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「よく噛んで食べなさい」って意外と難しい

子供の頃、よく親に「よく噛んで食べなさい」と言われた経験はありませんか?テレビドラマやアニメでも、「よく噛んで食べなさい」なんていう場面を見たことがあるかもしれません。高齢者の食事場面でも、「よく噛んで召し上がってくださいね~」なんて言葉にされたこともありませんか?

1.咀嚼とは

咀嚼とはどういうことを言うのでしょうか?
咀嚼とは「摂取した食物を歯でよく噛み砕くこと」だそうです。さらには、「食物と唾液をよく混ぜ合わせること」「噛み砕いて味わうこと」だそうです。
単に、食べ物を噛み砕くだけではなく、唾液と混ぜて、味わうという一連の行為が咀嚼だといえそうです。
食べものを噛み砕くのは飲み込みやすい大きさにするためであり、唾液と混ぜることで口の中で粉砕された食べ物を飲み込みやすい形にまとめることになります。この、飲み込みやすい形にまとめることを食塊(しょっかい)形成と言います。

2.咀嚼する時の顎の動き

食べ物を口に取り込む際、私たちは前歯でその食べ物を噛み切ります。そして、よく噛み砕きます。その際には、顎は様々な動きをします。

噛む動作をイメージする際には、下あごを上下させる動きを連想されると思います。その動きだけでなく、下あごを横にスライドさせながらすりつぶすような動きをする場合もあります。

チョッパー型

下あごを単純に上下させる顎の動きはチョッパー型と言われ、比較的柔らかいものを咀嚼する際にこの動きをします。一方、下あごを横に動かしながらすりつぶす動きはグラインダー型と言われ、繊維の多い物やバラバラになりづらい肉などを咀嚼する際にこの動きをします。

日本人の主食である米は、よく噛んで甘みを引き出しながら味わう食べ物になります。日本人は米を食べる習慣から、よくグラインダー型で咀嚼をしています。グラインダー型はすりつぶす以外にも、噛み切る・砕く・汁気を絞るなどの働きがあります。お出汁の染みた椎茸を食べるところを想像してみてください。顎を上下に動かすチョッパー型ではなく、グラインダー型で椎茸の中まで染みこんんだお出汁をじゅわっと絞り出し、味わいながら、ゆっくりと噛んで食べるのではないでしょうか。
このように、私たちは食べ物によって、噛み方を変えて食べています。

3.噛むことの効果

「よく噛んで食べなさい」と言うからには、健康の為に良い効果があるからだと思います。どんな効果があるでしょうか?

 ①肥満の予防になる
  
よく噛むことで満腹中枢が働き、食べすぎを予防できます。
 ②味覚の発達に良い
  よく噛んで味わうことで、食べ物の味をはっきり感じられるようになります。
 ③構音(言葉の発音)がはっきりする
  よく噛むことは、口周りの筋肉や舌をよく使うことに繋がり、発音もはっきりしてきます。
 ④脳が活性化される
  
よく噛むと、脳に刺激が行き、活性化します。高齢者は認知症の予防にも効果的です。
 ⑤歯の病気の予防になる
  
よく噛むことにより唾液の分泌が良くなると、唾液が歯周病や虫歯の発生を予防してくれます。
 ⑥がんの予防になる
  唾液の中には、発がん作用を予防する働きがあります。
 ⑦胃腸が快調になる
  よく噛んで食べ物と唾液を混ぜ合わせ、消化を助けます。
 ⑧全身の体力が向上する
  よく噛めることは、力を入れたい時・踏ん張りたい時にとても効果的です。

8つの効果の頭文字をもじって、「ひみこのはがいーぜ」という標語があるほどです。
美味しい食べ物は次から次へとパクパク食べたくなってしまいますが、噛んで、味わって食べることで、これだけの効果があると知ると、少し丁寧にゆっくり噛んで食べようと思えますね。


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