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ソード・ワールド2.5シナリオ「悪しき樹木と迷霧の迷宮」

はじめに

本記事は「ソードワールド2.5」を遊ぶためのシナリオです。
本記事は「グループSNE」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.0/2.5』の二次創作です。(C)GroupSNE(C)KADOKAWA

また、本シナリオはC102にてコピー本として頒布したものとなります。

凡例

太字:読み上げ文章(読み上げることが望ましい)

トレーラー


トレーラー

ハーヴェス王国の北部、不思議な霧と植物に支配された森がある。その名は「ミストホーンの森」。霧の濃い日には、森から立ち上る霧で、角ができるためそう呼称されている。
いかなる理由か、PC達はこの森の挑むことになる……。

■想定時間
オンラインのボイスセッションの場合、キャラ作成時間と合わせて、5~6時間を想定しています。

■シナリオ難易度
本シナリオはダンジョンシナリオです。
ただし、導入部分はGMに任せるように作ってあります。GMはMapを見ながら、適宜の描写を行って下さい。

■戦闘
戦闘は全て、通常戦闘で行います。
味方後衛、乱戦エリア、敵後衛を設置して下さい。

■判定
行為判定を指示する場合、~判定(X)と表記しています。これはその判定の難易度がXであることを示しています。

シナリオの背景

魔法文明時代後期、魔神が異界から呼び始められた頃、この森はまだ平和だった。森全体を治める長老のトレント、メリアの集落、妖精たちが集まる泉、完成された平和がそこにはあった。だがある時、トレントが守るその魔剣に目を付けた邪悪な魔神が現れた。馬の姿をし、赤い目をしたその魔神は善良であると装い、時間をかけて森に溶け込んだ。
ある時、魔剣を有するトレントに呪いと惑わしを言葉を投げかけ、この森を支配しようとした。呪われたトレントは凶暴になり、魔剣の力で森を霧に閉ざしてしまった。困ったのは妖精とメリア達、心地良い環境が失われ、またトレントが呪われたことで彼らは1人、また1人と森を離れていった。呪いを解呪しようとした者もいたが、魔剣の力でトレントは彼らを遠ざけてしまった。
そして魔神は満を期して魔剣を自らものとしようとした。しかし、呪いに犯されたトレントは魔神を切り捨て、魔界に叩き返してしまった。以来、この森は動物と植物のみが住まう、霧の森と化したのだ。

レギュレーション

■プレイ人数:3~4人
■ソード・ワールド2.5基本Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ
■キャラクター作成
追加経験点:+7000点(累計10000点)
成長回数:5回
所持金:6000G
名誉点:80点
レベルキャップ5

1.導入

導入部分に関して、シナリオから指定はない。
しかし、以下のような3つのシナリオ導入をモデルとして提示する。各PCやPLの様子を見ながら、適宜描写すると良い。

① ギルドからの依頼

貴方達はギルド「鉄十字の家」に所属する冒険者だ。いつものように酒場で飲んでいると、ギルドマスターから仕事を任された。
話では「ギザの村」は街道を開発中だ。しかし「ミストホーンの森」を通るコースが建設予定に一部あり、このコースが安全なのか、もしくはミストホーンの森を伐採する方法、これらの調査を依頼として頼まれることになる。
報酬は1人当たり3000Gだ。

② 熱に犯された少女

旅をする冒険者パーティは、ある時「ギザの村」に立ち寄った。この森の近くには恐ろしい霧の立ちこめる森がある、近寄るな、という忠告を聞いていると、村の少年が冒険者に話かけてくる。
「僕と一緒に、森に行ってくれませんか……!!」
話を聞くと、7歳の妹が熱病に冒され、もはや猶予もない状態らしい。唯一、お伽話に出てくる〈銀蟲花〉という花だけが希望だという。その花は「ミストホーンの森」の湖畔に咲くという。

報酬として父の残した遺産、合計1000Gを提示した少年。
それに冒険者はどう対応するか?

