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「ゼロからのうつわフェス」ー深大寺陶芸教室 あおぞら陶器市 実行委員会体験ー

DishAppとしての「目標」のひとつとして、「うつわクリエイターさんと料理クリエイターさんが一緒にフォロワーさんを囲むファンミーティング・イベントにしたい」という夢があります。

そのための経験を得るために、自分が通う深大寺陶芸教室がはじめて企画した「クリエイター陶器市」に実行委員会として運営に参加しました。

今回は、自分のための備忘録を兼ねて、ゼロから陶器市をつくる場合、なにをしたらいいのかを、この「深大寺陶芸教室あおぞら陶器市」の経験から抽出してみたいと思います。

深大寺陶芸教室の過去のイベント実績「陶友会」

いままで、この陶芸教室では、教室の講師が主催する形式で、2階のギャラリースペースで年に1回、基礎講座卒業したクリエイターの人々の作品を展示する「陶友会」という展示会を行っていました。

残念ながらコロナでこの3年間、開催できないままに、無人展示だけで行っていました。

2022年末になって、教室に通う若い世代が、コロナ収束の機運を受けて「陶友会」とは別の、「よりクリエイター中心のうつわフェスティバル」的イベントをやってみたいという声を上げはじめたのです。

決起集会 2022年12月10日

遂に有志を集めた決起集会が招集されました。

・従来の「陶友会」の5月とはズラした時期
・道路沿いの駐車場でのオープン形式
・展示ではなく「販売」を主体にする
・開催は実行委員会を主体に計画する

などの大方針が決まります。

難問 参加者の多様性 時代感覚のズレ 共通言語の欠如

ここで、問題になったのは、教室に集う人々の多様性でした。

通っている年数も違いますし、習熟レベルも様々。個人で個展やギャラリー展示しているレベルの方もいれば、陶芸を始めてばかりの方もいます。

さらに言えば、陶芸に求めているものも様々です。「販売」する気などない人もいるし、原価以上の利益を考える人もいます。

それだけでなく、年齢層も、職業も違い、それによりイベントに対する理解度も大きく差がありました。
また特に、会社経験の差から協働体験や、SNSの熟練度など、協働運営していくベースが整わないという問題が生じました。

また、教室主催側も、こうした新しい試みに対して、ポジティブなチームもあれば、逆にリスクを懸念するチームもありました。特に収支の対する基準や、ボランティアに対する対価のズレもあったようです。

目標の設定


そこで、まずイベントの最終成果目標の協働理解を図りました。

コンセプトワークということで、KJ法的に楽しくワークしたかったのですが、この段階からこうした協働ワークに慣れていない方が多く、不信感満載
(笑)。「好きなだけ紙にアイディアを書いてください」ってお願いを通すだけで議論しなきゃいけないレベルで、こりゃ、ベース合わせに時間かかりそうだわって、スタートでした。

①3月3-4日の深大寺だるま市(ひな祭り)に合わせて決行


②「1日1回、自分の陶芸作品を理解してくれる人に買ってもらい、その販売の喜びを知る」


③参加クリエイターに付き10名の人を集める=200人以上


なんとか、上記のような、大会の成功イメージのすり合わせを有志のコンセンサスとしてまとめました。

一番大事だったのは、この初期の段階で、「イベントの2日間で、1日1回、自分の陶芸作品を理解してくれる人に買ってもらい、その販売の喜びを知る」という定性目標が決まったことだと思います。
これにより、クリエイター参加費をいただくにしても、その費用回収よりも参加した時のエンジョイ感にシフトして、いかに楽しく、充実した出展体験できるかという方向にすれば、これは成功なのだと、みんなが理解できました。

イメージ合わせ後、「実行委員会」の組織化

大目標ができれば、後は「この成功イメージをいかに具体化するか」という戦略を「実行方法」として、相談することができます。

そのために、この有志グループを、実行委員会として組織化し、このチームで戦略を立案し、具体化する計画をつくり、実際の活動をしていくことにしました。

とはいえ、毎日通勤する会社とは違い、教室に通うのも週1回でそれも曜日や時間がすれ違っているメンバー同士なので、教室講師がハブになり、SNSで連絡を取り合うような方法論が検討されました。結果、LINEグループを実行委員会で使うことになりました。

