唐鎌大輔(みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト)

慶大経卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会などを経て現職。著書に『弱い円の…

唐鎌大輔(みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト)

慶大経卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会などを経て現職。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』、『「強い円」はどこへ行ったのか』、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』。所属学会:日本EU学会。※コメントは個人的見解であり所属組織とは無関係です

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インフレ目標「0%」超の良い部分と悪い部分

「0%」超の解釈 いよいよ衆院選まで1週間を切りました。各党の公約や候補者の主張等が連日報じられています。その中で立憲民主党が次期衆院選の公約の中で「新しい金融政策への転換」と銘打ち、日銀の物価安定目標を「2%」から「0%超」へと変更するとともに、政府・日銀の共同目標として「実質賃金の上昇」を掲げる方針を提示したことが一部で注目されています。日経新聞でもこの論点にクローズアップして記事を組んでいます: この方針をどのように評価するかという照会を複数頂くため、筆者なりの所感を

    • ECB利下げを受けて~インフレ抑制から景気刺激へ?~

      既定路線の利下げ 10月17日のECB政策理事会は2会合連続で主要政策金利を▲25bpずつ引き下げることを決定し、市場の注目する預金ファシリティ金利は3.50%から3.25%へ引き下げられました。なお、「主要政策金利」とわざわざ書くのはECBの政策金利は限界ファシリティ金利・主要リファイナンスオペ(MRO)金利・預金ファシリティ金利の3本立てだからです。2014年のマイナス金利採用以降は預金ファシリティ金利が注目されていますが、元々はMRO金利が主役でした。ECBウォッチの歴

      • 材料視されなかった台湾有事

        材料視されなかった台湾有事 既報の通り、14日、中国の人民解放軍が台湾周辺で大規模な演習を行い、台湾を隙間なく包囲できる意図および能力を誇示したことが大々的に報じられました: 習近平政権の掲げる「祖国統一」に反意を示す台湾の頼清徳政権を威嚇する意図であり、今後も断続的に懸念される事案でしょう。 国際政治情勢の詳細は筆者の専門外でありますので諸賢の分析に委ねたいと思います。筆者がやや意外感を覚えたのは、この一報が金融市場で大して材料視されなかったという事実です。この報道を受

        • 円安は再起動したのか?~短期・中期・長期の視点~

          円安、迫力と持続性には疑問 ドル/円相場は150円近傍での推移が続いています: 過去のnoteでも述べましたが、IMM通貨先物取引に象徴されるように、依然として投機筋の持ち高が円ロングに傾斜しているとすれば、当分、円相場はその巻き戻しによって軟調を強いられても不思議ではないでしょう。下記noteでは「投機ポジションが清算された時点で150円突破は短期的には十分考えられる想定」と整理しました: とはいえ、問題は投機が去った後の方向感です。2022~2023年は金利差を意識し

        インフレ目標「0%」超の良い部分と悪い部分

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        • インフレ目標「0%」超の意味を考える

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        • 円安は再起動したのか?

        • 世界の外貨準備~ドル過去最低に~

        • 石破カラーの封印とデフレ脱却3年計画

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          インフレ目標「0%」超の良い部分と悪い部分

          円安は再起動したのか?~短期・中期・長期の視点~

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          外貨準備のドル離れ~過去最低比率に~

          ドル比率は過去最低を更新 金融市場ではもっぱら米雇用統計の急改善とこれに伴うドル/円相場の急騰が話題です。今回のテーマではないため詳述は避けますが、非農業部門雇用者数(NFP)の変化をもう長い目で見ますと、半年平均では鈍化傾向にあるものの、3か月平均では底打ち傾向にあるようにも見え、利下げシナリオが頓挫するとまでは思わないものの(Fed watchを見ると一部11月利下げ見送りも織り込まれています)、大幅な利下げを正当化するのも難しい状況に見受けられます。11月FOMCの▲5

          少し不安な「3年でデフレ脱却」発言

          石破カラーは年末まで封印か 既報の通り、石破総裁は10月9日に衆議院を解散し、10月27日に投開票を行う方針を表明しました: 発足直後で新政権に新鮮味があること、野党の一致協力が進まないうちに勝負をつけたいことなどが決断の主たる動機になるでしょう。現状、石破総裁の経済政策観を尋ねられることが多くなっているものの、総選挙前に本音の話ができるはずもありません。補正予算編成などを通じて「石破カラー」が出されていくとすれば、それは総選挙後の話になりましょう。補正予算の焦点はほぼ間違

          需給が示唆する円高圧力~24年初来の需給まとめ~

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          総裁選と金融市場【現時点の頭の整理】

          総裁選、市場の争点定まらず さて、市場のニュースは今日のところはFOMCの大幅利下げに集まっていますが(これは後ほどやります)、9月27日に投開票が迫った自民党総裁選についても相場との関連で照会が増えています。正直、経済政策について相場を動かすほどの争点が浮上しているわけではないですが、現時点の情報に基づいて簡単な論点整理はしておきたいと思います: 票読みは筆者の専門外ですが、今回は過去最多となる9名が立候補していることから、1回目の投票で過半数を得る候補が現れず、上位2名

        記事

          1ドル180円になっても・・・【対談】

          今回はただの宣伝ですが、昨日、日経ビジネスオンラインさんの方から『きみのお金は誰のため』(東洋経済新報社)が大ヒットされ、各所で活躍されている田内学さんと対談させて頂きました。全3回の対談は非常に色濃いものになりましたが、下記対談の冒頭にもあるように、目先の値動きから森羅万象を語ろうとする向きについて田内さんも疑義を感じておられるように思いました。最初の方で田内さんが仰っている「『市場の予想屋』を育てるのではなく、現状の問題を認識して、どのように未来を変えていくかを考えること

