【短編映画】演技も撮影も初めてな高校生の作った映画が面白い
福島県伊達市、聖光学院高校の生徒が『ワンダテフルライフ』という短編映画を”伊達なミライ創出プロジェクト”の活動で製作。
製作に携わった聖光学院高等学校 普通科進学探究コースの生徒の皆さんと、引率の三瓶先生、そして共に映画の撮影・編集・共同監督を務めた佐久間鑑さんにインタビューをしました。
今回、皆さんはなぜ「映画」を選んだんですか?伊達市役所の方も凄く驚いていました。
牧野:僕がカメラに興味があったのが元々のきっかけです。伊達市の隣にある国見町のイベントで今回撮影を手伝ってくれた佐久間さんに初めて会って、カメラの話を聞いている内により欲しくなっちゃって。
それとは別に、ちょうど”伊達なミライ創出プロジェクト”のお話もあったので、そこでカメラを買って映画を制作してみようという話になりました。
佐久間:だから牧野君は撮影チームなんです。出演も少ししていますけど。
ほかの皆さんはそれぞれどういう役割だったんですか?
清野:僕は出演チームでした。初めての演技だったので、分からないことだらけだったんですけど、みんなの協力もあって最後までやりきることができました。
演技は初だったんですね。出演することに抵抗はなかったですか?
清野:目立つのがそこまで得意じゃなかったんですけど、メンバーの人数も少ないですし、出なきゃいけない感じになって(笑)。でも挑戦したことで前よりは積極性とか、みんなとも喋れるようになったのでやって良かったです。
佐藤さんの担当は何ですか?
佐藤:私は主人公の友達役で出演したり、「世界会議」のシーンでは動画撮影を手伝ったりもしました。
演技は初めてだったんですけど、基本は台本のままで、でも撮影中に面白くなりそうなフレーズが思い浮かんだら言い換えて演じて、色んなパターンを撮った中から良いものを選ぶという方法で作り上げていきました。
佐久間:佐藤さんと菊池さんはどこまでが演技だったの?2人ともすごく自然だったから。
佐藤:「こんなふうに言ってね」って指示があったり、ちゃんとセリフがある部分は演技ですけど、「なんかしててとか、普通にしてていいよ」って言われたときは、ほぼ素の自分です。
菊地:私も演技と素の自分と半分半分くらいかもしれないです。役に入れるように頑張ってたんですけど、あとから動画を観返してみたら「めっちゃ自分出てるな」って思いました(笑)。
面白いですね。「演じる」ことはどうやって研究したんですか?
菊地:テレビでやってるドラマの俳優さんの演技に、改めて注目したりしてみました。こういうシーン、心情の時はどんな顔をしているのか、どんな行動を取ったら良いのか、とかですね。
斎藤:僕の担当は主人公である清野くんの親友役と、伊達市役所への報告会でのプレゼン担当です。正直に言うと、最初はみんながやっているのに付き合ってるくらいのスタンスだったんですけど、いつの間にか夢中になって一緒にやってました。
完成した作品を見てみて、どんな感想でしたか?
斎藤:夏休み中もみんなで一生懸命作っていたこともあり、素直にすごい作品だと思いました。でも自分の演技が撮影中は完璧だと思っていたものでも、後から振り返ってみると、もっと動きを増やした方が良かったな…とかもっと上に行けたかもと思う気持ちもあります。
映画の設定は”あるかもしれない近未来”だと思うんですけど、こういう設定にしたのはなぜですか?