上記が第2回の実行委員会のLINEでのアジェンダです。

すべきこと ー 工程表・ガントチャート作成


皆さんの顔にはあきらかに「ガントチャートってなに????」という、感じででした(笑)。
こうしたバラバラなメンバーを統括して、みんなに作業全体を理解してもらうためには目標達成から逆算した「プロジェクトマネジメント」が重要になります。
目標に掲げた「1日1回、自分の陶芸作品を理解してくれる人に買ってもらい、その販売の喜びを知る」という活動を実行するためには、イベントに来場してもらう人を集客しなければいけません。そのためには広報活動が大事です。イベントの内容も展示販売だけでは集客としては弱いとなります。
当然、大人数を呼び込むためには、通路を確保した会場設置や飾りつけ、駐車場・駐輪場、トイレ・救急医療体制などの手配も必要になります。

これらを残り3ケ月の活動期間のなかで、いつまでに何をすれば実行可能になるか、逆算でスケジューリングする必要があるのです。

実際、今回はコアメンバーがガントチャートをつくり、各メンバーはコアメンバーから納期と役割を教えてもらった形なので、この工程表があまり共有されなかったのですが、実は初期にこのガントチャートがあったことで、準備が「漏れなくダブりなく」できたのだと思います。

会場の想定

工程表により、タスクが明確になると、メンバーごとに得意のジャンルで活躍する場が明確になり、自分の提供できる時間と能力によって、続々と、やるべき仕事に対して、やりたい人が名乗りを上げてくれる状態になりました。
写真は、駐車場を改造したイベントスペースの設計図で、これはもうcm単位の素晴らしい緻密な設計図でした。こうした専門性を引き出すことができたのは、明確な目標と工程分解によって成し遂げられたと考えています。

ほかにも、会場でバルーンアートをやって、子ども連れを呼び込もうとか、大きな器のロクロ実演を教室主宰にやってもらおうとか、カンバンアートを1週間前から会場に設置して近隣にアピールしようとか、目標の達成に効果を出しそうなプランがどんどん追加されていきました。

イベント命名と初期のデザイン合わせ

当時このイベントを「深大寺mini陶器市」と呼んでいました。
そのイメージでのデザインプランが上がってきたところです。

ところが、この「深大寺」の名称を使うことに待ったがかかりました。
当日、近隣の深大寺では恒例の「だるま市」が開催されるため、その関連イベントと誤解されない方がいいとの指示でした。
二転三転したうえで「深大寺陶芸教室あおぞら陶器市」の正式名称に決まりました。

ポスター、チラシに加えて、大きなのぼりをつくって、道路からアピールしようということになりました。


デザインコンセプト決定

「不足していたのは、そうだフェス感!グランピングだ!」


ここまで、いろいろと準備を重ねてきたのですが、どうも過去のイメージを払しょくしきれてなくて、昭和の感覚が漂っていました。

このガーラントを大きく飾りたいということから、そうだ!そういうフェスティバル的な感覚が足りなかったんだよって、みんなのイメージが方向づけられました。こうやって実物を見ながらみんなで意見を言い合う機会は大事なのだと痛感しました。

このガーラントの導入から、イメージコンセプトが「グランピングのテイストがあるフェス感!」にしようと急速に固まっていきました。
これ以降、デザインするときにこうしたコンセプトが統一していきます。

集客活動 昭和の集客から令和の集客方法を続々導入

過去のギャラリー展示では、従来型の地方新聞やチラシ配布などいかにも昭和のPR方法で集客を図ってきたとのことで、その踏襲が一案出ていましたが、せっかっくだから、最新のPR手法も導入していきましょうよと、提案し、様々な新しい方法が採用されました。

クーポン導入

手配りのハガキチラシにクーポン券が付いていて、当日300円引きになモノですが、これは同時に公式LINE上でもLINEクーポンで実行されました。
当日にお友達登録されても有効で、かなりの人がこれで集客したり、LINE登録してくれました。

