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【感想】Jimmy~アホみたいなホンマの話~

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お笑い芸人ジミー大西のよしもと入りから、成功とその後までを明石家さんまプロデュースで描いたドキュメンタリー。

僕はお笑い番組をほとんど見たことがない。さんまさんのテレビ番組もほとんど見たことがないし、ジミー大西に至ってはかろうじて顔は見覚えがあるものの名前すら知らなかった。

そんな自分とは無縁の本作だけれど、Netflix制作のドラマというだけで信頼できると思ったし、さんまという人物がちょうど気になっていた。小さい頃彼の何が面白いか全く思わなかったけれど、それを面白いという人が何人もいる。「彼のすごさ」とはなんなのかを知りたかった。結果2日で一気に観てしまった。感想は以下。

ジミー大西

ジミー大西について言えることは、彼という人間が脚光を浴びて本当に良かったということで、彼の生きた軌跡をたくさんの人に観てほしいということだ。この話をドキュメンタリーにしてくれてありがとう。あわよくばもっともっと早くしてほしかったけど、今つくったからこそ、Netflixでつくったからこそ、このクオリティでつくれたのだと思う。だから、今で良かったとも思う。

ジミー大西は、クレイジーな野生児だ。全く空気は読めないし、性欲に従順な野獣だ。頭が悪くて、ものごとをちゃんと考えることだってままならない。だけれどその分誰よりもまっすぐで、素直で、突き進むことをおそれない。否定されても弾圧されて自分がみじめになっても、自信をなくしても、自分を諦めることだけはしない。一貫した哲学なんてないけれど、「この瞬間、目の前」には熱いやつだ。

そして彼は、いわゆるADHDだと思う。言葉をそのまま受け止めてしまうところとか、行動に僕も似た節があるのでよくわかる。ジミーのエピソードはADHDの人が抱える生きづらさを表現していると思うし、ADHD故にもっている才能の活かし方や生き方も表現しているので、自分にその気があると思う人は、観ていて辛くなることも何度もあると思うが、ぜひみてほしい。

明石家さんまとジミー大西

本作はさんまさんとジミーの掛け合いのエピソードがほとんど。にしても自分の作品で自分をこんなにもかっこよく描いてしまえるさんまさんってすごいなって思う。ジミーが叩かれる、さんまが面白がる・フォローする、ジミーが失敗する、さんまさんが育てる。

さんまさんはいつも謙虚だし、いつもヒーローで、粋でかっこいい。「若」って呼ばれていることすらかっこいい。普通だったら自分の作品の中で自分を描く場合、遠慮して少しばかりダサく書いてもいいものなのに、作中のさんまはめちゃくちゃかっこいい。むしろ今までずっとさんまさんが謙虚だったからこそ、この作品では遠慮せず自分が思ったとおりの自分を表現したのかもしれないし、現実のさんまさんはこの作品以上にかっこよくて、実はこの作品すら謙虚にかいているのかもしれない。当時のさんまという人物について興味がわく。

役者の玉山鉄二さんがさんまさんより遥かにイケメンすぎる説もあるが、作品内のさんまさんはとにかくかっこいいんだから、かっこいい役者で描いて当然なのかもしれないし、ジミー大西から観たさんまさんはあんな風にイケメンなのかもしれない。そう思うと、イケメンなさんまさんもいいんじゃないかな。

辛いことも全部笑いに変える

どのエピソードを取っても、壮絶だけれど、かっこいいことよりかっこ悪いことの方がずっと多いけど、これは正に「アホみたいなホンマの話」だ。
きっと誰の人生にもその人にとってのドラマがあって、どんな人生にも意味があるのだとそう思った。

作中のさんまさんの名言「辛いことも全部笑いに変えればいい。」この言葉はどんなフォローよりあたたかくって、心強い。ジミーの壮絶な人生、そしてみじめな今。対して人気者でスターのさんまさん。全く対象的な立場にいながら、ジミーを面白いと笑い、それを「自分で面白がれ。」なんて言っちゃう。

この言葉を言える強さはすごい。下手したら暴力にもなりかねない言葉を言えるさんまさんは、笑いを信じているし、本気でジミーを面白いと思い、す敬意をもっている。きっと彼の可能性や根性を信じていたのだろう。

アホみたいなことだって起こるのが人生だし、できれば辛いことはないほうがいいって思うけど、辛いことの分だけ笑いのネタができると思えば、急に気持ちが軽くなって不安が吹っ飛ぶ。なんなら、どんなことだって起こってほしい!とさえ思わせてくれる。ありがとうさんまさん、ありがとうジミー。


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