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漫画を読まない漫画家

富野監督は「アニメを作るならアニメを見るな」と言った。
もっと映画を観て勉強しろと。そしてそういう「広い視野を持て」という話がいつの間にか「漫画を読むな、映画を観ろ、映画で勉強しろ」って事になり、その結果漫画として破綻している漫画が増えている。
例えば藤本タツキの「ルックバック」なんか、あんな内容で120ページも必要か?説明ナレーションを入れれば30ページくらいで終わる話だというのに。
AKIRA以降、そしてエヴァンゲリオン症候群というか、映像で見せて読者に「読み」とか「考察」を要求するという漫画。コマとコマの間を映画のように読めと。

映画と漫画は全然別物だ。映画は連続する映像、漫画は静止した画。映画のようなカメラーワークと映像だけで全てを説明するというスタイルはカッコいいかもしれないが、そういうのは作家の独りよがりだ。
70年代や60年代の少年漫画は子供が読むものという大前提で作られているからとにかくわかり易さ優先で設計されている。登場人物があえて状況説明的なセリフを言ったりして今。どこで。何が起こっているのか?を全部説明する。例えば楳図かずおの漫画では、
「うわーっ凄い機械だらけだ!この機械がどうなっているのか解らないけど、でもこのボタンを押せばいいような気がするんだ!」
と、登場人物がその状況下で何をすべきかまでも説明する。こんなセリフはリアルじゃないしわざとらしいんやが、しかし解りやすい。
何でもかんでもリアルで、そして考察をさせるような物がいいわけじゃない。そもそも漫画なんて読んで解りやすくてなんかスカッとしてその場で元気とかやる気とかそんな物を貰えたらいいんやないか?いつの間にか読者に高度な読みとか技術を要求するようになって、そんなんって漫画じゃないと思う。少なくともおいらはそんなのは嫌いや。だからといって落書きみたいな絵の自称シュール系の4コマとかエッセイ漫画とかみたいな物も嫌だけどな。ああいうのも認めない。確かに解りやすいが何もかも程度が低すぎないか?と思う。コミティアなんかにあの手の落書きみたいなエッセイ漫画が売られていたりするんやけど、描き手が何の努力もしてないんで正直ゴミやと思う。

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