ダンサーになりたいと思ったことはない

「貴女の職業は?」と聞かれると
未だに返答に困る。

「今、仕事なにしてるの?」
これが一番心を抉られる。

有難いことに「踊りに携わる」仕事だけで生活はなんとか成り立っている。
この「踊りに携わる」の95%が「指導」のお仕事。
子どもから大人まで。
スタジオやスポーツジムやら様々な目的をもった人、子どもにレッスンを提供している。

じゃあ「バレエの先生です」と答えればいい。
でもそこに納得できてない自分が不思議で仕方がない。
「現役ダンサー」「バレリーナ」と響きのよい肩書を1番に出すことができないのは一体なぜなんだろう。

年間に立っている舞台はほんの数回。
舞台にたくさん上がるから「ダンサー」と名乗れるのか。
踊ってギャラをいただくことが「ダンサー」なのか。

人生で一度も「ダンサー」になりたいと思ったことはない。
ただ気が付けば「ダンサー風」な生活を送っている。

「心身ともに健康にリラックスしたひと時を過ごしましょう」

大人のバレエクラスでは、そんなことをお伝えしながらレッスンしている。
決して間違いではない。嘘ではない。

だけど、本当に突き詰めた先にそんな綺麗なものが存在するわけがない、と内心思っている。
踊りは残酷な世界だ。
踊りたいから踊っている、なんて甘えたことをぬかしている奴がトップに立てるわけがない。
あくまで趣味として取り組む分には、耳障りの良い言葉通り、心地よい時間を過ごすことができるかもしれない。

両手バーにつき、立った瞬間に絶望する。
6番ポジションで立つことすら納得できない。
何年も何年もやってきた1番ポジションも5番ポジションも未だにできない。
アームスの正しい場所って結局どこなんだ、と毎日葛藤する。

好きなことを仕事にしている、自覚はある。
だが、それが果たして幸せなことかと聞かれると…
正直わからない。

「なんで踊ってるの?」
「踊りたいから」
それ以上でもそれ以下でもない。
だけど、答えとしては不十分な気もする。

人生の最期に「踊りを続けてきた理由」の答え合わせができたら…。
多分無理だろうな。
絶対に見つからない答え、絶対たどり着けない境地。

楽しいわけがない!笑

それでもそんなことを超える何かがあるんだろう。
絶対に絶対に絶対にゴールは見えない世界で抗っている。

え、すごくない?
私最強じゃない?

人生は最大の暇つぶし、と聞いたことがある。

人生かけて、盛大なギャンブルをやってるのかもしれない。
最初から無謀な賭け事。
負けても勝っても自分の人生。自分の責任。

今更後には引けないんだから…
全ベット、全ツッパ、オールイン。

亡くなった祖父二人とも、ギャンブルが好きだった。
私は絶対に手を出してはいけない世界だと思っていた。
(ハマる自覚があるからw)

だけど、多分ご先祖様の中で一番のギャンブラーなのかもしれない。
負け続けてたとしても、心のどこかで最後に勝つと信じている。
もうやめときなさい、なんて言葉、聞こえるわけがない。

ここで引くのが一番ダサい。
って思ってるあたりが、ね。

孤高に頑張りましょう。
今日も今日とて独り言です。
誰も見てないから良しとする。

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