330 桜守(さくらもり)
はじめに
3月も終わりだというのになんだか寒い日が続いていますが、桜の季節になりました。昼間はあまりゆっくり見に行く機会が無いので大概、私は夜桜を楽しむことが多いです。
今日の教育コラムは、おすすめの桜スポットを紹介しながら、美しい桜を守る取り組みについて少しだけお話してみたいと思います。
おすすめ
各地に桜の名所はあり、地元の人々に親しまれています。新潟の高田の夜桜、長野の高遠の桜などなど私のお気に入りの桜はこの二つですが、圧巻なのが、青森県の弘前公園の景色です。
弘前公園のソメイヨシノは、樹齢が長くソメイヨシノとしては珍しく100年を超える樹木がたくさんあります。
二の丸にある木は日本最古級といわれています。ソメイヨシノは、成長が早く、寿命が比較的短く60年前後と言われていますので、弘前公園にある400本を超える樹齢100年クラスの桜は、大変貴重なものということが実感できます。
桜の管理
弘前公園の桜のすばらしさは、桜の美しさ、ボリューム、木々の配置など様々な条件があるわけですが、多くの専門家が注目するのは、その木々の管理です。
有名な話ですが弘前公園には、日本の桜の3大名所としてその名にふさわしい桜の管理の専門機関が存在します。この機関の名称を、弘前市公園緑地課「チーム桜守(さくらもり)」と呼ばれています。彼らは、その専門的な知識と経験を駆使して、日本最古のソメイヨシノを始め、約2600本の桜の木を守り、育てています。
さて、ここで問題です。「なぜ、青森県弘前公園の桜は、他に類を見ない樹木の管理体制を成しえ、樹齢100年を超える桜の木を何百本も管理できているのかを青森県の特性を用いて説明してみてください。」と聞かれたらどのように答えを考えるでしょうか。
林檎と桜
桜の管理は古くから枝を大きく切るとそこから病気が入り、生育によくないと言われていました。しかし、弘前公園で樹木の樹勢が弱っている木の手入れをしていた元リンゴ農家の方が弱った枝を切り落とす対応をとりました。
そうした剪定方法は、リンゴの栽培日本一の青森県のリンゴ農家の方々にしてみれば樹木の特性を十分に理解した上での対応でした。
論より証拠に翌年には切り落とした枝先から若芽が芽生え、徐々に樹勢が回復していったようです。その光景をみて、公園を管理していた責任者は、リンゴの栽培をしている方々に教えを請い、研究を進めました。
実は、桜とリンゴは同じバラ科で、栽培する上でも共通する点が多かったのです。こうした中で誕生したのが「弘前方式」と呼ばれる樹木を管理する方法です。
また、こうした研究の成果は一人の卓越した技術者だけが継承するのではなく、チームとして受け継ぎより確かにそして、多くの人の手で弘前の美しい桜を守り続けているのです。
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