          雲行きが怪しくなってきたユーロ圏

          域内インフレ率、遂に2%割れ 年初来、ようやく復調傾向が指摘されてきたユーロ圏経済ですが、早くもその雲行きがやや怪しくなっているように思います。直近ではドイツ経済の不調がクローズアップされやすくなっており、まさに「帰ってきた欧州の病人(Sick man returns)」の様相です。ちょうど今朝の日経にもありました: 象徴的には10月1日に発表されたユーロ圏9月消費者物価指数(HICP)が2021年6月以来、実に3年3か月ぶりの2%割れとなったことに表れており、明らかに域内

          米雇用、失速か加速か~当面のドル/円相場~

          米雇用、失速か、底打ちか 先週4日に公表された米9月雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)変化に関し、前月比+25.4万人と市場予想の中心(+15万人)を大きく上回り、失業率も4.2%から4.1%、▲0.1%ポイント低下しました。この余波は非常に大きく、本稿執筆時点のドル/円相場も依然148円台と直近高値圏から崩れておりません。+25.4万人という数字はブルームバーグにおける市場予想の上限(+22万人)も優に上回る非常に強い内容であり、米金利は急騰、金利差を意識した円売り・ド

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          日銀短観と「次の一手」~首相発言の位置づけ~

          日銀短観は景気堅調を確認 ドル/円相場は植田日銀総裁との会談を終えた石破首相による「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」といった発言を受けて147円付近まで急騰しています: あくまで「個人的」と付言し、「金利についてとやかく申し上げることではない」とも述べているため、どこまで思想性が強い発言なのか図りかねますが、蓄積した円ロングポジションを巻き戻すには格好の口実になったと言って良いでしょう: 一見してかなり踏み込んだ発言にも見えるため、「円

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          石破カラーは年末まで封印か 既報の通り、石破総裁は10月9日に衆議院を解散し、10月27日に投開票を行う方針を表明しました: 発足直後で新政権に新鮮味があること、野党の一致協力が進まないうちに勝負をつけたいことなどが決断の主たる動機になるでしょう。現状、石破総裁の経済政策観を尋ねられることが多くなっているものの、総選挙前に本音の話ができるはずもありません。補正予算編成などを通じて「石破カラー」が出されていくとすれば、それは総選挙後の話になりましょう。補正予算の焦点はほぼ間違

          石破新政権に対する所感~希望か、失望か~

          石破政権、経済政策に疎いのか? 9月27日の自民党総裁選挙を経て石破茂氏が第28代総裁に選出されました: 周知の通り、現時点で金融市場の評価は非常に手厳しいもの(大幅な円高・株安)になっています。ただ、これは高市氏への当選期待で積み上がっていた円売り・株買いのポジションが現実を見て巻き戻されている側面も大きいため、その意味で石破ショックでもあり、高市ショックでもあると表現するのがフェアだと思います。経済政策に疎いと呼ばれる評価に関し、石破氏は「私にいろいろ至らぬ点があるから

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          日銀10月利上げの難易度は?

          10月利上げの難易度は・・・ 9月20日の日銀金融政策決定会合は無担保コール翌日物金利を0.25%に据え置くことを決定しました。7月公表の展望レポート通りに経済・金融情勢が推移し、会合時点での金融市場が安定していれば追加利上げが見込まれるという状況は依然変わっていませんが、27日に自民党総裁選の投開票を控えている状況で今回利上げに動くという見方はほぼ皆無でもありました。そもそも7月利上げも政治的意思に突き動かされたという疑義があったわけですから、現状維持は必然の読みでもありま

          需給が示唆する円高圧力~24年初来の需給まとめ~

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          需給が示唆する円高圧力~24年初来の需給まとめ~

          米利下げ開始は円高の号砲なのか?

          7月分も込めて▲50bp 9月17~18日に開催されたFOMCはFF金利誘導目標に関し、5.25~5.00%から4.75〜5.0%へ▲50bp引き下げることを決定しました。利下げは4年半ぶりの決定となります: 筆者は米国の経済・金融情勢を踏まえれば▲25bpが妥当と予想していましたので、外れたことになります。しかし、パウエルFRB議長の会見を見る限り、「本当は▲25bpで十分だが、7月にやらなかった分を加味して▲50bp」というロジックが透けました。そうであれば、辛うじて理

          総裁選と金融市場【現時点の頭の整理】

          総裁選、市場の争点定まらず さて、市場のニュースは今日のところはFOMCの大幅利下げに集まっていますが(これは後ほどやります)、9月27日に投開票が迫った自民党総裁選についても相場との関連で照会が増えています。正直、経済政策について相場を動かすほどの争点が浮上しているわけではないですが、現時点の情報に基づいて簡単な論点整理はしておきたいと思います: 票読みは筆者の専門外ですが、今回は過去最多となる9名が立候補していることから、1回目の投票で過半数を得る候補が現れず、上位2名

          ドイツの産業空洞化とユーロ~エネルギー高に押し負ける「永遠の割安通貨」~

          ユーロ高とドイツの産業空洞化 前回のVW社のドイツ脱出を取り上げたnoteは沢山読んで頂きました。本件に関しては、先週(9月13日)にご出演させて頂いたテレビ東京「モーニングサテライト」の「経済視点」でも少しだけお話させて頂きました。得てして欧州を題材とした経済・金融議論は金融市場全般を対象にした議論よりも読み手を選ぶものですが、日本においてこのテーマは関心が高いようです。今後、テレビや動画でも解説を求められそうな雰囲気を感じます: 上述のnoteでも少し言及しましたが、ド

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