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アホは永遠にそばにいる

誰かを誹謗中傷してそうな内容のタイトルに見えるかもしれないが、そうではないので安心して欲しい。

僕の性格は熱しやすく冷めやすいだ。
よく言えば「思い立ったが吉日」を体現する毎日が記念日男、悪く言えば向こう見ずといったところだろうか。

大学生2年生になった今、ある程度アルバイトでお金がもらえるようになってから「思い立ったが吉日」が加速していく。

風呂場で自分の体をふと見ると、浪人の時に単語と一緒に詰め込んだ脂肪が大勢顔を出してきた。
ここからは単純な思考である。
月5000円以上するジムに入会した。オンラインで入会予約をし、後日ジムで入会手続きを行ったが、ジムでの入会手続きの最中には既にマッチョになりたい熱は冬を迎えており、後悔しながら契約した。
月会費を二ヶ月分取られたので、二ヶ月間消化試合が待っている。

一言で言えばアホである。

思い立ったが吉日症候群は今に始まった事ではない。
小学生の時から既に症状は出ていた。

2013年、僕が小学5年生の時の時である。
世の中はiPhone5sが販売された年であり、ようやくスマホという物が身近になり出した頃である。
症候群を酷く患っていた僕はそのトレンドに乗りたくて仕方がなかった。
しかし小学5年生がスマホを持つなんて、地球温暖化を食い止めるより難しかった。
そこで当時仲の良かったクラスの友達2人を誘い、会社の設立をクラスのみんなに宣言。
社名は共同代表である僕を含めた3人の頭文字をとり、「株式会社和田丸」となった。
ちなみに未上場のユニコーンである。

どのようなものを販売していたのかというと、トレンドであるスマホであった。折り紙を買うと後ろに必ずあった灰色の厚紙使ってスマホの各パーツを作り、それぞれをノリやテープで繋げたどう考えても喉から手が出るほど欲しくなるスマホを販売していた。
このスマホを大量に生産すると意外とクラスで人気になり、男子は一人一台持つのがステータスになった。
動きもしない紙で作ったガラクタで喜ぶ男子を見る女子の視線は来世でも覚えているだろう。

僕は「したい!」を叶え悠々自適な小学生ライフを送っていたが、しくじりを犯していた事に、ある日気付く。

そのしくじりとはスマホを売り、消費者から折り紙をもらうシステムにあった。

スマホの作成には折り紙の厚紙が必要であって、折り紙は全く必要ではない。しかしスマホとそのクオリティに応じた折り紙の枚数を交換する経済活動は、どう考えても意味不明であった。
案の定、厚紙が不足し生産がストップした。
そうなればクラスのみんなの気持ちはどんどん離れていき、やっとのことで生産した新型のスマホには目もくれなかった。

なぜこのような状況になったのかを考えた結果、みんなはスマホを手にする喜びしか味わっていない事に気づき、厚紙にスマホの型が書かれた「スマホ作成キット」を販売し、手にするだけではなく作る喜びを提供すればいいと考えた。今思えば素晴らしいUXデザイナーであった。

スマホ作成キットはなかなか人気になるも、これまた折り紙との交換制であったため倒産した。

0→1も大切だが、1→10を考えることも大切だと知った。

スマホを販売する1年前、クラスではスマホゲーム「モンスト」が大ブームであった。自分のモンスターを敵に目掛けて、引っ張って離すと攻撃するという小学生でも簡単に遊べたことが人気だったのだろう。
モンストにハマっていた僕は授業中もモンストのことで頭いっぱいであった。
「授業中にできたらいいのになあ」をずっと考えて窓を見ていた。

そこで小学生がみんな通る道である「消しピン」を改良し、昼休みでもモンスト気分を味わえるようにした。

クラスで回収していたエコキャップを回収し、キャップの裏側に消しゴムを貼り付け、キャップの面には各々が書いたキャラクターの紙を貼り付けたコマで戦う、という方式であった。

キャップの色でそのコマのレア度を示すという形式だった。
真っ白なキャップのコマはノーマルレア、いろはすやカルピスソーダのように色のついたキャップはレアなど決まっていた。
作ったコマはレア度関係なくガチャガチャに詰め込み、戦いごとにその中からランダムに一つ取り出して、戦うという最高にワクワクする仕様だった。

エコキャップだけでは軽すぎるため、グリップ力と重さを兼ね備えた消しゴムを組み合わせることで、かなりいい勝負が繰り広げられるようになった。

しかし毎日新しいチャンピオンが出る事に悔しさを覚えた。
ゲーム作成者のプライドってやつだ。

より勢いよく敵にぶつかり、戦車のように敵を吹き飛ばす最強のコマを作ることを決意した。
家にあったUCCのペットボトルコーヒーのキャップはまさかの金色、それにすき家で手に入れた走るおもちゃのタイヤを装着した。

翌日、学校でそれを出すと輝かしいほどに美しかった。
商店街に一台の高級外車が停まっているように、みんなが釘付けだった。

昼休みを迎え、最強のコマを張り詰めた人差し指でデコピンすると勢いよく場外へ飛んでいきビリだった。
一見最強そうなそのコマはタイヤを装着している分、消しゴムをつける余白がなく羽のように軽い。さらに消しゴム特有の程よいグリップも皆無、見境なしに走り場外へ進むガラクタだったのだ。

アホは一生自分の側から離れないらしい。




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