円キャリー取引にまつわる考察(前編)
突然現れた「円キャリー取引・円安バブル」説
筆者が夏季休暇中の5日から7日にかけての本邦金融市場は歴史的に残る大荒れの様相を呈しました。議論すべきことは沢山ありますが、まずは為替市場に対する所感を示しておきたいと思います。休みの3日間(強制的に)様子見できたことで右往左往しない「腐らない議論」がある程度できそうです。
まず、今回の大混乱に関し、市場では「円キャリー取引を背景とする円安バブルが崩壊した」という解説が支配的になっているようです:
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB024IG0S4A800C2000000/
結論から申し上げますと、筆者はこれらの解説に小さくない違和感を覚えています。率直に崩壊してから突然多くの人が持ち出すようになった印象がぬぐえません。それが円安に寄与していたことは確かだとしても、日銀憎しで影響力が誇張され過ぎていないでしょうか。
後述するように、この円キャリー取引という言葉は05-07年にも円安バブルという言葉と共に流行りました。よって、当時となぞらえて物事を語ろうとする向きも多そうです。それは慎重になった方が良いと思います。今回と次回を通じて、筆者なりの考察を提示します。
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