トリはよく七緒のところにやってきた。トリといっても鳥ではない。トリが好きだからトリらしい。以前、何のトリが好きなのかと聞いたら、ハトだと答えた。 「ハトのどんなところが好きなの」 「丸いところ」 「丸くないハトは嫌いなの?」 「うん、でも丸いだけじゃだめ」 「ほう」 「飛べないハトがいい。いつもはぽっぽこぽっぽこいうのに、ネコがくると怖がるの」 推理を披露する探偵のごとく、深妙な面持ちでそう話す。トリはおそらく、鳩を飼っている。怪我をした鳩を保護しているのだろう。 トリは
家に帰り、電気をつけると、パリンと音がした。電球が切れた。取り替えようと、新しい電球と脚立を小脇に、古いものを外しにかかる。フィラメントが切れて、役目を終えた電球。つるんとした真っ白な表面には、少し埃がかっている。きれいだな、そう思った。 「おじいちゃんがもう危ないから、病院行くよ」 めずらしく父に起こされたと思ったら、長く入院していた祖父が危篤だという。とうとう来たか、と慌てるでもなく、支度をして父の車に乗って、病院に向かった。 2004年の12月30日。この頃の自