見出し画像

トップ社員は丁寧で遅い仕事をしない【「残業沼」脱出、AI分析でわかった時短術No.10】

「時間がない」
「今日も仕事が終わらない」
多くのビジネスパーソンが抜け出せずに苦しむ「残業沼」。
このマガジンでは、シリーズ累計15万部突破の『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』著者の越川 慎司氏に、残業沼から脱出する方法を学んでいく。

※記事中の用語説明
5%社員=各社で人事評価上位5%の社員
95%社員=5%社員以外の一般社員

丁寧で遅い仕事をしない

5%社員は最短距離で仕事を完了させますが、アウトプットのクオリティが低いわけではありません。仕事を受けるときに相手の期待値をしっかり確認し、途中段階で相手とのイメージが合っているか確認をしながら作業を進めていきます。

録音データを聞いて印象的だったのは、仕事を受けたとき、上司に期限や作成プロセスを何度もなんども確認する5%社員の姿でした。その様子は、相手にとってはちょっと面倒くさいかな、と思うぐらいでした。

しかし彼らがそこまで確認するのには意図がありました。
5%社員は、「仕事を受けた時点では、相手の完成イメージが固まっていないことがあるので、質問を重ねることで、一緒にアウトプットのクオリティを固めていく共同作業をしている」と発言していました。
たしかに相手の完成イメージが曖昧であれば、いくら時間をかけても、相手の要望を満たすこと、完成品に了解を得ることは難しくなります。
最初に相手の意図をかけ違えると、作業自体が無駄になってしまうのです。
だから5%社員は、何度も質問しながら相手の期待値を具体化して、相手にも発言してもらうことで、仕事を共同作業に持っていっていました。

必要なことがわかれば、完了まで一直線に作業

そうして相手の期待値が確認できたら、集中して作業を継続します。
その様子を言葉にすると、「必要なことがわかれば、完了まで一直線に作業」という進め方です。それは、何度もなんども確認をしながら、コツコツと作業を進めていくのではなく、多少の誤字や変換ミスがあってもどんどん文章を入力していくようなイメージでした。
期待値を超え続ける5%社員の仕事のやり方は、作業が緻密でコツコツと積み重ねるイメージでしたが、意外にも雑で粗く、がんがんと推し進めていくスタイルでした。
もちろん粗いままでは相手の期待値を超えられませんから、最後の最後で確認と修正作業をまとめて行っていました。

このスタイルは、大変参考になり、私も執筆作業に活かしています。
以前は確認・修正作業をしながら文章を書き進めていましたが、5%社員がやっていたように、誤字や脱字があってもどんどん執筆を進めるスタイルに変更しました。
各章ごとに確認をしたり、オンラインアシスタントに代理で校正してもらったりすることで、執筆スピードが2倍〜3倍に上がりました。
6年前に初めての書籍を出したときは、半年以上かけて1冊の本を執筆しましたが、今は一か月~二か月あれば執筆ができるようになりました。
5%社員がポリシーとしている「丁寧で遅い仕事をしない」は、多くのビジネスパーソンも真似ることができます。
私が主催するパワーポイント資料作成塾の生徒2万3000人も、「丁寧で遅い仕事をしない」というポリシーを実践し、「資料作成時間を約10%程度削減」など、続々と効果を上げています。

新刊好評発売中!

シリーズ第3作、『AI分析でわかった トップ5%社員の時間術』が5/27日から発売開始しました!
このマガジンを読んで少しでも興味を持った方は是非読んでみてください。

目次

第1章:なぜ、24時間があっという間なのか?
94%の人が「時間がない」と感じている
74%の人が「働き方改革=残業削減」に反対してい
67%の人が「残業が多いのは上司のせいだ」と感じている
53%の人が「効果より効率を上げよう」と考えている
45%の人が「努力で何とかなる」と思っている

第2章:よかれと思ってやってしまう逆効果の時間術
「しっかり管理すればしっかり成果が出る」と信じている
「仕事効率は才能で決まる」と思っている
「重要そうな情報を集めたほうがいい」と思っている
「とりあえずショートカットキー」と思っている
「自分の経験と知識で考えよう」と思っている
[ Column ] 5% 社員は英語を勉強しない

