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秋田市文化創造館_230224

秋田を訪れて最もときめいたのは、この文化創造館に出会ってしまったことだと思う。

積読消化のための一人旅なので、県美のカフェで時間もはばからずたっぷりと読書をした後、橋を渡ったその向こう秋田文化創造館なる施設に足を運んでみる。
この類の施設って名前に反してどこか行政めいた公共施設が多いような~などと気楽に近づくと、併設された可愛らしいカフェの隣でペンキまみれの青年が一心不乱に何かを描いている。お、アーティストのためのオープンスタジオ?
入り口前に並ぶレオナール藤田と秋田美術大学に携わった人(あいまい)の胸像が重々しい。そういえば、と街の集会場で秋田公立美術大学が10周年とのポスターをみかけたことを思い出す。(秋田に美大があったことに驚いた)

おそるおそる中へ入ると、イベントでぎっちりと埋められた手描きの館内スケジュールが立ち迎えてくれた。展覧会「200年をたがやす」アーカイブ展、木曜日+不定期開催「積読本読書会」、秋田&フィンランドの後期中等教育の美術教育交流展2022“旅を夢見る”、藤田淑子「感情のダンス」…どれも個性的でおもしろそう...!

更に入っていくと、がらんとだだっ広いスペースの1/3くらいを使って、おばあちゃん3人くらいが並んでマイクに向かって何かを朗読をしていて(し、その様子を若者たちが録音したり撮影したり、何かしらの制作中感がすさまじい)、その向かいのスペースではまさに「200年をたがやす」のアーカイブ展示が。文化創造館がオープニング特別事業として秋田市の文化事業の一環で開催しているとか。待って、なんだここ、楽しすぎる!

秋田文化創造館内スペース。広い。
「200年をたがやす 」は食・工芸・生活・美術・舞台、秋田の生活に根ざした5つのテーマで構成された生活と表現が交わる広場としての展覧会。写真は「食」

面食らって呆然と立ち尽くしていると、キャリーケースを預かりますよとスタッフの方が声をかけてくれた。思わず「ここは何なのですか?!」と鼻息をあらくすると、ここは1967年に建てられた旧県立美術館だそう。2013年に移転に伴って閉館をした後、秋田市の政策で秋田中心市街地における芸術文化ゾーンの活性化のひとつとして旧県美は新たな文化施設に生まれ変わり、足掛け6年、21年3月に文化創造館としてオープンしたのだとか。金髪ショートが良く似合う彼女も秋田美術大学で伝統工芸を学んだ卒業生で(ギャップが素敵...!)、現在はここで働いているらしい。

展示の延長線上では「カタルバー」「そうぞうの木」「積読消化会」などイベントの案内と簡単なアーカイブが設置され、一般市民が集まって文化体験をできる場が定期的に用意されていることがわかる。
ここでは文化や創造が社会に接続されている/その試みがされている。聞くほどに見るほどに心がときめいていくのが自分でもわかるくらいだった。

左)誰かと語り合うだけのバー。市民からテーマを募集して、やってみたいことをゆるく試せる場
中央)誰かとただ積読読書をする会。良すぎて翌日すぐ会社に提案した(人事で検討中!)
右)「そうぞうの木」こうなったらいいなを短冊方式で誰しもが吊るすことができる。

平日だったこともあり中々がらんとしてはいたものの、イベント時には毎回結構な盛況ぶりだとか。秋田がここまで文化政策に力を入れていることに驚きながら、秋田駅で追加で買ってしまった「社会化するアート、アート化する社会(小松田儀貞著,2022)を開けば、著者もまた秋田大学総合科学教育研究センターの准教授だとかで再び衝撃を受ける。(著書の中で紹介される秋田大館市のアートプロジェクト「ゼロダテ」の取り組みもエネルギッシュで超興味深い)
静かな雪降る街にあった、文化創造にかかわる人々の湧き出るエネルギーの集約を目の当たりにし、私はもう秋田に興味津々になってしまったわけなのである。

積読消化旅にもかかわらず買ってしまった3冊。
帰りの荷物の方が重い。。
きりたんぽ鍋とふぐ料理も一人で挑みました

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