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54 カステラ(Castella)


はじめに

日本とポルトガルが貿易をはじめたのが、16世紀のことです。1543年には鉄砲が種子島に伝来したり、1549年にはキリスト教が伝来したりと、この時期に日本は外国との関りを様々な面で見せていくことになります。
当時とすれば、こうした海の向こうから伝わってくる、ヨーロッパの見たこともない技術や武器、そして、甘い金平糖などに代表される砂糖菓子は大変貴重で高価なものでした。そうしたものの一つに、「カステラ」という食べ物もあったわけです。

長崎カステラ

長崎の友人が、わざわざ訪ねてきてくれた時のことです。手土産に持参してくれたものが、「福砂屋」の長崎カステラでした。とにかく手作りにこだわったカステラで有名なお店で、私も実際に長崎に行った時には必ず並んで買うようにしていましたから、久々にその味に出会えてとてもうれしかったことをよく覚えています。
この福砂屋のカステラは、16世紀にポルトガル人から教わったレシピで今でも作っていて、添加物などが入っていませんから、作り立てをできるだけ早めに食べることが肝心です。個人的には邪道ですが、一切れだけは冷たい牛乳に浸して最後の一口を楽しむようにしています。
シンプルなカステラの中に、こだわりがあるこの一品の最大の魅力は、私は甘さのハーモニーだと感じています。水あめの甘さ、ザラメの甘さ、上白糖の甘さの三重奏が、心地よく口の中に広がる感じがたまりません。

カステラの歴史

ポルトガルから伝来したとされるカステラですが、このお菓子は今のスペインにあったカスティーリャ王国のお菓子がルーツだと言われています。カステラの語源もこのカスティーリャ王国に由来しているそうです。
貿易商人や宣教師によって海外との窓口であった長崎に伝わりそこから広がっていったため、長崎は今でもカステラの聖地とされているわけです。
偶然にも種子島にポルトガル人が漂着したことから始まった、日本とポルトガルとの交易ですが、私たちの食文化に今もこうして深いつながりを見せていることを考えると、鉄砲の伝来はもちろんですが、もっと大きな歴史的な転換点を感じてしまいます。

菓子検定

昨日のコラムでは、ラーメン検定についてふれました。今日は、カステラのお話をしてきましたので、「菓子検定」なるものを紹介したいと思います。この検定は、「お菓子の可能性を感じ、もっとお菓子を楽しむ」ということを目的にしている検定です。出題される問題では、食材、製法、道具、文化などが問われます。お菓子作りを学ぶ、お菓子との関わり方を学ぶことで、お菓子のおいしさをもっと感じてほしいという学びのスタイルがとても素敵です。
大きく分けて、洋菓子部門と和菓子部門の問題が出題されるようで、ケーキが得意なだけでは、合格は難しいようです。まさに、お菓子全般について関心を広げていく必要があるわけです。
きっかけは、好きなお菓子からで、そこからさらにつながりのある分野へと学びを広げていく過程は、まさに探究心を育む学びのプロセスそのものです。難しい検定以外にも好きなことを学べる検定はたくさんあります。
菓子検定もそうした試みの一つだと思います。


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