540 斎藤元彦「研修が必要です」
はじめに
今日の教育コラムでは、兵庫県の県人事委員会が異例の報告書を提出した件について少しお話ししたいと思います。
人事委員会の報告では
10月16日に提出された報告書では、知事や副知事らが公益通報者保護法やハラスメント防止について学ぶ研修を実施するなどの対策を求めています。なぜ異例かというと県の人事委員会がこうした個別の問題について対策を求めることはほとんどないからです。
今回の個別の問題というのは、元西播磨の県民局長さんの告発文書に対する一連の知事をはじめとする犯人の探索やその後の不利益処分の問題だといえます。つまり人事委員はこの問題を踏まえて、管理職、特に知事や副知事といった権力者に対してハラスメントや公益通報者保護法についてしっかり学べということを指摘しているのに等しいのです。
この報告書の中で、今回の公益通報者への対応の問題が原因で兵庫県政が半年にわたって停滞している、混乱していることも問題視しています。
県民の信頼を回復するためにも、職員が職務にまい進できる環境を整える必要があるという指摘は大変意味深く、知事や副知事の今回の件でのふるまいは、県政を大きく混乱させた原因だったのです。
11月17日に決する知事が誰であろうとも、公益通報者保護法とハラスメントについて今度こそ十分な理解をした人間が県政をリードしなければならないという強い意志を感じます。
また、具体的に今後県職員の方々が公益通報をする場合に外部窓口に相談できるような仕組みもこの提案の中には含まれています。これも大きなことで、権力者からの圧力を心配せずにやはり問題が問題だと言えるそんな環境が重要だと思います。
兵庫県は、来年にも研修の開催を検討する方針とのことで、やはりこの県政の混乱の始まりは、権力者のこうした法律に対する認識不足が少なからず存在していたのだと改めて認識できるのではないでしょうか。
人事委員会勧告とは
また、一部の斎藤前知事の擁護派の方々がこの時期に県職員の給料が上がるのは、斎藤県政を失脚させたかった県職員の陰謀だという様なお話をする方がいますが、それは全くの誤解でデマです。
人事委員とは、地方公務員は憲法で保障された労働基本権が制約されているため、その代償措置として、人事委員会の給与勧告制度により、情勢適応の原則に基づき職員の給与水準を民間の給与水準に合わせるとともに、必要な給与制度の見直しを行うことにより、職員の適正な処遇を確保しようとするものなのです。ここで言う労働基本権とは団結権、団体交渉権、団体行動権などのことを意味します。
人事委員会は、毎年「職種別民間給与実態調査」及び「職員給与実態調査」というものを実施し、その結果に基づき、県職員の給与などを社会の実態に合ったものに是正していくのです。これが無いと公民の給与水準を均衡させることができないわけです。
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