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514 斎藤知事にダウト‼

はじめに

斎藤知事への擁護がだいぶ目立つようになってきたのは気のせいでしょうか。中でも外郭団体への天下り問題や港湾利権にメスを入れたという論調が多いように思います。そこで、今日の教育コラムでは今回の問題が公益通報者つぶしと、違法な捜査等により職員の名誉や利益、そして命が奪われた事件であるという点をはっきりさせていくため、兵庫県広報などの資料を基にここのところのデマについて少しお話してみたいと思います。

知事の手柄になってるけど

まずは、兵庫県広報(令和5年3月31日第3号外)1頁という公開されている資料の一部抜粋をご覧いただけたらと思います。画像で下記に添付したのは300ページ以上の資料のため、すべてを見ていただくのは困難なため、関係性の深い部分のごく一部のみを引用しています。

兵庫県 公報(令和5年3月31日第3号外)1頁(一部抜粋)
兵庫県 公報(令和5年3月31日第3号外)1頁(一部抜粋)
兵庫県 公報(令和5年3月31日第3号外)1頁(一部抜粋)
兵庫県 公報(令和5年3月31日第3号外)1頁(一部抜粋)

この文章の中には、「ひょうご埠頭」と「新西宮ヨットハーバー」という外郭団体の「問題」が指摘されています。この外郭団体がかなり前から本来の意義や目的について十分な検討が行われずに様々な処理が多くされていきたことが確認できたことを指摘しています。
西播磨の県民局もこうした外部監査の一つとして行われた多くの部局の一部であることも事実です。

外部監査とは

外部監査と言ってもどうせつながっているんじゃないのなどと考える人にとっては、知事が名を下して徹底的に調査するように命令したと考えるかもしれません。
しかし、自治体の包括的外部監査は、外部の公認会計士などと契約を結んで行われるこの調査は、知事が何かしらの意図や意向をもって支持することが出来るようなものではありません。
そもそも、この外部監査とは知事や県が監査を受ける立場なのです。この俗に言われている港湾利権の問題を指摘したのは、あくまでも包括的外部監査の公認会計士の方々であるということです。
つまり斎藤元彦知事は、この問題に気づいていなかったことや対応がなされていないことを指摘されたわけです。通常の思考の持ち主ならこの件を知事が港湾利権にメスを入れたと解釈することが間違いだと気づくはずですが、擁護派の方々は本来は問題に気づかないことを批判される立場を全く逆にあたかも闇の組織と闘う正義の知事のように語ってしまうのです。

斎藤知事の公約から

2021年斎藤知事は就任後の公約としてこうした港湾利権などに関わる外郭団体を含め、すべての公務員の天下り先について見直すことが必要であると述べています。
しかし、包括的外部監査で指摘があったように港湾の業務に関わる外郭団体の一つである、「ひょうご埠頭」などの団体の業務内容や実態について見直すことはありませんでした。1年以上が過ぎていたにもかかわらずです。そうした背景の中での外部監査の指摘だということです。
繰り返しになりますが、外部監査によって不正が明らかになった団体の責任者は兵庫県知事であり指摘を受けたのも知事です。それを、知事が外郭団体の不正を暴いた、知事の手柄だと大声で叫ぶのはどう考えても筋が通りません。
元県民局長の告発文章が知事が港湾利権にメスを入れた報復という話を作りたいのであれば、港湾事業に対して是正の必要性を指摘した外部監査の人々の存在を無視することになるわけです。

天下り問題について

斎藤知事がいかに天下りを減らしてきたかを見ていくことにしましょう。
斎藤知事が就任する以前の2019年から2021年までの2年間の兵庫県庁を退職した役職職員の内、天下りと呼ばれるような外郭団体に再就職した職員は44名になります。これは、天下り以外の再就職職員約90名に対して約半数となる値です。幹部職員は半数は外郭団体に天下っている状況だったのです。
では、斎藤知事が就任後はどのようになったのか見てみましょう。
斎藤知事は、天下り先の外郭団体の見直しを進めました。これは、外郭団体が天下りを受け入れているまたは、天下り先として作られたものであるという見方からすると適切です。
これが、斎藤知事が言うところの県民のために外郭団体をはじめとする天下り権力と戦ってきたという改革派としての業績アピールの主張です。
では、斎藤知事就任後の2022年から2024年までの約2年間に兵庫県庁の役職職員(本庁課長・室長級以上)の職員の内再就職した約85名の内、外郭団体に再就職した職員は何名かというと40名です。やはり、斎藤知事が改革したというここ2年でも約半数の職員が天下っているのです。
ちなみにここで言う外郭団体とは、県からの財政的支援や人的支援の関与を通じて県行政と様々なつながりをもつ公社を指しています。
実際に斎藤知事になってから天下っている幹部職員の割合が48%から47%にと1%減少していますのです、皮肉たっぷりにはなりますが、斎藤知事がおっしゃる通り、天下りを厳しく規制をしたことになるのかもしれません。
付け加えておくと、外郭団体の職員の内65歳以上の県職員OBに対して70歳までが慣例であった退職年齢を65歳までに引き下げ、今年度末で退職することを求めていることは事実です。しかし、こうした不利益変更や働き方改革などと合わせて高齢者の労働市場の拡充などを進めている側面からこの問題をどうとらえるかはまた別の話です。さらに加えておくともともと兵庫県の内規では、65歳定年は定められていました。しかし、様々な職場でもそうですが必要とされる人材であれば70歳まで定年延長することができるような仕組みを各現場で慣例的に運用してきていたのです。

斎藤知事の言うクーデター、政権転覆とは

そして、こうした話題の火付け役が斎藤知事自身だということについて最後に述べておきたいと思います。
百条委員会で知事が口にした言葉はその大半が繰り返しの同じ話ばかりでした。これは、不信任決議が可決された後に生番組に出演した際にも全く変わることはありませんでした。「誹謗中傷性の高い、不正の目的の文章」という主張を繰り返してきている背景には、彼が告発者の方が知事という立場を奪うために準備した攻撃だと思い込んだ瞬間から始まりました。
権力者が決めつけ、公開の場で一人の公務員を罵り心をそして人生そのものを傷付けました。彼がうたっている成果とは、いったい何なのでしょう。また、彼が本当にやりたかった改革とはどのようなものだったのでしょうか。
9月29日まであと7日、失職か辞職か議会解散かW選挙か、彼はこの土壇場でも県政を前に進めるどころか自分の身体の決断すらせずに、事前選挙活動顔負けのTV出演を重ねています。
私には投票権はありません。兵庫県民でもありません。しかし、民主主義が独裁者の手で衰退していることを見過ごすことはできないのです。

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