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42 フルーツサンド(Fruit sandwich)


はじめに

先週のコラムでは、時事ネタ(時事ニュース)を取り上げ、教育現場や学びの姿に関連づけて記事を投稿してきました。今日からの1週間は、「流行」をテーマに最近自分自身が気になっている物や人物、出来事などを取り上げてみたいと思います。ちなみに今日は、「フルーツサンド」を通して、少し考えてみたいと思います。

フルーツサンド

少し前から大人気で、専門店などでは午前中に売り切れてしまうなんてこともざらですが、皆さんはフルーツサンド好きですか?私は、見かけるとついつい少し贅沢なんですが、我慢できずに1つ買ってしまいます。基本的にミカンかバナナが入ったものが好きです。
店頭のガラスケースの中に旬の果物を生クリームなどと共にパンにはさんだフルーツサンドが並んでいるわけですが、その断面がとてもきれいで観ているだけで手が伸びてしまいます。さて、このフルールサンドですが、サンドイッチの仲間なわけですが、ある種、スイーツでもあるのでケーキのような感覚で私は接しています。手軽にお皿などを使わずに仕事をしながら食べれる点はまさに、サンドイッチの利点そのものなわけです。
サンドイッチの起源は、とても有名なお話ですので簡単に触れておきます。サンドイッチの考案者は、イギリスのサンドイッチ伯爵です。名前の由来はここからきています。誕生の経緯は、カードゲームなどをしながら片手で気軽に食べられる軽食として様々な具材をパンにはさんだことに端を発していると言われています。ですから、サンドイッチ伯爵の誕生日である11月3日は「サンドイッチデー」とされ、今日では食にまつわるイベントが行われるなどしています。ちなみに3月13日もイチをサンでサンドしているのでゴロ合わせでサンドイッチの記念日とされています。それだけ、人々の食生活になじみのある食べ物であると言えるかと思います。

フルーツサンドの歴史1

ここでは二つの説を紹介します。まるで邪馬台国の九州説と近畿説のようですが、フルーツサンドはどこが発祥なのか少しまとめてみたいと思います。
まず大前提として「フルーツサンド」という名前は日本が発祥だと言えるでしょう。それは、「サンド」の部分にあります。サンドイッチは世界でも通じますが、サンドと省略して読んでも通じるのは日本だけでしょう。サンドは普通、「砂」と訳します。日本ではこうした外国の言葉を和製英語にして用いる文化がたびたび見られます。例えば、アルバイトという言葉がありますが、これはドイツ語のarbeitという仕事を意味する単語に由来しています。ですから英語と勘違いしてアルバイトと言っても非正規の時間労働などと理解してもらうことはできません。英語では、「part-time job」と一般的には言います。「フルーツサンド」という言葉は、日本で当初は「フルーツサンドイッチ」と呼んでいたものが短くなり、一般的には短くして呼ぶ方が定着していったのでしょう。

フルーツサンドの歴史2

料理としてみた時も、このフルーツをパンではさみサンドイッチにするという商品そのものも日本が発祥ではないかと考えられています。
フルーツサンドが誕生したのは、大正時代の終わりから昭和の初めだということは定説となっていますが、発祥の地として有力な説が二つあります。
一つ目の説が「京都発祥説」です。この根拠は、京都の喫茶店には「フルーツサンド」を定番メニューに出しているお店が多いというところにあります。20年以上前の経験ですが実際、私も京都で生活していたことがあり、他地域を巡った経験と比較すると確かにフルーツサンドを喫茶店でよく見かけた印象があります。
二つ目の説が「東京の千疋屋(せんびきや)説」です。高級フルーツと言えば千疋屋というイメージをもっている方も多いかと思いますが、実はこのお店は日本初のフルーツパーラーをオープンしたお店としても有名なのです。フルーツパーラーとは、果物そのものを売るだけではなく、フルーツをつかってケーキやジュースなどを提供する喫茶店をイメージしていただければよいと思います。千疋屋が「果物食堂」という名前で現在で言うところのフルーツパーラーを開業したのが、今から約155年前の1868年になります。戊辰戦争がつづいているころで、明治元年の五か条の御誓文が出されたころですから、当時とすれば相当新しい感覚で開業されたお店であることが想像できます。
明確にどちらの説が正しいかは言えませんが、現在では、愛知県、静岡県、山梨県などを筆頭に各地でフルーツサンドの人気を支える有名店がたくさん登場しています。

専門店の強みを生かす

街のお肉屋さんで売られているコロッケやからあげがおいしいのは、お肉の性質を熟知していることもそうですが、おいしい素材を目利きして、手軽に提供できるように仕入れて加工していることがその理由として考えられます。同じように、フルーツサンドのおいしいお店の中には、もともと果物屋さんを営んでいたお店が、自分で仕入れたおいしいフルーツを用いてフルーツサンドとして提供しているというケースが多く見られます。鮮魚店にも同じようなことが言えますし、実はお米屋さんにも同じようなことが言えるのです。仕入れた新鮮な魚介類を販売することはもちろんですが、その素材をお寿司や焼き物、お刺身にして売る方が付加価値をつけて売ることができます。お米も、おいしいお米でおにぎりをつくり売るなど専門店の強みを生かした商売の様子からは多くのことを学ぶことができます。
実は、この動きは教育の現場でも起きているのです。例えば学習塾が学童を行ったり、学校そのものがアフタースクールを手掛けたりといったものも形を変えた教育サービスを専門店として提供しているわけです。時代の変化に合わせて強みをいかしていけるのが専門店のポテンシャルというわけです。

時代と共に

東京などの大都市で今でも見られる傾向として、駅前の青果店があります。地方でも大きな駅の近くの商店街にもよく青果店があります。これは、果物を贈答品としてお見舞いやご挨拶に行く際に用いるという文化が関係しています。まだ、交通網や輸送手段が今ほど発展していなかった頃、新鮮なフルーツは高級なものとして扱われていました。
果物は重さもあるため、最寄りの駅で購入して目的の場所に向かうという習慣があったのです。ですから、駅前に青果店(果物屋さん)という組み合わせは理にかなっていたのです。
そして、現在、皮をむいたり切り分けたりせずにおいしいフルーツを味わえる点、果物の見た目や形にとらわれず、味や食べ時を重視して用いることができるという点、手軽に持ち運びでき、差し入れやお土産としても好まれるという点などに多くの人がひかれ、人気を呼んでいるわけです。
流行を見ていくとその時代の姿だけではなく、過去や未来にも視野が広がる気がします。

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