祖母を許さない話

備忘録
吐き出し

父方の祖母が死んだ。
母方の祖母が死んで数ヶ月なので、マジか、と思ったが死んだ。私は父方の祖母と確執がある。私にとって、父方の祖母はもう二度と会いたくないひとだ。

うちは二世帯住宅だ。
ドアひとつで仕切られた二世帯住宅。そのドアから包丁を持ってやってきた祖母。包丁を二本、両手に持ってこちらに、向けてきた祖母。あの日から祖母は恐怖の対象であり、私は祖母を嫌った。ちなみに即通報した。「○○(父の名前)を刺してやるんだ」みたいなことを言っていた。何で私に包丁向けてきたんだろうな。お前の息子やろがい。そのあとなんか言い訳を言っていたが、寂しかったとかそんなことを言っていたので、私は素直に「病院にいけ」と言った。これは頭の病気である。間違いない。そうでないのならば逆に怖いわ。なんかしおらしく謝ってきたが、私は許すつもりはなかったので、許さんことにした。それが気に障ったらしく、「謝ってるんだから許さないと」みたいなことを加害者が言ってきたので、私はこいつマジで頭いかれてんな……と思いゆるさなかった。父も祖母に怒った。でもな、父、お前の命狙われてたから私より父が怒ってええんやで。
次の日、私はホテルに泊まった。
あんな奴がいる家にいられっか。
私の本気具合を証明するため連泊。ホテル住まいの会社員になろうとした。
こうなると近所の目があるので、祖母も焦る。この人は外ヅラはいいというか、世間体を気にする。警察に通報してきてくれたあとの孫娘ホテル家出なので近所は騒ぐのは眼に見えていた。そういうの好きな人多いんだよ田舎は。
私が帰ってこない父も心配になる。母はホテル住まい公認。父から連絡が来て、帰ってこいとのこと。どっちの味方や。私の部屋に鍵をつけること(前々から祖母は勝手に私の部屋に入っていた痕跡がある)と、祖母は私に話しかけない関わらないこと、祖母は精神病院に行くことを条件にして、帰宅。
この辺りで父はもしかして包丁向けられるの過去にあったのではと思う。慣れてええもんじゃないんやで。それは異常っていうんや。
ちなみに病院で異常なしと言われたと申告。お前それ自分は素面でも人に包丁向ける異常者ですって意味だけどいいの????と思う。
関わらず(たまに話しかけて来るのは無視。条例違反)生きることにしてから、父や叔母から許しの打診があったら却下。死に目に会うつもりもないし、葬式にも出るつもりもない、なんで許す必要があるのかわからないし、私が折れる必要性を感じなかった。だって、あれ反省してないじゃん。謝る人間の態度じゃないもん。縁切りの神社行こ。行った。
祖父は祖母の味方だった。自分がちゃんと面倒をみるから許してやるように言われたので、私は絶対に面倒見れなくなるよ、みれるわけないじゃんと却下した。その通り、数ヶ月後祖父は面倒がとうとう見れなくなり祖母を病院に入れた。縁切りの神社のご利益かと思った。感染症のことでいまだお礼参りにいけていない。行きたい。
ともかく、そうして数年が経って、祖母が死んだわけだ。
私は解放されるのか。そもそも、恐怖はあるし、残るだろう。でも、割と好き勝手に自分の主張を通し切ったので、抑圧はされてなかった気もする。
いつか許せたら良かったと思うかもしれないと、言う人もいる。そんなん思っても、それはその時の私が背負う話で、今傷ついている怖がっている私が考えることではないのに。それで今の自分を守れなかったら、私は私でいられなくなるのに。
なんで「ごめんね」に「いいよ」でかえされることを前提に謝ってくる人を許さないといけないんだろうか。私は、許したくないので許さなかった。許すことは自分が決める。別に、謝ってくる人の都合に合わせる意味なんてないのだ。
だって、寂しくても辛くても心細くても頭がおかしくなっても、それが、人に包丁を向けていい理由にはならないので。

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