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SOHOという罠

SOHOとは「スモールオフィス・ホームオフィス」の略だ。
つまり実家をビジネスの場にしてしまえという事だ。
今でこそリモートワークとか言われているがそれより20年前に一度SOHOで独立起業ブームなんてのがあったんだぜ。
ヤフージオシティズとかINFOSEEKとか無料ホームページサービスというのが沢山あって、そしてネットショッピングを開設してそれで実店舗を持たない通販専門の商売をする為に自宅のネット環境だとか出先でも対応できるようなモバイル環境構築だとかSOHO関連書籍だなんかが一杯出ていて、家庭内LANを構築する為のルーターやハブ、NASなんかが売れたりした。まあPC界のちょっとした特需という訳だ。
これに当時のひきこもりらが反応した。家にひきこもっているけどひきこもりながら仕事が出来るという事でSOHOを構築しようとして、そして海外から輸入雑貨を親のクレジットカードで50万円分くらい個人輸入してそれが全然売れず親にも叱られるしで大損をこいたなんて話がある。
馬鹿だなぁと当時思っていた。何を売るか?というビジョンも無いのにとにかく独立起業の事ばかり考えている。外で働きたくないからだ。嫌な先輩とか上司とかにシバかれて、それで会社という物が嫌になって自室にパソコンと共にひきこもるようになった連中や。まあ俺等の時代は就職氷河期と言われていて、それをくぐり抜けて就職したとしても体育会系のブラック企業だったりしたからな。パワハラなんて当然のようにあったし新卒の人間の学生気分を払拭するためなんて言って山の中にある隔離施設に叩き込んで先輩らのシゴキが一ヶ月くらい続くなんてのがあったりした。おいらの友人のヨシダくんは三重県のカメヤマローソクに就職して山の中にある「ニューモラル」って施設に入れられて毎朝ニューモラル体操をやらされたり首からスタンプカードをぶら下げてトイレ掃除したり奉仕活動するとスタンプが貰えてスタンプが貯まると下界に降りて自由を満喫できるとかそんなスパルタ式施設やった。そういうのに辟易した人間らの前にタイミングよくSOHOなんてのが出てきたんや。そりゃ飛びつくやろ。結局SOHOで得をしたのはPC販売業者とオフィス用途の店だけや。いかにもインターネット黎明期らしいエピソードやろ?

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