ラジオ収録

地元の調布FMに番組をもっている知り合いがいたので、無理を言って企画を2番組通していただきました。これ本当に感謝してます。

収録番組の「ドリームラジオ」は陶芸教室で、パーソナリティに陶芸づくりを体験していただきながら収録しました。

こちらは、生放送の「午後のカフェテラス」です。
調布市振興会メンバーであったことも幸いし、コーナーを長くとっていただき、インタビューによって、陶芸教室の詳しい説明から陶器市のイベント紹介、作品紹介まで丁寧に放送いただきました。
録音ももらえたので、当日、この番組を何度も流して、来場者にもアピールできました。

地元メディアへの露出 調布経済新聞

PRとしては、これが重要だったのが、地元のSNSメディアへのアプローチでした。これもお友達が偶然できて、ありがたいことに無理やりねじ込んでもらうことができました。感謝しております!

SNSの全面活用 公式Instagram,Facebook,LINE・・・

実行委員会には、最新のSNS活動に詳しい方も現れ、2か月過ぎた頃には、公式のInstagramやFacebookだけでなく、先のLINEまで、連日、何度もニュースが流れ、フォロワーも急速に増えていきました。

①実行委員会LINEグループ

②参加クリエイターLINEグループ

③公式LINEグループ

地元メディアへの露出 調布経済新聞


当日タイムスケジュール表も完成


イベントにおいて、当日のタイムスケジュール表は影の進行役だと思ってます。何時になにがあるかを全員に見える化することができるからです。もうひとつの役目は、実行委員会メンバーがこれをつくるときに頭のなかでイベント当日をシミュレーションしておけるのです。それによって、当日おこりそうなハプニングを事前に学習することができます。何時にどこでなにが起こる可能性があるか、いつごろ人手がたりなくなるかなどのリソースについてもここで事前把握することができます。

ちなみに用意された係付けを紹介します。

本部、ワークショップ、ロクロ実演、駐輪場管理、駐車場管理、休憩スペース・バルーンアート、お包み台、ミモザリース、顔はめパネル、のぼり、立て看板


お包み講習会


陶器市らしく、お客様にお渡しする際の陶器の包み方を学ぶ講習会も開催されました。


1週間前から会場設置して「近隣へのアピール」


結構、有効だったのが開催の1週間前に飾り物を先行で設置して近隣にアピールしたことでした。見慣れた風景にグランピング風の飾り付けが突然現れたことで、なんだ、なんだって雰囲気が出て、問い合わせが急に増えました。





「大人の文化祭」、大成功! 大賑わいの当日

これらの活動が相俟って、当日は大盛況になりました。
参加クリエイターは20名、来場者はおよそ300人以上。
子ども連れのワークショップ参加者もいれば、犬の散歩や自転車のツーリングの途中で立ち寄ってくれる人や、PRを見て駆けつけてくれた人など、様々なお客様でにぎわいました。

ワークショップも大盛況

ロクロの実演 すごい大きい!

結果 参加者の多様性はDAO的な多様な活躍に

当初、実行参加者の多様性が原因でまとまりを欠いたわけですが、終わってみると、その多様性が発揮されての「大成功」という形に発展しました。

会場の設計から施工までを取り仕切ってくれる方や、SNSの最新知識を発揮して集客に最先端の手法を導入してくれる人、ミモザの飾り付けをしてくれる人、このためにバルーンアートを学んでくれる人、ウェルカムボードを素晴らしいクオリティで仕上げてくれる人・・・・、様々な人々が、様々な参加の仕方で、各々に協力をしてくれました。

こういうボランティアベースのイベントでは、こうしたスキルの持ち寄りを歓迎して、それを発揮してもらう場を自由に与えること、そしてそれを褒め称えながら感謝しあう姿勢が大事なのだと、再確認できました。

DishAppとしての成果:街おこしとうつわイベントの経験

こうして、ゼロから陶器市を立ち上げる、実行委員会の貴重な体験をすることができました。

DishAppとしては、参加の副産物として、展示クリエイターの皆さんに、新会社のコンセプトをご理解いただき、うつわクリエイターの登録をしていただけたことが大きな進歩でした。

久しぶりにゼロからイベントをやってみて、多くの仲間とひとつのお祭りを協働体験出来て、とても充実してました。

いずれ来るDishAppのイベントに備えて、学び多き体験でした、


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