③ 魔神の囁き

冒険者達は、眠っている最中、不思議な夢を見る。夢の中は、穏やかな花畑が拡がっている。
冒険者たちがそれに困惑していると、5mほどの長身な雌馬が現れる。黒毛で赤目、少し不吉な姿をしているが優しげな声で貴方たちに声をかける。「私は妖精の化身。貴方たちにお願いがあって参ったのです。」
馬は「ミストホーンの森」に住んでいたが、300年ほど前、邪悪な力に森が支配されてしまったことを話します。その中心には強力な魔剣があり、この魔剣を抜けば、森は邪悪な力から開放されることを囁きます。
そして、報酬として「ミストホーンの秘宝」そして「魔剣」を差し上げる、と言われます。
なお真偽判定(15)で嘘であることが判明します。実際の所、この雌馬の正体は魔神です。この選択肢を選んだ場合、クライマックス戦闘の後に「ジヌゥネ(ML198頁)」と戦闘が起こります。剣の欠片8本が入っています。
 長い時を得て、現実に帰ってきた魔神が、トレントから魔神を引き抜こうとしているのが真相です。このジヌゥネこそが、全ての元凶です。

2.探索

PCたちが森へ入ろうとすると、Mapの①に配置して下さい。

森の中は奇妙な霧に包まれており、植物や動物が霧のせいで良く見えません。不気味なほど静まり帰っており、風の音と植物の葉がこすれる音しか聞こえないでしょう。

ダンジョンMap

① ダンジョン入り口

狭くて細い通り道、動物や植物の足跡が残る森の入り口は、霧を漂わせて侵入者を拒んでいる……。
ここでは軽く森の描写をした後、危険感知判定(12)をさせて下さい。霧に紛れて動物が襲い掛かってきます。

敵前線エリア
ポイズナスピルバグ(Ⅲ、357頁)×PC人数

*戦闘の行動指針
#ポイズナスピルバク
奇数ラウンドに「毒液の噴出」を、偶数ラウンドにランダムな敵に口で攻撃します。またHPが半分以下になると「身体を丸める」を宣言します。

② 蟲の巣

ぶーん、ぶーんと鈍く羽ばたく音が聞こえる。木々が開けたその場所は水場になっており、霧越しに何体もの影が見える。
ここには池が存在しており、蟲の水飲み場になっています。また卵を産卵したり、木の蜜を吸える場所として蟲達の間ではホットスポットです。

隠密判定(9)を行わずに近づくのであれば即座に戦闘になります。隠密に成功すれば戦闘せずに探索判定(10)が行えます。この場所で探索判定(10)に成功した場合、緑色砂虫石(200G/金赤A)を1個獲得できます。

敵前線エリア
ダークスイーパー(ML、104頁)×PC人数

*戦闘の行動指針
#ダークスイーパー
奇数ラウンドに「粘水吐き」を、偶数ラウンドにランダムな敵に牙で攻撃します。


③ 獣道

薄らと動物の足跡が続く獣道、先には何があるのか。
足跡追跡判定(14)に成功することで、獣道の先を知ることができます。この獣道の先は隠し道に繫がっており、⑧までショートカットができます。

④ 集落跡

何棟もの家と腐った柱、井戸や柵が拡がっている。かつては集落があったのだろうか、だがその姿は廃村という他にない様子だ。
メリアの集落跡地です。探索判定(15)に成功することで3000G以下の好きな冒険者道具類1つを入手できます。

⑤ 湖

大きな湖畔が東に拡がっている。霧に包まれている故に鳥や動物の姿を見ることはできない。しかし、魚や虫は存在しており飲み水に適してないということは無さそうだ。
探索判定(13)に成功することで、〈金蝶花〉を1d6個分、採取することができる、この花は病に効く薬になるため、1本100Gほどで売ることができる。

⑥ 遺跡

魔法文明時代の遺跡が見える。中は瓦礫で崩壊していて、進むことは出来ない。しかし、表面を探索することは出来そうだ。
探索判定(12)に成功することで、魔晶石5点を3個入手できる。また探索判定をした場合、瓦礫が降ってくる。危険感知判定(14)に失敗した場合、2d+15の物理ダメージを受ける。また探索判定(15)に成功することで「⑧隠し道」を発見することができます。

