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【バトンリレー企画参加】わたしは、上手に箸が持てない~心に残るあのエピソードをあなたへ~

「バトンリレー企画2022」に参加させていただきます。

私に、バトンを下さったのは、あぷりこっとさん。

お仕事をされながらも、「note」で精力的に俳句を続けてこられ、数か月前から、「とりあえず1カ月」と「note」で宣言し、続けてこられた筋トレも、ながく継続しながら頑張っていらっしゃる方です。


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この企画を、他の方が書いていらっしゃるのをみて、「回ってこないだろうけど」と前置きしつつ、「心に残るあのエピソード」を何度か考えていました。

私の人生、実家を出てからは、数年のOL生活と、その後の結婚生活で、成り立っていて、実家ではさほど良い想い出がなく、農家に嫁いでからは、畑と家の往復で、さほど外出することもなく、皆さんほど外部との触れ合いがないのです。

傍観者でいるあいだ、ない脳みそを絞り出したところで、やはりそのようなエピソードはないとの結論に達し、「やっぱしないわ」と妙に納得。

バトンが回ってきたのは嬉しかったけど、迷いに迷ったのは、その事実があったから。

そんな私に「その題材」で「note」が書けるだろうか。

いままで、「note」を続けるにあたって、幾度か書くことにぶち当たりながらも続けてこられたので、出来たら「挑戦」の機会を逃すのはもったいないかもしれないと思って、引き受けることにしました。

あぷりこっとさん、このような機会をわたしに「バトン」を回してくださってありがとうございました。

いざ、当事者になって、再び、脳の「記憶」の部分を振り絞りに振り絞った結果、ヒトツ思い出したことがありました。


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あと数週間で51歳になるわたしが、主人に出会ったのは、四半世紀以上前のことで、まだ若かった23歳の時でした。

出会いは、結婚相談所での「お見合い」でした。

主人に会った瞬間に、「わたし、この人と結婚するかも」とビビビときたのは、嘘のような本当のはなし。(主人はそうは思わなかったらしい・・・)

出会って2回目か3回目には、お互い結婚の意思を固め、半年後には結婚するのですが、今回は、それまでのデートを何度か重ねたある日の出来事です。

お互い、徐々に気持ちが打ち解け始めた頃だった。

ドライブの途中で立ち寄った店でお弁当を買って、テラスに設けているテーブルについてお食事をしているときのこと。


わたし、昔から、箸、上手に持つことできひんねん・・・。


主人と会話が弾むなか、大人としてきっと恥ずべきことを隠すようにして、私は笑いながら言った。

主人に嫌われたくない気持ちもあってのことだったと思う。


箸はなぁ・・・。

下の箸を、薬指のこの辺に置いて、親指の付け根で固定して・・・

上の箸を、中指のこの辺に置いて・・・

指をこう動かして・・・・


主人が、ゆっくりと、子供に教えるように、それはそれは丁寧に教えてくれた。

私は、主人が教えてくれる箸の持ち方に耳を傾けていたが、例えようのない優しい空気感に包まれるのを感じた。


今まで感じたことのない、暖かく、優しい空気が、私を包み込む・・・。


時間はゆっくりと流れ、やがて、ずっとずっと私を覆っていた、張りつめつめていた空気が壊され、心が解きほぐされていくのを感じた。


こんな風にお母さんに教えてほしかった・・・


不意に出た自分の言葉に驚き、涙が止まらなかった。


母に対して、「憎しみ」しか感じていないと思っていた私が、本当はわたし、優しくされたかったんだ・・・。


気付かなかった自分の気持ちを再確認することになって、驚きととまどいと、主人の優しさに感謝したあのとき。


幼い頃から、母は食事のときに、激高した。


あんたは、どうして、箸が上手に持てないの?!

弟や妹は上手に持てるのに、どうしてあなただけ?!

親指は動かさないで!っていってるでしょう?!


同じことを何度となしに言われた。

物心つくころから、随分大きくなるまで言われて、さいごは、感情的な母に対して、私も感情的にまくしたて、さいごは箸を置いて食事を取りやめたことも何度かあった。


そのことも含めていろんなことを回想しながら、自分の中で、母からの愛情に対する執着心が少しでもあったことが悲しくて悔しくて、泣いた。

主人に教えられた通りに箸を持って、やっと母が怒っていたポイントが分かった。

それまでの自分は、誰に甘えることもしなかったし、殻に閉じこもって、誰に対しても、心を許せていなかった。

もちろん、そんな主人と結婚して、そのままラブラブと完結には至らず、この30年近くの結婚生活で、義両親と完全同居で、農家という環境柄、幾度となしに挫折しそうになり、夫婦の関係も順風満帆というわけではなかった。

だけど、こんな私を変えてくれたのは、主人との出会いであり、今の環境には違いない。

紆余曲折がありながらの結婚生活のなかにも、心動かされたことはありましたが、それは「note」にほとんど書き尽くしたので、その前の記憶をたどっていくと思い出したのが、当時のこと。

わたしにとって「心に残るエピソード」なのですが、なんだか自分語りのようになっちゃいました。

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あとがき

まさか、他の人に打ち明けることになろうとも思いもしませんでしたが、テレビを見ながら構想を練っている私の前で居た主人を目の前に、そういえば、この人優しかったんだ・・・と思い出すように再確認すると同時に、結婚前に一度行ったバーベキューのことを思い出していました。

義兄一家と義姉一家。そして、義両親。

わたしは、まだまだ緊張してぎこちなかった当時。

まだ幼かった義姉の子供たち相手に戯れる様子をみて、この人なら自分の子供ができても、可愛がってくれそうだと確信したこと。

そのほか、いろいろあったな・・・と。


決して夫婦の関係が冷えてきているからというわけではないけれど、久しぶりに当時のことを思い出したのは、この企画に参加したからだと思います。

ちなみに母との関係は、昔とそう変わりませんが、昔の自分と違って、満たされた部分が多いせいか、今の自分は、母に期待することは微塵もありません。
結婚してからも、親子として良いお付き合いはできませんでした。

今おもえば、あのときは、若かったせいもあって、満たされない部分があったように思います。
今の家族や、その後の自分が、全部満たしてくれたものだと思っています。

チェーンナーさん、素敵な企画に参加させていただき、ありがとうございました。

次のバトンは、チェンナーさんにお返ししようと思います。

よろしくお願いします。

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