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333 川勝ショック


はじめに

今日の教育コラムでは、リニア中央新幹線の完成が延期になったことについて少しお話してみたいと思います。
現在、静岡県が着工を認めていないリニア中央新幹線ですが、手掛けているのはJR東海です。2027年の開業を目指していたわけですが、静岡県知事と川勝知事が延々とごねているため、ついに2027年の完成が断念されました。静岡での工事には10年程度かかる計算で、現在停止している工事がすぐに再開されたとしても開業は2034年以降になってしまいました。

発展の遅れ

名古屋と東京・品川間を最速40分で結ぶリニア中央新幹線は、各地に駅があります。これにより、地方からでも都市部への出勤が可能になることで、都市への人口集中が抑制できます。人口減少が著しい過疎地域では、リニアの完成を心待ちにし、完成を想定した街づくりを進めているところもあります。この開業が2027年に予定されていたものが実現できなくなったわけですから、関係の自治体からは落胆の声が上がるわけです。

観光のゴールデンルート

リニアの開業は、好調になってきている観光にさらに効果的な影響を与えると言われています。リニアが完成すれば「観光のゴールデンルート」と呼ばれる東京や関西を中心に観光する訪日客が、名古屋を拠点に東海や北陸を周遊することが期待されていました。
しかし、こうした観光ルートの実現にも遅れが出ることになります。海外からのインバウンドが上昇してきている現在、この経済的な損失は大変に大きいのです。

産業の連携

中央リニアの完成は、愛知県の自動車産業と東京の情報技術産業との連携もスムーズになることが期待されています。開業の遅れによって、こうした産業の強化、国際競争力の引き上げにも遅れが出るとされています。
10年近い完成の遅れが、変化の激しい社会においてどれほどの影響となるのかはわかりませんが、先々を見越した多くの企業の2027年の未来のビジョンにきっとリニアは存在していたでしょう。

リーダーシップとは

川勝知事は、選挙に強い知事です。前回選挙でも2以下に大差をつけて当選しています。静岡には、日本で最も多くの新幹線の駅が現在存在していますが、今回の中央リニアの駅は作られません。
もし、静岡にリニアの駅が予定されていたら、このようにJR東海の工事を遅らせるような対応はとらなかったのではないかという話を報道などで耳にすることがあります。また、選挙でもリニアの駅が静岡に作られないため、リニアの建設に協力的であろうとなかろうと有権者は大きな争点としてとらえることがないのかもしれません。
私たちの未来が変わるようなインフラ整備のボトルネックがまさか一人の知事の個人的な判断にゆだねられることになるとはだれも予想できなかったのではないでしょうか。
様々な職場でもワークフロー(業務の一連の流れ)のなかで、業務の停滞や生産性の低下を招いている工程や箇所というものは少なからずあるものですが、特定の人間がネックになっている時は、特に気も使いますし物事を進めるのが難しいと感じます。実際に川勝知事のこうしたリニア妨害に対して周辺の関連自治体のリーダーも頭を悩ませている状態です。
横断型の大事業を進めるために、静岡の知事は県民の利益や声だけで行動するのではなく、大きなつながりの中でその責任を認識する必要があるのではないでしょうか。
優秀な人材を選挙で選ぶことがこれほどまでに難しいのだということを感じる出来事があまりにも多い今日この頃に少し、民主主義の限界を感じてしまいます。

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