第3章:95%の人が知らない5%社員の意外な時間術
ランチをとらない
積極的に「ため息」をつく
「ローリスクローリターン」を積み重ねる
情報収集の時間は一日5分以内
作業途中でも一度手を止める
時間の余裕は、気持ちの余裕からつくる
「情報」は「洞察」に変えないと人を動かせない
メンバーを巻き込んで早く作業を終わらせる
やる気が削がれることは仕事から排除する
机の上に飲み物を置かない
贅沢キーボードで時短する
「ちょっと外出」で生産性を上げる
[ Column ] 5 % 社員がカバンと靴に投資する理由

第4章:残業沼から抜け出す「ちょいスイッチABC」
95%社員と5%社員は何が違うのか? 
トップ5%社員の6つの特異点
トップ5%社員の時間術を「ちょいスイッチABC」で再現する
ちょいスイッチA(Accept) 過去の浪費を受け入れる
ちょいスイッチB(Build) 行動を早め、継続する仕組みをつくる
ちょいスイッチC(Concentrate&Continue) 集中して継続する

第5章:残業沼から抜け出す 「ちょいスイッチABC」を実践!
ちょいスイッチA「過去の浪費を受け入れる」を実践
作業時間と思考時間を分ける/アウトプットを先にする/時間の使い方を計画ではなく企画する/成功確率アップより失敗確率ダウンを目指す
ちょいスイッチB「行動を早め、継続する仕組みをつくる」を実践
すぐに作業できる状態を整える/「やめること」を決める/やめる基準の「チェックポイント」をつくる/メモのすごい効能を日常に定着させる
ちょいスイッチC「集中して継続する」を実践
丁寧で遅い仕事をしない/「悩む心配する時間」を減らす/投資対効果を考えて、せっかちにならない/自己否定は「妄想」であることを知る
[ Column ]5% 社員はなぜ野球よりラグビーが好きなのか

第6章:明日から定時で帰る「ちょいスイッチABC」を押すトレーニング 個人編
時間管理
金曜に「大きな仕事」を2つ書き出す/45分単位で仕事をこなす/報酬を声に出して言う/「承認」される仕組みをつくる
自制心コントロール
アナログ時計で逆算思考を促す/行動目標と締め切りを周囲3人に宣言する/週に1回トイレ掃除をする
集中力アップ
ヘッドホンを活用する/通知設定を変える
インプット
文字を手書きする/音声入力をマスターする/自動校正を活用する/散歩しながら本を聴く/倍速再生機能を活用する
アプトプット
3秒の沈黙を避ける/3秒ジェスチャー3選

第7章:チームで時短する「ちょいスイッチABC」を押すトレーニング 組織編
最強の巻き込み力
「フットインザドア」で依頼する/自走するチームが実践する5ルール/会議時短3アクション
誤解を避ける意思伝達
承認サンドイッチ作戦/上手に断る3つのテクニック/相づち&共感コメント7選/相手のメリットを事前に5分考える
プロジェクト推進
1チーム5人で活動する/刺激し合う仕組みをつくる/逃げ道をつくっておく

あとがき

著者について

越川慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー 代表取締役
株式会社レビルソーク 代表取締役
株式会社キャスター 執行役員
国内通信会社および外資系通信会社に勤務、ITベンチャーの起業を経て、2005年にマイクロソフトに入社。業務執行役員として最高品質責任者やPowerPointやExcelなどの事業責任者など歴任。2017年に改善活動のコンサルティング会社 株式会社クロスリバーを起業。ITをフル活用してメンバー全員が週休3日・週30時間労働を継続。
のべ800社以上に、ムダな時間を削減し社員の働きがいを上げながら”自分の時間”を増やしていく「働き方改革」の実行を支援。2018年から1000名以上のほぼ全員がフルリモートワークの株式会社キャスター執行役員と兼任。
著書18冊。『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『科学的に正しいずるい資料作成術』(かんき出版)、『「普通」に見えるあの人がなぜすごい成果をあげるのか』(KADOKAWA)など。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?