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洋楽歌詞独自和訳03:Hole "Best Sunday Dress"

Put on my best Sunday dress
And I walk straight into this mess of mine
Yeah, put on my best Sunday dress
And I walk straight into this mess

一番のお気にりを着て来たのに
ドツボにハマっちまった
そう、一張羅なのに
ハマっちまったんだよ。

And watching you burn, ah ah
Watching you burn, ah ah
Watching you burn, ah ah
Watching you burn, oh

そして、あんたが焼かれるのを見てる

Pale blue eyes so young
Pale blue eyes so far away
Watch me with his sorrow
Forgive me all his pain

青い眼は若くて
遠いどっかに行ってた
ダメになりそうだよ
あたしたちを赦して

And I've come here to confess
To the wind and the rain and the glorious fame
And I've come here all undressed
For the numb and the dumb and they all the same the name

あたしはここに
雨ざらしな彼の輝かしい名誉を携えて来た
何も隠さない
奴らから与えられた苦痛も

Watching you burn, ah ah
Watching you burn, ah ah
Watching you burn, ah ah
Watching you burn, oh

彼は焼かれてった

見てやって

Pale blue eyes so dumb
Pale blue eyes so far away
Take him to the river
Forgive us all his pain
Ooh, ooh, I'm coming undone, he comes from the coal mine
I see you shine like a diamond
And curse us all goodnight

愛おしい彼は無謀だったけど
もう、どっかへ行っちゃったんだ
彼を安らげて
苦しみを解いてよ
嗚呼、心が解けていくわ
彼が地の底から還ってくる
眩い微笑みで
「心配するな」と呪ってくれる

And put on my best Sunday dress
And I walk straight into this mess of mine
And I've come here all undressed
All the poison and pain and I take what is mine

だから、お気に入りの服で
あたしの闇に入るんだ
だからここにもそのままで
毒も傷も飲み込んで来てやったんだ

And you burn, ah ah
And you burn, ah

燃えやがれ。
燃え尽きやがれ。

Pale blue eyes so young
Pale blue eyes so far away
Take me to his sorrow
Forgive us all his pain

あの若き蒼き瞳は彼方へ消えた
彼の悲しみに連れ去って
あたしたちを赦して

Watching you burn, ah ah (put on my best Sunday dress)
Watching you burn, ah ah
Watching you burn, ah ah (put on my best Sunday dress)
Watching you burn, ah ah
Watching you burn, ah ah (put on my best Sunday dress)
Watching you burn, ah ah
Watching you burn, ah yeah (put on my best Sunday dress)

一番好きな服を着ながら、あんたが焼けてゆくところを見てる。


Put on my best Sunday dress

一張羅だったのに。

_______

全世界的に大人気だったバンド、Nirbanaのフロントマン、カート・コベインが亡くなった日、

自分は即席バンドのライヴでステージに立ち、その観客には来日していた米西海岸在住の友人達が来てくれていました。

終演後から、その米国人の友人の一人が泣き続けていて、理由も訊けぬまま翌日に会い、カートの訃報を知りました。

友人が泣いていた理由は、彼女の友人であるコートニーが取り乱していることが主でした。

翌朝は、Nirvana関係で仕事をしていた彼女の友人達が一気に無職になった話なども聞きましたが

翌々年の年末に彼女を頼って西海岸へ訪れた際には

コートニーが悲しまないように、クリスマスの前後は友人達が代わる代わる泊まりに行っていると聞きました(それで会えない知り合いも多々)。

暫くの間、彼らの関係について揶揄する人が捏造で儲け、コートニーの実父まで加担して来たのには呆れました。

どんなに悲しい人だって、一瞬でも笑う時はあるでしょう。

それをも奪うのは卑怯だし、そんな権利は誰にもありません。

誰に「他者の悲しみを金に出来る権利」があるのでしょうか?

マドンナが自社レーベルにコートニーを招き入れる計画が持ち上がり、マドンナ自身がコンタクトを取った時、

「毎晩4時間も電話してくるので断った」

って話もありました。

コートニーは、そもそもアバズレと称される類いの人です。

それが、旦那の自殺で「悲劇の未亡人」に仕立て上げられてしまったという

新たな悲劇が発生してしまいました。

それに託けて、恐いお爺さんが亡くなった駄菓子屋で万引きを働く子供達。

日本のインディーズバンド「木魚」の名曲「駄菓子屋無残」の歌詞そのまま。

亡くなられた形はそれぞれだけど、遺族を蝕める権利は誰にも無い。

Holeのアルバム「Celebrity Skin」の日本版CDにボーナス・トラックとして収められたこの曲は、

元々はシングル「Celebrity Skin」のカップリング曲でしたが、

ライヴでも披露するほどの人気ナンバーになりました。

アルバム自体が、彼女自身の歩みと、彼女とカートの思い出と、彼女の今後への想いで終始している中で、

日本盤はボートラでこのダメ押しを図って来ます。

卑怯というより、もう、巧いです。

うまい創りです。

「未亡人の喘ぎ」を、

重箱の隅のカスまでこそぎ取ります。

でも、だからこそ、日本盤を買って聴いた自分みたいな人間は思い知ります。

これは、ポップな旋律に載せた「呪い」なのだと。

アルバム全曲が、カートに向けた希望なり絶望なり蜃気楼なり幻想なりで仕上がっているのだと。

端的に言えば、冒頭曲「Celebrity Skin」は『これだけダメになったアタシだけど、寝て起きたらもっとダメな女はゴマンと居るって気付いた』って話だし、

シングルカット2枚目「Maribu」は『アンタが死んじゃってダメになってたけど、娘居るから強く生きる!』って歌。

そこからも似た恣意を繰り返し、冷まし、また煮詰まらせて

最後には「あんたに全部語らせる」で終わる、ポップなハードロック・アルバム。

その尻尾に、これをくっ付けられたら、

イヤミな人間は邪推するでしょうし、

それが、このアルバムの本意なんだろうなとは思います。

ともあれ、コートニーは頑張ったと思う。

世論がどうであれ、

自分の長年の友人で

彼女とは竹馬の友である方は

Holeが売れたおかげで彼女の融資で美術学校への進学が叶い

今では芸術家として身を立てている向きも居る。

ごちゃごちゃ言ってるのは、ただの蠅。

信念がある人は、とにかく生きるだけ。

Holeはこの後、いろいろあってコートニーがソロ出して失敗したり、

再始動バンドも内容がアレで売れなかったりしたけど、

一度は金字塔をブチ上げたバンドでバンマス。

また一張羅で泥沼に沈んだ気分で、這い上がって来て欲しい。

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