思う。

ただ、音楽を聴く、というか楽しむにあたってはTPOは気にする必要がある。どれだけ好きな曲で気持ちが乗っても職場で口ずさんでしまったりノってしまってはならない。足でビートを刻もうものなら同僚から怪訝な目線を投げられることだろう。公衆の場では極力何食わぬ顔でいて、何事もなさそうな佇まいに徹し、心の奥底で盛り上がる「ポーカーフェイス」力を磨いているのだと自己暗示をかけよう。そういう訓練なのだと割り切れば案外楽しかったりするわけだ。しかしながら、同じ公衆の場と言ってもコンサート・ライブを見るときは場合によっては全身で盛り上がってもいい。その場合はどうやって見極めればいいかというのは、まず主催者がどうのこうの言ってる場合はそれに従えばよい。続いて演目が始まったときの周りの雰囲気を眺めてやればよい。そもそもロックバンドのライブはたいがい音楽自体の音量が大きかったり、会場が暗かったり、オールスタンディングだったりするので、人ひとりが多少どうしようが誰も気にしないくらいにはなる。

そうはいっても限度というものがあるので、たとえばよく言われるのはボーカルに合わせてずっと歌うな、とか、よくわからんコールを入れるな、とか、モッシュ・ダイブは危険だからやめよう、というので、1番最後のは主催者からもよく注意されているような気がする。いずれも演者の演目を見に来るのがライブであって観客の声を聞きたいわけじゃないというファン心理を考えれば、まあ理解するのは容易であるはずだ。私自身も自分の声でかき消されるよりは演者の声を、演奏を、音楽を聴いた方がいいのにな、と思いながらそういう人たちを眺めている。ただ場面によってはコールアンドレスポンスで演者から観客にマイクが向けられる場面もあるので、やっぱり空気を読むとか雰囲気を眺めるといった曖昧な言い方しかできないよな、と思う。

言葉をこねくり回して結論が言葉にならないというのはなんとも皮肉なものだけど、つまるところあまり言葉にしようとも思えない。正直コンサートやライブを全力で楽しんでいれば全て気にならない瑣末なことだからである。マナーが悪い方も、それを逐一神経質に論じる方もこちらから見れば同じように見える。そういうこちらはこちらで自分が楽しかったらいいという他人への無関心で、ある意味自分勝手な考え方なのかも知れないと思いながら、そろそろカラオケに着きそうなので筆をおきます。

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