永崎 篤生(ナガサキ アツオ)

月一で小説の講座を受けている見習いです。 そこで提出したものを中心に、いただいた講評と…

永崎 篤生(ナガサキ アツオ)

月一で小説の講座を受けている見習いです。 そこで提出したものを中心に、いただいた講評とともに更新していきます。 作家になりたいというよりは、本を書いた金で本を買うのが夢です。 好きな作家は有島武郎。 冬至あたりの生まれ、今も割と寒いところに住んでいます。

最近の記事

トリの名前

トリはよく七緒のところにやってきた。トリといっても鳥ではない。トリが好きだからトリらしい。以前、何のトリが好きなのかと聞いたら、ハトだと答えた。 「ハトのどんなところが好きなの」 「丸いところ」 「丸くないハトは嫌いなの?」 「うん、でも丸いだけじゃだめ」 「ほう」 「飛べないハトがいい。いつもはぽっぽこぽっぽこいうのに、ネコがくると怖がるの」 推理を披露する探偵のごとく、深妙な面持ちでそう話す。トリはおそらく、鳩を飼っている。怪我をした鳩を保護しているのだろう。 トリは

    • 白い残像

       家に帰り、電気をつけると、パリンと音がした。電球が切れた。取り替えようと、新しい電球と脚立を小脇に、古いものを外しにかかる。フィラメントが切れて、役目を終えた電球。つるんとした真っ白な表面には、少し埃がかっている。きれいだな、そう思った。 「おじいちゃんがもう危ないから、病院行くよ」  めずらしく父に起こされたと思ったら、長く入院していた祖父が危篤だという。とうとう来たか、と慌てるでもなく、支度をして父の車に乗って、病院に向かった。  2004年の12月30日。この頃の自