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【note相談室 1】仕事を効率的にこなすには?【発達障害かもしれない人の働き方】

発達障害といわれる人たちは、仕事の進め方や職場のコミュニケーションにさまざまな困難を感じることがあります。その根底にある不安は、

判断するのが怖い

という一言に集約されます。

弊社から出版された『「判断するのが怖い」あなたへ 発達障害かもしれない人が働きやすくなる方法 』の好調な売れ行きを記念して、今回は著者である佐藤恵美(さとうえみ)さんに、発達障害・発達障害グレーゾーンの方ならではの疑問をぶつけてみました。

彼らが「判断するのが怖い」と感じる場面に起こっていること、そこに影響している特性、陥りがちな心理やしてしまいがちな行動を丁寧に分析し、書籍の内容のプラスアルファとして、どのように不安を解消していったらよいかを解説していきます。

佐藤恵美さんのnote相談室の連載は、全7回を予定しています。

Q.仕事を効率的にこなすには?


「効率よく仕事しろ」と上司に叱責されることがよくあります。
どうすれば迅速に仕事をこなせるようになりますか。

A.速度アップより作業のポイントを確認することと作業環境の見直しを。

「効率よく」と言われると、どうしてもスピードアップしようと焦ってしまうものです。

しかし、「効率よく」とは必ずしも「速く」を意味しません。

「速く作業しなければ」と焦ると、思わぬミスをするなどして、かえって遅くなってしまうこともあります。

ですから「作業効率」を上げるときには、「急ぐ」より「作業の要不要の区別」や「注力度合の配分」を見直してみることが有効です。

どの作業を、どのくらい緻密に、どれくらい時間をかけるのか、下調べはどれくらい時間をかけてよいのか、などを具体的に上司や同僚に確認してみましょう。

また、引き受けた作業はできるだけ早く手をつけることも大事です。

「今、作業しているものが終わってから」と考えて「先延ばし」にすると、手をつける頃には作業の主旨や手順を思い出すのに一手間必要となったり、納期までの時間が少なくなっているというリスクが生じやすくなります。

つい「後で」と先延ばし癖がないか、振り返ってみてください。

「先延ばし」にしてしまうのには、「これが終わってからでないと次ができない」というこだわりや、行動や注意の転換の苦手さ、一つのことに集中しすぎて他が見えなくなる、などの特性が影響しているかもしれません。

今、自分が何をすべきか、客観的に見直す時間が大事です。

終業時間の最後に10分程度、朝から一日にやったこと、依頼された内容などを頭の中をトレースするように振り返ってみてください。簡単な日報をつけてもよいと思います。

そこで「この業務にも手をつけないと間に合わないな」とか「ちょっとこれに時間をかけすぎているな」などに気がつくとよいと思います。

それから、作業環境が自分に著しく合わない場合は、本来の力が発揮できずに作業効率が下がることがあります。

例えば聴覚過敏(音などの刺激に敏感)や注意の転動(周囲の刺激に反応しやすく集中できない)があると、作業が非効率になることがあります。

それらの刺激がない場所に作業場所を移したり、イヤーマフをして刺激を遮断すると効率が飛躍的に上がることもありますので、自分の特性に合わせて環境の工夫も検討してみてください。

上司の指摘だけが心に刺さり、「速くしなきゃ」と焦る気持ちが高じてしまうと、本来の力も発揮できなくなってしまいますから、平常心に整えることも大事です。

著者紹介

佐藤恵美 さとう・えみ
沖縄メンタルサポート&コンサル 代表
精神保健福祉士・公認心理師
キャリアカウンセラー(GCDF-japan)
1970年生まれ。東京都出身、沖縄在住。
北里大学大学院医療系研究科産業精神保健学修了 医科学修士。
埼玉県内の精神科単科病院医療相談室、東京都内の医療法人社団弘富会神田東クリニック副院長/同法人MPSセンター副センタ―長を経て、2020年沖縄にて「沖縄メンタルヘルスサポート&コンサル」を設立。 職場のメンタルヘルスを専門とし、実効性のある労働者のカウンセリングや健康職場づくりを実践している。働く人のメンタルヘルスをテーマとした論文、講演、著書多数。主な著書に『もし部下が発達障害だったら』(ディスカヴァー携書)『ストレスマネジメント入門』(共著、日経文庫)がある。

明日は、「仕事を長続きさせるには?」について回答します。

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