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【アメリカで働く】ビザとグリーンカードの話

こちらの記事でいつかグリーンカード(以下、GCと言います。)のことを書きますと言っておきながら、思いっきり放置しておりました。

今回は、ちょっと古くなりましたが、アメリカで働く上で必要不可欠なビザとGCの体験談をシェアしたいと思います。

アメリカで働く上での最初で最大の関門であるビザ

アメリカに限らずどこでも、その国の国籍を持たない外国人が働こうと思ったらビザが必要なことは既に広く知られていると思います。
ただ、ビザ取得がどれほど難しいのかについては、リアルな体験談がないこともあって、中々理解しづらいのではないかと思います。下記のブログはビザが原因で就職できなかった話がつづられており、ビザというのが一筋縄でいかないことを教えてくれます(ブログの作者様はこの後、様々な困難を乗り越え、アメリカで働く機会を得られておりました。尊敬。)。

また、このブログは2017年時点でのお話で、アメリカにおけるビザ取得はその頃よりも難しくなっている印象があります。

とはいえ、不可能なわけではありません。
ということで、参考までに自分がGC取得に至った経験をシェアさせてもらいます。

自分のバックグランド

さて、まず私のバックグランドですが、既婚男性で非エンジニアでした。4年生大学の法学部卒業しております。なので、ビザを取るうえで特段、学歴や職歴が有利というわけではなかったと思います。

ちょっと話はそれますが、自分がビザについて悩んでいた頃、インターネットで「アメリカでビザを取る方法」を検索すると必ず選択肢として載っていたのが、「現地人と結婚」というもので、そんなもんできるか!と思っていたものです(*1)。
また、ビザを取った人の体験談で多いのがエンジニアの人達です。これはビザをスポンサーシップするのは会社(雇用主)であるわけですが、IT系の会社は(比較的)積極的にビザサポートしてくれるためだと思います。

ただ、自分は結婚はできないし(既婚)、文系非エンジエニアであり、ネット上で役に立つ経験談がないなぁと感じていました。そういう意味で、同じような境遇の方達に参考になればと思っています。

前置きが長くなりましたが、結論から言うと、当時、私は米系の金融機関に勤めており、会社がL1のBranketを持っているほどの大きな会社だったので、L1-Bというビザをスポンサーしてもらい、社内異動という形でアメリカにやってきました。

社内異動だったので、面接をいくつかして終了しましたし、グローバルな異動も普通に制度としてあったので、揉めることもなくスムーズに終了しました(Global Relocation Programというものもあって、引っ越し費用USD10,000(安っ!)と4大会計事務所の税務部門が初年度の税務申告をサポートしてくれました)。
この「外資系(というかアメリカの会社)で働いて、アメリカに異動する」というのは文系の方でもできるビザ取得ルートだと思いますし、これが現状一番簡単なんじゃないかと思います。

GC取得までのタイムライン

以下に時系列で記載します。

2015年8月:L1Bにてアメリカ転勤
2018年3月:会社によるGCスポンサー決定
2018年8月:L1-B延長(2年)
2018年9月:GCプロセス開始
2019年4月:H1B申請
2019年10月:H1B当選、切替
2022年5月:GC取得

GC申請してから取得まで約4年かかっていますが、これは標準より長いと思います。途中でトランプ政権のゴタゴタがあったり、COVIDがあったりして時間がかかった印象です。

GCスポンサー取得

さて、いかにGCスポンサーを貰うかというのが今回の話のポイントです。
私はLビザで来たのですが、その時点では「何年かしたら日本に帰る」という前提でした。日本サイドもそのような期待値で送り出してくれたし、アメリカサイドもその認識でした。しかし、個人的には密かにアメリカが気に入ったら何とかして残ろうと思っていました。なので、「アメリカ側が手放せないくらい業務に深く食い込む」ということを意識して仕事をしていました。実際、そうなったかどうかは別にして、何とかして3年弱で自分のポジションを築くことには成功しました。
それで、Lビザの延長が必要になってくる時期(3年経過時)が近づいてきた時に、その当時の上司に思い切って聞いてみたところ、上司が人事に問い合わせてくれ、人事上ではGCスポンサーの基準があることが判明しました。それは、下記ような条件でした。

