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アイルランド抵抗歌 The SAM Song(地対空ミサイルの歌)

The SAM Song

Gerry O Glacain

Well I have been a Provo now for 15 years or more
with armalites and mortorbombs I thought I knew the score
But now we have a weapon, we've never used before
The Brits are looking worried - and their going to worry more

Tiocfaidh Ar La, sing Up the Ra
SAM Missiles in the sky

I started off with petrol bombs and throwing bricks and stones
With a hundred more lads like me I never was alone
But soon I learned that bricks and stones won't drive the Brits away
It wasn't very long before I joined the IRA

Then there came Internment in the year of '71
The Brits thought we were beaten, that we were on the run
On that early August morning they kicked in our back door
but for every man they took away, they missed a hundred more

I spent eight years in the cages, I had time to think and plan
for though they locked away a boy, I walked out a man
and there's only one thing that I learned while in their cell I lay
the Brits will never leave us, until they're blown away!

All through the days of hunger strike I watched my comrades die
while in the streets of Belfast you could hear the women cry
I can't forget the massacre that Friday at Loughgall
I salute my fallen comrades, as I watch the coppers fall

私がIRAの兵士になって15年になる   アーマライトと迫撃砲で戦果を上げてきた  そして未だ使ったことのない兵器を手にした   イギリスは不安そうに見える…これからもっと不安になるだろう

我らの日がくる  IRAよ起て  地対空ミサイルは空を征く

私は火炎瓶とレンガ・石を投げ始めた   私のような100人余の若者がいて、私は1人ではなかった  しかし、すぐにレンガと石ではイギリスを追い出せないことを知り、遠からずして私はIRAに入った

そして1971年の無令状拘束  イギリスは潜伏する我々を一網打尽にするつもりだった  8月の早朝に奴らは裏口を蹴飛ばして踏み込んできた  多くの男たちが連れ去られたが、100人以上が奴らから逃れた

私は獄中8年、計画を練る時間を得た  拘束されている間に少年たちは男になった  そして牢獄に横たわりひとつの事を学んだ  イギリスは決して出ていかない、奴らが驚愕するまでは!

ハンガーストライキで多くの同志が死ぬのを見た  ベルファストの通りで女たちが泣き叫ぶのを見ることが出来るだろう  金曜日のラフゴールでの虐殺を忘れることが出来ない  堕ちゆくヘリを見て、倒れた同志たちに敬礼する

歌詞は英語がそれほど得意ではない私が和訳したもので、間違いがあるかもしれない。また意訳なので正確性も欠いているかもしれないことに留意されたい。

この曲はIRA暫定派がリビアのカダフィ大佐から供与された携行式の地対空ミサイルを歌ったものと思われる。このnoteで取り上げていきなりだが、抵抗歌の中で最も好戦的なものだ。

IRAの兵器として象徴的なものがアーマライト小銃であり、さらに手製の小型爆弾や自動車爆弾、バラックバスターと呼ばれる手製迫撃砲を使う。戦術は徒歩パトロール中の分隊規模の英軍を待ち伏せ、または狙撃、爆弾によるトラップにかける、さらに兵舎や休暇に入る兵士を狙うなど。ソフトターゲット(軍事施設や変電所等の重要施設ではない、民生施設)を狙う場合は予告、警告の声明を出すが、英軍を狙う場合は警告はない。

この奇襲攻撃には英軍も打撃を受けた。そこで自動車や徒歩によるパトロールや人員輸送を差し控え、ヘリコプターによる空中機動に切り替えざるを得なくなった。となると、IRAも敵の3次元的機動に対して対抗しなければならない。そこでSAM(対空ミサイル)を入手した。

歌詞にもあるように、IRAが手に入れた携行式SAMはあまり使われなかったし、1度使われた時は撃墜に失敗したらしい。それでも、ヘリで移動する英兵にとってはとてつもない脅威である。ミサイルの運用について諸説あるが、使い方に習熟していなかったため使われなかったのではとも言われている。

2005年、IRA暫定派は停戦と武装解除に合意した。このとき小銃や重機関銃、爆薬とともに7基の対空ミサイルが提出された。

曲中の「provo」は、IRA暫定派の兵士を意味する。北アイルランドのカトリックコミュニティに育った若者が、イギリスと多数派のプロテスタントを中心にするユニオニスト(イギリス帰属派)に対して投石や火炎瓶での抗議デモに参加しながら先鋭化してIRAに加わり、予防検束によって拘束されながら英国を追い出すには彼らを心の底から恐怖させる他ないことを悟り、英兵の安全な移動手段を奪うべく対空ミサイルを手にする。という内容だ。それだけヘリコプターでパトロールし、ヘリコプターで休暇から行き帰りする英兵は怨嗟の的であった。

ラフゴールはIRAの小部隊が作戦中にイギリス特殊部隊の待ち伏せ攻撃にあい8人が死んだ村である。

Tiocfaidh Ar Laはゲール語(アイルランド土着の言葉)で「我らの日が来る」、アイルランド民族主義者のスローガンである。

作詞は抵抗歌を中心にアイルランドのフォークソングを扱うバンド「Irish Brigade」のゲイリー・オグラカイン。近年はゲイリーオグの名義でソロでも活動している。

曲はアメリカのスタンジョーンズによる「Riders in the sky」を元にしている。この曲は比較的有名なもので世界中のアーティストに影響を与えているらしい。



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