『オオカミ少年ならぬ、オススメ少年』
私は日本一の湖のある県に生まれ、小学生時代を過ごしていた。
雄大な自然に囲まれ、周りの友人達は湖でバス釣り、山登りとアクティブな遊びをしていた。
私はと言うと、休日になると父に頼んで本屋さんか文房具屋さん図書館へと連れて行って貰っていた。
その中でも図書館は、特にお気に入りの場所で本が沢山あり、無料で借りる事が出来る私にとっては夢のような場所であった。
父が本を探している背後から、突然驚かすみたいな遊びをしていた記憶もあるが、私もしっかりと本を探して読んでいた。
その当時、青い鳥文庫の『パスワードシリーズパソコン通信探偵団』が特に好きで、何度も借りて読んでいた。
画像を見ただけでも懐かしくなり、内容まで思い出される。
このメガネの男の子がトイレで長く本を読むみたいな設定があり、当時の自分と一緒だなぁと思っていた記憶が蘇る。
この青い鳥文庫以外にも、図書館司書の方達が選ぶ「今月のオススメ本!」みたいなコーナーが設置されており、そこにある本を中身を見ずにタイトルや表紙だけで選んで借りていた。
読めもしないのに難解な小説から、絵画が沢山載っている写真集みたいな本まで色々借りていた。
その時に読んだ本は、ほぼ覚えていないのだが一冊だけ今もタイトルも覚えている本がある。
それは『やさしいC』という本である。
この表紙を見てパスワードシリーズと少し違った懐かしさを感じた。
小学生のお布団こもり少年は、この本を『やさしいCってめっちゃダジャレでおもしろ!!』と思って借りたのである。
家に帰って中身を見るとあら大変、よく分からない記号がいっぱい載っているのである。
ダジャレなど一切書かれていなかった。
そうこれはプログラミング言語であるC言語の入門書であったのである。
(正直今読んでも、ちんぷんかんぷんだ。)
おもしろダジャレの本じゃ無かったのか!!という衝撃があった事を今でも覚えている。
そんな事があっても、毎週のように図書館に来ては、懲りずにオススメ本を片っ端から借りてその後も読んでいた。読めていたかは定かでは無いが。
そんな私は図書館司書達から、オオカミ少年ならぬ、オススメ少年と呼ばれていたに違いない。
オススメ少年は大人になったが、今でも書店に行くと「書店員が選ぶ!」みたいなPOPに弱いのは、昔から変わらない。
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