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アポトーシス

落葉樹は色付き紅葉し、人々を魅了する。
そして次第に枯れ、落ちる。

アポトーシス。細胞の自然死のことである。
そう聞くとどこか残酷で非情だ。

人間も同じなのかもしれない。
千葉の田舎から東京へ上京。
期待と希望と羨望で昂揚し、新しい人々と出会う。
新しい環境や状況に擦り減らしながらもどこか充実感を得る。
ただ、次第に心が崩れていく、堕ちていく。

挫折し、この人間に造られた街から脱落していく。
人ばかりのこの街で誰にも相手にされず、吐き出された存在になる。

人ばかりの渋谷。
誰の目にも自分は入っていない。
誰にも気にされない。

前方に2人組のキャッチ。
「キャバクラいかがすか」
「いや、でもとりあえずフェラーリはやばい」
「笑」
通知音のように吐き出されたキャッチの言葉。
捕まえるつもりもない言葉。
キャッチにすら相手にされていない。

自然死、自分はこの街から、社会からアポトーシスされたのか。

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