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果物の世界も厳しい

いま、私たちは、柿の摘蕾(てきらい)という仕事をしている。

アルバイトの人にも手伝ってもらっての仕事だ。

柿の枝に成った、ゆくゆくは花となり、実となる蕾を手で、ひとつひとつ落としていく根気のいる仕事だ。

摘蕾をしないでいると、論理上は、売り物にならないくらいの小さな2Sサイズの柿がたくさん成るということになる。

残す蕾の数は、一つの枝につき、ヒトツのみ。
個数を制限すると、よりよい大きさの実がなるというわけだ。

真ん中位についている下向きか、横向きの蕾を選んで残し、残りは全部、親指と人差し指で、横に倒してポキッと折り取る。

さて、摘蕾を終えた、柿園には、すべての木の枝に、選ばれし1個の蕾がついた状態になる。ここまでが、梅雨までの作業。

梅雨に入ると、せっかく残った蕾の中には、生理落下といって、自然現象で自ら落ちてしまうものもがある。果物は、たくさん成りすぎると自ら実を落とそうとする現象がある。あと、梅雨のあいだに、太陽にあたることが少なくなり、栄養がいきわたらない実が自然に落ちる。

めでたく梅雨の時期を経て、残った果実の中から、更に着果数を制限する。
その頃には、「蕾」から、「実(果実)」の状態になっているので、作業は、「摘果(てっか)作業」といいます。

摘蕾のときには、1枝につき、1つに絞り込んだものを、次は、(三角や五角形などの奇形果や、向きが悪く枝に挟まれて傷果になる実や、日焼けの可能性のある実が残らないように、)実の状態をよく見て、2~3枝につき、1つ残します。

私は、はじめて、摘蕾や摘果の作業を知った時に、
まるで、柿のコンテストみたい・・・。
と感じ、私が柿を選んでいるんだと、自分のポジションが面白おかしく感じたものです。

だけど、果物の世界も大変やな・・・と。(笑)

私の感覚が普通でないかもしれないので、リアルには誰にも言ったことがないのですが。

ちなみに、果実の数を絞り込む「摘果作業」は、一般的な果実、桃や梨やりんご、みかんなどもするようですよ。
ぶどうの粒に関しては、「摘粒(てきりゅう)作業」といって、ぶどうの形を整えるために粒を落とす作業があって、やはり、ぶどうの一粒一粒は、落とされず残った粒なんですよ。

皆さんが、口にされる一般的な果実は、厳しい競争を経て残った、選ばれし果実なんですよ!

我が家の柿は、最終は、さらに「秀品」「優品」「良品」に選果され、箱詰めされ、出荷されるので、柿の世界の競争率も相当なものになります。

相当気を付けて、よい実を残していますが、中には「良品」にも分類されず、出荷出しできない「規格外」のものもあります。
それは、家で食べたり、知り合いに配られます。

これから、数カ月、よりよい柿が出荷できるよう、収穫へつながる柿を選ぶ責任を全うしようと思います。

下の写真は、一番上の写真の実を摘蕾したものです。
アングルが多少ちがうので、分かりずらいかもしれませんが(汗)

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