  • Manager's approval

  • Above Analyst

  • Outstanding performance

  • The possible remaining period of Visa is less than 2.5 Years

まず、上司の許可があって、そしてタイトル(職階)がAnalystより上、つまりAssociate以上であること、仕事のパフォーマンスがいいこと、最後に有効なビザの残りの期間が2.5年以下であることというものでした。それぞれ解説しますと、1点目の上司の許可については、当たり前のことですね。2点目ですが、私は当時VP(Vice President)だったので、大丈夫でした。ある程度、会社に貢献していないとだめということですね。逆に言うと、新卒で会社に入った場合、Analystスタートになるわけで、ビザのことも考えると、2‐3年でAssociateに昇進することが必須になると思います。これは3点目の仕事のパフォーマンスとも関係してますね。4点目のビザの期間については、私はLビザでほぼ3年過ごし、延長しても最大2年しか延長できないので、残り2.5年以下という条件に当てはまっていました(これがH1Bだったら、3年+3年なので、もう1年働く必要がありました)。

ということで、上司もOKしてくれ、無事にスポンサーが決定しました。

一方で、会社がスポンサーしてくれなくて、実際に去っていく人達も見ました。彼らはスポンサーしてくれないと判明した瞬間に会社を辞めていました。確かにスポンサーしてくれない会社にこれ以上いても仕方ないので、気持ちは痛いほどわかります。これについては普段の貢献度がものをいうので、個人でしっかり頑張るしかありません。

ということで、私がここでお伝えしたいのは以下のことです。

  • ビザサポートをしてくれるような会社であれば、当然グリーンカードのスポンサーについてポリシーを持っているので、確かめてみるべき

  • ビジネスラインの上司はGCの手続きについて知らない(経験がない)ことも想定されるので、(上司との関係が良好なら)自分の希望を伝えて話を進めて行くべき

  • GCスポンサーには当然会社負担があるので、それを補ってもメリットがあると思わせる貢献/仕事をするのが前提条件

ビザ・GC取得にかかった費用

私が勤めていた会社がアメリカにおいて大手だったため、社内のルールもしっかりしており、比較的スムーズにGCを取得することができました。一方で、外資系ならではの辛さというのもあります。それは、自己負担も多いということです。
例えば、ビザの更新、切替をした際に、アメリカに入国するため(*2)にはビザスタンプが必要なのですが、それは領事館でインタビューし、パスポートを預け、ビザスタンプが押されたパスポートを郵送で受け取るという手続きが必要になります。そのため、日本に帰る必要があるわけですが(*3)、航空券、滞在費、申請費用ともに自己負担になります。
私は、L1Bの延長の時とH1Bの切り替えで2度帰国しました(家族4人分)。

またGCスポンサーについても家族分は一緒に申し立てをして良いが、弁護士費用な自己負担となっており、$6000位払ったと思います。

このあたりは日系企業であれば会社が負担してくれると思うので、外資系ならではですね(というか日系だとそもそもGCをスポンサーしてくれないと思いますが)。


以上になります。
もし何か質問ありましたら、お気軽にどうぞ。

*1)とはいえ、私のチームに入ってきた新卒の女性がH1Bの抽選に外れ、10月に退社していったのですが、1年後に「アメリカ人と結婚した」と言って戻ってきたことがありました。
*2)アメリカに居続けることはできるし、出国もできますが、入国できません。
*3)理論的にはカナダとかメキシコのアメリカ領事館に行ってもできると思うのですが、パスポートにスタンプを押してもらう間、そこで待機する必要があるので、現実的には日本で行うことになるかと。