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「時間が足りない!」を打破するトップ社員の考え方 【「残業沼」脱出、AI分析でわかった時短術No.01】

「時間がない。」
「今日も仕事が終わらない。」
多くのビジネスパーソンが抜け出せずに苦しむ「残業沼」。
このマガジンでは、『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』著者の越川 慎司氏に、残業沼から脱出する方法を学んでいく。

※記事中の用語説明
5%社員=各社で人事評価上位5%の社員
95%社員=5%社員以外の一般社員

94%の一般社員が「時間がない」と感じている

なぜ、残業をしても成果が出ないのか? なぜ、5%社員は残業せずに成果を出しているのか? 本章では、双方へのアンケートから、その違いを明らかにします。
労働基準法では、原則一日8時間・週40時間を超える労働を従業員にさせてはいけないと定められています。それ以上の労働は、時間外労働として扱われ、会社は従業員に対して割増賃金を支払う必要があります。この時間外労働がいわゆる残業です。
95%社員の94%は「時間がない」と回答していますが、その真意は「労働基準法で規定された労働時間では足りない」という意味ではありませんでした。「いくら残業してもやるべき仕事が終わらない」といった感覚的な時間不足を訴えていました。残業をしても次の仕事がまた降ってきて残業が繰り返されるという感覚です。
この状態を「残業沼」と名づけました。つまり、「残業沼」に苦しむ社員が94%もいるのです。

一方、「時間がない」と答える5%社員は、37%でした。この比率は95%社員の半分以下です。

5%社員は、「時間は有限である」と心得ています。
そのうえで「より短い時間でより大きな成果をあげる(=More with Less)」の考え方を持っているので、働く時間には制限があることを受け入れています。
この考えを前提として、ほかの人よりも成果を残すことに執着しているのです。

また5%社員は、新しい挑戦に興味があり、多くの挑戦をしようとします。
しかし、ただ単に新たなものに飛びつくのではなく、まず「やめるべきタスク」を決めてから、新しいことに飛びつきます。有限な時間を使って何かを始めるときは、何かをやめるべきだと理解しているからです。
一方、95%社員は、与えられた仕事をこなすことで頭がいっぱいになり、「何かをやめる」という選択肢を持たないことが多い傾向にあります。
次々と降ってくる仕事を受け続けるだけでは、時間が足りなくなって当然です。

ちなみに、95%社員が「時間がない」と感じるのは水曜日と木曜日、5%社員が「時間がない」と感じるのは金曜日と月曜日でした。
土日休みの人が相対的に多いため、それぞれの特徴としては、「週の半ばに時間が足りないと感じる95%社員」と「休みの前後に時間が足りないと感じる5%社員」と言うことができます。

なぜこのような違いが発生するのか5%社員と95%社員へのヒアリングではわかりませんでしたが、AIによるビデオ解析(EmotionAPI)で、その発生原因にたどり着くことができました。
定点観測した動画を見る際、5%社員と95%社員それぞれの表情にフォーカスして、AIによるビデオ解析(EmotionAPI)で、感情を8つに分類しました。
すると、5%社員が「時間がない」と発言するときは、ポジティブな感情を表す傾向がありました。一方、95%社員が「時間がない」と発言するときは、悲壮感を漂わせ、ときには憤りなどネガティブな感情を表す傾向がありました。

この分析の結果を受けて、5%社員に再度ヒアリングを実施。「時間が足りないことをプラスに捉えますか?」と質問しました。
すると、なんと53%、半分以上の5%社員が「時間が足りないことをポジティブに捉える」と答えました。
その理由は、「やりたいことがたくさんあるのは、いいことだ」「やるべき仕事が多いのは周りから認められている証拠だ」など、自己肯定感が強い発言が続きました。

有限の時間をポジティブに捉えて、自己肯定感を高めながら仕事をするのか。不平不満を抱えながら、時間に追われる状況をただやり過ごしていくのか。

時間に対するこの2つの捉え方の違いで、行動と結果が変わってくるのは当然でしょう。

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このマガジンを読んで少しでも興味を持った方は是非読んでみてください。

著者について

越川慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー 代表取締役
株式会社レビルソーク 代表取締役
株式会社キャスター 執行役員
国内通信会社および外資系通信会社に勤務、ITベンチャーの起業を経て、2005年にマイクロソフトに入社。業務執行役員として最高品質責任者やPowerPointやExcelなどの事業責任者など歴任。2017年に改善活動のコンサルティング会社 株式会社クロスリバーを起業。ITをフル活用してメンバー全員が週休3日・週30時間労働を継続。
のべ800社以上に、ムダな時間を削減し社員の働きがいを上げながら”自分の時間”を増やしていく「働き方改革」の実行を支援。2018年から1000名以上のほぼ全員がフルリモートワークの株式会社キャスター執行役員と兼任。
著書18冊。『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『科学的に正しいずるい資料作成術』(かんき出版)、『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか』(KADOKAWA)など。

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