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とろみ剤は万能?

農作業をするには、約15日ごとに季節の変化を教えてくれる二十四節気より、もっと細やかな指針が必要でした。そこでそれぞれの節気を約5日単位で3つに区切って、その時期ごとに起こる自然の変化を示したものが「七十二候」でした。今日は10月3日。七十二候の48番目「水始涸(みずはじめてかるる)」にあたります。今日は水田を干して稲刈りに備える頃を指します。

一方、日付「と(10)ろみ(3)」の語呂合わせから、今日は「とろみ調整食品の日」でもあります。高齢化社会が進む中で、誤嚥による窒息や肺炎などが多発していることから、とろみ調整食品の大切さや使い方の重要性を多くの人に知ってもらい、誤嚥防止を広めていくことが目的の日です。

「お茶でむせた!」「味噌汁でむせた!」…そんな時に、とろみ剤を使用してトロミをつければ、もう安心!そう思っている方も多いかと思います。
実際、病院でもデイサービスでも、「誤嚥性肺炎ですので、トロミをつけています」「むせたのでトロミつけませんか?」と言われることがあります。

そんなとろみ剤は万能なのでしょうか??

1.世代があるとろみ剤

とろみ剤はいろんな種類がありますが、実はとろみ剤にも世代があります。

世代が新しいほど、溶けやすい、ダマになりにくい、元の味を邪魔しない等、前の世代のデメリットが改良されて使いやすくなっています。今は第3世代がよく使用されています。

2.とろみのつけ方

「とろみをつける」と、医療・介護の世界では日常茶飯事で行われている行為ではありますが、毎回、同じ濃度の適切なとろみをつけられていますか?

とろみは3つのポイントを意識してつけると良いと思います。その3つのポイントは「一気入れ」「縦混ぜ」「数分置き」です。

 ①コップの中の水分にとろみ剤を一気に入れて混ぜます。
 ②スプーンで水を切るように、30秒ほど縦に混ぜます
 ③かき混ぜた後は、粘度が安定するまで数分置きましょう

とろみ剤を入れる量によって、とろみの濃さを調整することができます。毎回、決められた量のトロミ剤を決められた水分量に合わせて入れることで、同じ濃度のとろみになります。
毎回同じコップ、同じ計量スプーンなどを使用することも大切です。

3.とろみ剤との相性

とろみ剤は飲料との相性があります。
水やお茶などには比較的すぐにとろみがつき、時間が経過しても濃さが一定である一方、味噌汁などの塩分が含まれるものや、牛乳などの乳製品、ジュースなどの不純物がふくまれるものは、とろみ剤がつきにくいです。

このようなとろみ剤と相性が悪いものについては、前項でお伝えしたとろみのつけ方に、もうひと工夫されると良いと思います。

 ①コップの中の水分にとろみ剤を一気に入れて混ぜます。
 ②スプーンで水を切るように、30秒ほど縦に混ぜます
 ③かき混ぜた後は、粘度が安定するまで数分置きましょう
+④再度、力強くかき混ぜましょう。

数分置くだけでは、味噌汁や乳製品、ジュースなどにはとろみがつかず、もう一度、しっかりと混ぜる、2度混ぜることでとろみをつけることができます。

4.とろみ剤は万能?

ここまでいろいろと書いてきましたが、とろみ剤は万能なのかを考えたいと思います。

世代の新しいとろみ剤を使用しないと、味や香りを損ね、召し上がる方が不快に感じる場合があります。
正しいとろみのつけ方をしないと、召し上がる度に濃度が変わることにより、誤嚥の危険性が高まる場合もあります。とろみが薄すぎることで気管に流れ込みやすくなったり、とろみが濃すぎることでべたついてしまい飲み込みづらいなどの問題が起きてしまいます。
とろみ剤との相性が悪いものについては、ひと工夫をしてとろみをつけることを知らないと、こちらも安定したとろみで召し上がることができません。

上記のように、ただ単純に「とろみをつければ大丈夫」ではないということです。対象の方の飲み込みの力に合わせて、濃度を決める必要もあります。良いとろみ剤を選択し、食材に合わせたとろみのつけ方をして、召し上がれると良いですね。

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