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ハングオーバー! ~JOKER 監督の出世作~ 感想と考察

※3分程度で読めます。
The Hangover (2009)
監督 トッドフィリップス (JOKER(2019)等)
脚本 ジョンルーカス、スコットムーア

あらすじ:2日後に結婚を控えたダグと、彼の親友の教師フィルと歯科医スチュ、そして義弟となるアランの4人は、バチェラー・パーティーを企画し、義父のベンツに乗ってラスベガスへ向かう。(Wikipediaより引用)

脚本の二人が、本作のエグゼティブプロデューサーの友人がバチェラーパーティの後に行方不明になったという話(実話)を聞いて作った脚本らしい...。恐るべき、執筆力ですね。

アランの弄られ具合、ステュの見事な不幸インテリっぷり、フィルのトラブルメイカーっぷりが最高でした。

心に残った点を書きます。

1. サスペンス仕立ての仕掛け
2. トッドフィリップス監督による"小道具"
3. タブーとユーモア (ネタバレ含む)
4. 強力な友情を表現するブラッドリークーパーの"顔" (ネタバレ有り)

1. サンドイッチ回想法を利用した、観客を惹きつける構成

サンドイッチ回想法とは "現在から入って、過去を振り返るかたちで物語が展開し、最後に再び現在に戻るタイプの回想法"で、本作の冒頭もその形を取っていました。(参考URL: http://script.novelgakuen.info/kaisou.html) 挙式の準備をする花嫁トレイシーが、新郎であるダグの不在を不思議に思い、親友のフィルに電話をします。フィルは「ダグが消えた」と言います。

この「何故挙式にいるべき新郎ダグが消えたのか」という疑問が、物語を推進する大きな原動力となります。
冒頭から、ある時点でダグが発見されるまで観客はこの疑問を胸に抱きながら物語を見ることになります。

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2. 小道具の着想:虎、赤ちゃん、パトカー、マイクタイソン

ホテルの部屋で目覚めたフィル、ステュ、アランの三人は、雑然とした部屋を見て呆然とします。アランがトイレに入るとがいて、クローゼットの中には赤ちゃんがいます。

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脚本家のジョンルーカスとスコットムーアが作った大筋に、虎とか付け加えたのはトッドフィリップス監督だそう。恐るべき発想です。
(参考: https://en.wikipedia.org/wiki/The_Hangover#Cast )

日常生活ではユーモアとかけ離れた世界だと考えられているだけに、医者や病院がコメディの舞台になるとそのギャップとブラックさが浮き立ちます。
医者「手を洗ったので、胸ポケットに金を入れてくれ」

3. タブーとユーモア

・第二次世界大戦中に「スキー」で亡くなった祖父
・「え、ホロコースト製なの?」
・変なアジア人
・倫理の崩壊した医者と警察官

など、映画で見ている時は大爆笑だけど日常ではあまり触れられない話題が満載だでした。

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グレーゾーンを攻めるほどギャグの強度が高まるということを知っているトッドフィリップス監督が、JOKERを監督したのは非常に自然な流れなのかもしれないですね...。

4. 泣ける。

ラスベガスでハイになって記憶を飛ばしている間にストリッパーと婚約していたステュが、挙式で妻に向かって大声でそれまでの鬱憤をぶつけるシーン。そして、それを見つめるフィルの顔が...。(写真は別のシーンです)

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常に仲間にとんでもない暴言(冗談)を吐き続けていたフィル。
ガミガミいう妻の尻に敷かれ、”doctorじゃなくただのdentistだ”とバカにされ続けたステュが遂に(かりそめの思い上がりかもしれないが) 本当の愛を見つけ、感情を露わにするステュを見つめ、「よく言ったぞ、兄弟」と言わんばかりの顔。急に2枚目俳優らしさを出して美味しい演技をするブラッドリークーパー、最高でした...。

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あと、英語WikipediaによるとアランはADHDだそうで、ブラックジャック必勝法の本を読み込んでいた伏線が回収される、探偵ガリレオのopみたいなあのシーンは素晴らしかったです。おじゃま者だったアランに対する愛情が急増するシーンでした。
(参考: https://en.wikipedia.org/wiki/The_Hangover#Cast )


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