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大麻関係データ:令和5年の薬物情勢公表

 7月23日、厚生労働省から令和5年の薬物情勢(「第六次薬物乱用防止五か年戦略」フォローアップ)が公表されました。
 内容は薬物事犯の検挙数などですが、大麻に関するトピックスが多く掲載されていましたので概要を紹介したいと思います。

  • 令和5年の大麻事犯の検挙人員は6,703人で過去最多を更新、初めて覚せい剤事犯の検挙人員を上回った。(前年比20.9%増、平成26年の1,813人からは3倍以上。薬物事犯全体では13,815人で大麻は約半数を占める)

  • 大麻事犯の検挙人員の72.9%にあたる4,887人が30歳未満で、そのうち20歳未満は1,246人。

  • 大麻事犯の初犯者率は76.4%で5,119人。

 以上です。ここ10年間の薬物事犯検挙数は全体として13,000人前後で横ばいなのですが、覚せい剤が5,000人減った分、大麻が5,000人増えて横ばいになっています。
 覚せい剤よりは大麻のほうがマシ…という見方もできなくはないかもしれませんが、20歳未満が80人から1,246人と、ケタが2つも増えてしまっていて、15.6倍となっているのは見過ごせません。
 大麻の害、正確にはTHCの害については、成人に関しては諸説あるとしても、若年層には有害そうだという見解が大勢を占めるのではないかと考えます。合法化や非犯罪化、非刑罰化された国でも若年層の摂取は認められていないはずで、それは成長に悪影響があるから、のはず。

 今般の法改正で大麻事犯は厳罰化となりますが、これが抑止効果を持つのか、それとも若者を社会から排除することになるのか、注意深く見ていく必要がありそうです。(初犯には執行猶予がつくようですから良くも悪くも影響軽微、という可能性もありますね。)
 欧米と数字で比べれば、まだまだドラッグ戦争が始まったとはいえないかもしれませんが、ちょっと増加率がひどいですし、厳罰化で抑え込めた国はなかったはず。だからといって成人対象の合法化が若者の使用者数を減らせるわけでもありませんが、社会復帰のしやすさ、医療福祉へのつながりやすさ、ここは手を打っていかないといけないのでしょうね。
 日本は奇跡的なレベルで薬物事犯が少ない国ではあるので、日本だけ抑え込みに成功しました、なんてことになってくれればよいのですが…。


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