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夫婦には「家の常識」が必要『不機嫌な妻 無関心な夫』【無料公開#8】

シリーズ累計35万部突破の『察しない男 説明しない女』や10万部突破の『話し方で損する人 得する人』など、コミュニケーション本のヒットを生み出してきた五百田達成さんの最新刊『不機嫌な妻 無関心な夫』を11月20日に発売することとなりました。その最新刊『不機嫌な妻 無関心な夫』の一部を無料公開します。

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しつこく言いますが、夫婦間で、妻や夫にやってもらって当たり前のことなんて一つもありません。妻は母親ではないし、夫は父親ではないのです。

相手がやってくれたことに対しては、どんなに些細なことでも「ありがたや〜」と思う気持ちを持つことが大事。それが共同生活というものです。

とはいうものの、相手の行動に対して「それはちょっと違うんじゃないか?」「それはもう少しこうしたほうがいいのでは?」と思うことってありますよね。

古典的ではありますが、たとえば相手が作ってくれた料理に対して、「まずくはない、でもあとひと味足したい」と思った場合。
あるいは食器の洗い方やクルマの駐め方、近所への挨拶のしかたなど、文句を言いたい、ひとこと言いたいという場面。

このようなとき、どうしたら角を立てずに言えるでしょうか?

まず絶対にやってはいけないのは、自分の常識に当てはめていきなり文句を言うこと。

「もう少しちゃんと拭いてよ」「普通、これぐらい隙間を空けて駐めるだろ!?」などと頭ごなしに言ってはいけません。

かといって「言うのもめんどくさい」と自分でやり直してしまうのもNG。

相手がせっかく干した洗濯物をきれいに干し直したり、黙って料理にいきなりドボドボとお醤油をかけてしまっては、相手の面目が丸つぶれです。
さらに、良かれと思って上から目線でアドバイスをするのもNGです。「もう少しきれいに畳んだほうがいいよ」「洗濯物は白い物と柄物を分けて洗ったほうがいいよ」などと言ってしまえば、「自分でやれ!」とキレられて当然です。

夫婦それぞれが「これがよい」と思っている常識は、結局のところ、その人のルールでしかありません。「このほうが効率的」「育児書に書いてあった」と言っても、結局は子どもの頃からの習慣や経験からくる「感覚」であって、「絶対に正しい」わけではないのです。

となれば、相手に対して「こうやれ」と押しつけるのはお門違い。もしどうしても自分のルールを押し通したいなら、一人で暮らしなさい、ということです。

「落としどころ」を話し合う

相手のやり方に不満を覚えたときに取る道は、大きく分けて次の二つでしょう。

一つめは、相手にやってもらう以上は文句やアドバイスはいっさい言わない。
食器洗いを相手がやってくれるとなったら、完全に相手に任せ、結果についても文句やアドバイスを言わない。料理も作ってもらうなら、調理方法や味付けには決して口を出さない。これはこれで潔い道です。

それが難しければ、「落としどころ」「妥協点」を見つけるために話し合う道もあります。
「食器洗いに関しては、パッと見、汚れが落ちていればよしとしませんか」「Tシャツを干すときは、ハンガーにかけませんか」などといちいち、議題をあげて家のルールを決めていくのです。先ほど言ったとおりすべては感覚ですから、話し合いは難航するでしょう。でもあきらめず、いちいち話し合うことはとても大事。

「とてもおいしいですが、もう少し醤油を足したいです」
「足してもいいですが、私は塩分の摂りすぎが気になります」
「朝食の納豆の醤油を控えめにするので、ここはかけたいと思います」
「まあ、いいでしょう」

コントのようですが、こうした会議を積み重ねることでしか、ふたりが納得するルールは作れません。

POINT 「正しい」と思っていることはたいてい「感覚」


著者紹介

五百田達成 (いおた・たつなり)

作家・心理カウンセラー。 米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー。 東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。個人カウンセリング、セミナー、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。 専門分野は「コミュニケーション心理」「社会変化と男女関係」「SNSと人づきあい」「ことばと伝え方」。 「スッキリ!!」(日本テレビ)、「この差って何ですか?」(TBS)ほか、テレビ・雑誌などのメディア出演も多数。 著書『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』『話し方で損する人 得する人』(以上、ディスカヴァー)はシリーズ70万部を超えている。

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