スーパーでモンスタークレーマーの対応に首を突っ込んだ話

バナナを買いに行っただけなのに

僕は夜に銭湯に行くのが好きで、その日も銭湯でひとっ風呂浴びて、夜風にあたりながらチャリで帰路についていた。しばらくチャリを漕いで冷えた空気に心地よさを感じていたら、唐突にバナナを切らしていたことを思い出したので、家の近くのスーパーに寄った。これが災難の始まり。

スーパーに入ってバナナを2房と軽いお菓子(今思うと、このお菓子を選ぶ時間がいらなかったんだよなあ笑)をかごに入れてレジに行こうとしたんよな。
そしたら、青いシャツに黄色のカーディガンを着て、藍色のウレタンマスクをした身長175cmくらいの40代と思しき男性がいたのよ。多分顔はインパルスの板倉と弁護士YouTuberの岡野タケシを足して2で割ったくらいの顔。普通にしてれば2枚目でいけそうだった。

で、このおっさん、レジに僕が並ぼうとしたら急にこっちの方に向かって歩いてきたのよ。急いで歩いてくるから何事かと思って(なんなら若干僕にぶつかってるんだけど)レジの方を見たら、店員さんがいなかったんだな。で、レジに設置された呼び鈴を押せばいいのにも関わらず、わざわざ店員を呼びに行ったわけだ。

おっさん、店員にキレる

「まー前のおっさんが店員さん呼んでくれたんならいいかな」と思いつつ呑気に並んでたんだけど、事件はここから始まった。
列に戻ってきたそのおっさんが、少し遅れて平泉成さん似の店員さん(実際の苗字は違ったけど、「平泉さん」と呼ぶことにする)に会計をしてもらい始めた。するとそのおっさんが一言。

「おい、『遅くなってすいません』って言えよ」

どうやらそのおっさん、平泉さんが会計の前に「遅れてすいません」と一言添えなかったことにブチギレてしまったようなのだ。

(うわ、めんどくせえやつ……)と一瞬思って横目に様子を見ることにした。平泉さんは平泉さんで「なんやこいつ」って態度なので、当然ながら「遅れてすいません」なんて言葉は出てこない。そしたらそのおっさんがヒートアップし始めて、

「おいてめえ、『すいません』って言えよサービス業だろ!」
「てめえが待たせてんだろ?」

とまくし立てるわけだ。

それでも態度が変わらない平泉さん(なんなら「あんたなんなん?」くらい言い返してたかな?)を見たおっさんは暴挙に出た。

終わりのはじまり

「てめえいい加減にしろよ」(言った内容は不正確だけど)と言いながら左足で強烈なレジに強烈なシュートをかまし始めたのだ。確か2発。

音楽を流していないとは言えイヤホンをしていたとはいえ、やりとりはぜーんぶ聞こえてるし、なんならシュート音は丸聞こえだよね。
ここらでさすがに「これ止めたほうがいいかな」と思いつつ、「でも今行ったらおっさん刺激するだけだよなあ……」という葛藤もあって、スマホを見てるふりをしつつ様子を見てた。

ここで平泉さんがプッチーンとなってしまい、お金を払い終えた(ここは律儀なんやな笑)おっさんと平泉さんのメンチの切り合いが始まった。

「おいてめえ、『すいません』とかあんだろ」
「お前こそ態度なんなんだよ、あ?」

あーこれやべえじゃん、緊迫し始めてんじゃん、どーすっかなあ……と思ってたら、平泉さんが別の店員さんを呼びに行きはじめた。「おい、おい」と言いながら歩く店員と、その後を「てめえどこ行くんだよ」と言いながら追いかけるおっさんクレーマーの構図が繰り広げられる。

応援にきた別の店員さんは50代くらいの男性で、最初の店員さんと比べると会社員感のある方だった。後から来たこの店員さんを「リーマンさん」と呼ぶことにしよう。

リーマンさんが来ておっさんクレーマーの対応にあたり始めたところで、平泉さんが僕のお会計をしてくれた。平泉さんは開口一番「お待たせしてすいません」。これには笑いそうになった笑

僕の後ろにはもう1人若い女の子が並んでて、その子お会計中にくすくす笑い始めたんよ。多分おっさんクレーマーを見て笑ってたんだろうな。
(こいつまじかよ……刺激すんなよ……)って思いつつ見てたら、案の定「今そこの女の子笑ってたけどさ、いや店員がおかしくない?」とおっさんクレーマーの一言。キレたおっさんはどんなことも怒りにつなげてしまうようだ。

良心の呵責

僕はお会計を終えたのでこのまま帰ってもよかったのだが、良心の呵責に襲われ始めた。僕は所詮他人で、今回のトラブルに僕は一切関係ない。おそらく見て見ぬ振りをして帰っても何も言われないし、僕も他のお客さんがトラブルをスルーしても「仕方ないよね、関係ないし」と思うだろう。わざわざトラブルに突っ込んでやる義理など何もないのだ。

それでも、トラブルの行く末が気になって仕方がなく、店員さんは確実に困っており、どう考えてもレジを蹴ったおっさんが悪いという状況を僕は客観的に見ていた。店としては謝ることでおっさんの怒りを鎮めてさっさと帰ってもらいたいが、おっさんの怒りが収まって帰ってくれる気配はない。この状況を無視して帰ったら後味の悪い眠りになるに違いない。さあ、どうしようか。

迷った末に、僕はおっさんと店員さん2人に話しかけ、ことの顛末をリーマンさんに説明して客観的な状況を伝えることにした。

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