牧野:『ワンダテフルライフ』は細田守監督のアニメ映画『サマーウォーズ』を参考にしている部分が多いんです。設定や田舎の風景の描きかた、サマーウォーズの舞台と伊達市の人口は同じくらいなのではないかという想定も含め、参考の指標にしています。
物語の設定は、「何よりインパクトがないといけない」と考えていて、そうすると少しくらいブッ飛んでいたりする方が良かったり、観たいって思ってくれる人も多かったりするのかなと考えて作りました。
斎藤:僕は、実は『サマーウォーズ』を観たことがなかったので最初はイメージが湧かなったんです。Amazonプライムで試しに1回観てみたら世界観にはすごいグッと来るものがありました。
三瓶先生:映画のラストで、花札で一瞬負けてアバターを全部取られかけるけど、海外のユーザーが自分のアバターを差し出してくれて、それを見てどんどん増えていく…というシーンがありますよね。
人口が一度減少してしまうけど、そこからまた増えていくというイメージが今回作りたかったこととも合致したので、『サマーウォーズ』を主軸としてオリジナルに作りたいとスタートした経緯もあります。
『サマーウォーズ』の公開年は2009年。みなさんが生まれた直後ぐらいの映画ですけど、古く感じたりはしませんでしたか?
牧野:ガラケーを使ってる、とは思いました(笑)。
三瓶先生:そっか!自然に観てた。なんかショック。
みなさんが映画製作の過程で印象に残っていることを、それぞれ教えてもらえますか?
菊地:1番は、保原総合公園での佐藤さんと遊んでいるシーンの撮影。何かセリフがあるシーンではなく「遊ぶ」シーンだったんです。なので演技じゃなくてそのまま楽しんでしまいました。結果的に、自然体に楽しんでいる演技になったと思うので、これから見る人にもぜひ注目して見てみて欲しいです。
清野:印象に残っているのはやっぱり完成した映画本編を見たこと。実は、撮影中はあまり映像確認ができなかったんです。自分でもどんな感じの演技なのか分からないまま進むこともあったので、映像を初めて観た時は今まで頑張ってきた分も含めて、すごく感動しました。
佐久間:意外とバタバタだったんですよね、撮影が。みんなも帰らないといけないから、終わったら即撤収、ということも少なくなかったですね。
斎藤:僕はプレゼン発表です。中間発表の時は15人ぐらい、最終発表会では50人ぐらいの方がいたのですごく緊張しました。
プレゼンの中で、映画のストーリーを初めて見る人にも分かりやすく伝えるにはどうすればいいかを凄く考えました。先生や周りのみんなからもアドバイスとかをもらったりして。この経験から得られたものは大きかったと思います。
監督の牧野さんはどうでしょう?
牧野:印象的だったのは、謎の少女が現れてそこへ伊達市歌の歌詞を引用した「はねのありか」という曲が流れるシーンを撮影したとき。撮影日は最初、雨だったんです。それが、ロケ現場に着くころにはちょうど晴れて、夕焼けがすごく綺麗で、それも撮影できたので特に印象に残っています。
佐久間:撮影中はほとんどが雨だったんですけど、「謎の少女」役の1人だけ2年生(当時)の佐藤さんが来る時には晴れてたんです。だからやっぱりそのクライマックスのシーンでも晴れるんだねって話してたんです。
最後に、三瓶先生が何か印象に残っていることはありますか?
編集された動画をみんなで初めて観た時ですね。1番みんなが感動していたのは、挿入歌の「はねのありか」。本当にすごいねって。本当に映画になっちゃったよって、みんなで言っていました。あの曲が、この映画を素晴らしいものにしてくれたんだなって感じます。
市役所の方も言っていましたが、権利まわりの整理が大変だったみたいですね。
今回の映画製作では、生徒のみんなは何に対しても素直に全部受け入れて頑張ってくれていたんです。ところが、この曲が使えないかもしれないってなった時に初めて「本当に悲しいです。なんとかしたいです。」って。
それまであまり感情を出さなかったみんなからそういう言葉があって、それだけあの曲に衝撃を受けたんだなっていうのは、その時に思いました。結果、色んな方の尽力があって曲が使えることになり本当に良かったです。
▼映画『ワンダテフルライフ』はこちらから
▼はねのありか『ワンダテフルライフ』主題歌
▼はねのありか『ワンダテフルライフ』劇中歌
(写真:佐久間 鑑)
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