435 医学部受験の判断の参考に
はじめに
今日の教育コラムでは、どんな視点で大学を選ぶのかというお話をしてみたいと思います。厚生労働省の公開している各大学の医師国家試験の合格率を資料として添付しておきます。参考にしていただければと思います。
医師国家試験の合格率だけでいいのか
医師国家試験は毎年、合格率が90%前後です。他の資格試験と比べると、ずいぶん高い合格率だと感じるかもしれませんが、そもそも医学部を卒業した人だけが受けている試験ですので、8割以上の人が受かる状況は決して不思議ではありません。
例えば、司法試験は合格率20%程度ですし、公認会計士試験などは10%程度ですので、こうした数字と比べると合格率だけ見ればかなり高い印象があるので少し、誤解が生じるかもしれません。
ここで重要なのは、どれくらいの人がこの試験までたどり着いているかという点です。医師になるためには医師国家試験に合格し研修医として2年以上の経験を積まなければなりません。さらに、医師国家試験を受けるためには大学の医学部医学科に入学し6年間の教育を受けて卒業する必要があります。このプロセスの中で、2つ乗り越えなければならないものがあります。それが進級と卒業試験です。まず、留年率が高いと卒業までの時間もお金もかかります。
次に、各大学は国家試験の合格率を上げたいので、卒業試験の時点で国家試験の合格の見込みのない人は、卒業試験自体で合格を出さないという可能性があります。
表の一部をみてみると出願者数と受験者数の差を見てみましょう。表は合格率上位の大学の医学部ですが、出願者の数から数人受験者が減っています。これは、出願をしている時点では卒業試験の手前ですので、卒業試験に通らなかったので国家試験を受けることができなかった人の数だと考えていいでしょう。
進級率がまず、6割程度の学校も多いことさらに卒業試験が通りにくい学校もあること、さらに国家試験も受かりにくい学校があるということを踏まえておく必要があります。
さらに、国家試験の合格率を上げるために卒業試験でいかに落としているかも見ていく必要があります。つまり、進級率や卒業率や合格率などを複合的に見ていく必要があるのです。
注目は新設医学部大学と地域枠のある大学
新設大学は、新しい卒業生を世に送り出し実績を上げていきたいと考えています。つまり、進級率や卒業率は高くなりやすいのです。医師国家試験をどう合格するかについても指導体制が丁寧な可能性もありますので、後は自分がどこまで頑張れるかということになります。
そして、間違いなく超が付くほど大切なのがまずは医学部に合格することですから、いかに受かるかを考えると、地域枠のある大学が地元にあれば絶対第一候補にしたいです。
医学部は、他の学部と比べ学費が高く留年した時点で予定していた学費を大幅に超えてしまいます。だからこそ、進級率や卒業率なども重要になるのです。大学を選ぶということは、自分の学力との相談だけであれば単純なのですが、住環境や将来の仕事との関りなど様々なこととの関係で決めていくわけですから時間が掛かりますし、詳しい人と相談してみることも大切になります。夏休みを前にしていよいよ志望校を定めて詰めていく時期になります。時間があれば少しでも早めに考えていきましょう。