⑦ 小道

霧に包まれた小道、その先は行き詰まっているように見える。
小道の先に進むと〈黄金の果実〉がなる木を発見できます。〈黄金の果実〉は見識判定(15)に成功することで解ります。〈黄金の果実〉は2000Gほどする、王侯貴族に好まれる極めて希少な果実です。そのまま進み〈黄金の果実〉を入手すると、蔦や植物がPCの周りを囲み、戦闘に入ります。

敵前線エリア
ブラッティーペタル(Ⅰ、455頁)×1体
グラデーションプラム(ML、120頁)×1体

*戦闘の行動指針
#ブラッティーペタル
花の部位数は、PC人数分になります。
攻撃対象はランダムで決定して下さい。

#グラデーションプラム
MPが無くなるまで、ひたすら「果汁を飛ばす」を行います。MPがなくなった後は、ランダムな対象に体当たりを行います。

⑧ 隠し道

草木の生い茂る獣道。薄らと足跡があるが、その先には何があるか。
この場所は「③獣道」で足跡追跡判定に成功した場合、もしくは「⑥遺跡」で探索判定(15)に成功した場合のみ、開示されます。

3.クライマックス戦闘

⑨ 森の中心
霧立込める森の奥深く、一本の枯れた木がある。その木からはゆったりと霧が立ち上っており、声が響いてくる。「我の魔剣を狙うものめ。この森の肥料となるがよい。」交易共通語で放たされた。その声と共に魔法が飛んでくる。戦闘開始だ!

この場所に踏み込むと、戦闘が開始されます。この場所には、木々の間をすり抜ける必要があります。魔法等の準備があれば許可して構いません。

敵前線エリア
エントレット(Ⅱ、406頁)×1体
プレーンセンチピート(Ⅱ、396頁)×1体

*戦闘の行動指針
#エントレット
エントレットはMPがある限り、前衛後衛全ての対象に〈魔法拡大/数〉で〈アイスボルト〉を放ってきます。また、MPが尽きた後はランダムな対象に枝で攻撃します。

両方の枝に剣の欠片が4本、入っています。
またエントレットは霧を常に纏っており、回避力判定に常に+1されます。

#プレーンセンチピート
胴体の部位数はPC人数に等しいです。この魔物はエントレットの指示に従っており、HPの低い対象から順に攻撃していきます。エントレットが倒れた後はランダムな対象への攻撃に移行します。
囮攻撃の使用はGMが判断して下さい。

4.エンディング

エントレットを倒した後、その幹からは、木製の魔剣が飛び出ています。この魔剣を取ると、森からは霧が引き、植物たちは大人しくなります。

導入「魔神の囁き」を採用している場合は、さらに戦闘を行います。そうでなければ無事に森を抜けて、依頼達成の報告などの場面へ以降して下さい。

リザルト

経験点:1000点+(魔物討伐Lv×10)+(ピンゾロ数×50)
報酬:3000Gもしくは1000G+戦利品
名誉点:〈剣の欠片〉個×1d

あとがき

 ハンドアウトソドワ……間に合いませんでした…。
9月があまりに忙しく、結局コミケで出したシナリオを公開することにしました。どっかのタイミングで、とは思ってたんですが難しいですね。
 やはりシナリオストックは常に確保しておきたい……。でも、そのストックを作る時間がない……中々に1月1回投稿は厳しいですねぇ。
 まぁ、とりあえず来月こそはハンドアウトソドワを出したい……あと。ナラティヴソドワの遊び方も整備したいですね。
次回の更新は、10/20までに頑張りたいな!!お楽しみに!!

出所表示

 地図画像は「Dungeon Scrawl」、トレーラーは「AI Picasso」で生成しました。


TRPG。中でも特に『捏造ミステリーTRPG赤と黒』が非常に好きです。