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Role(金沢)インタビュー〜最新作Zoharについて〜

つい先日、家族で10数年ぶりに石川県は金沢に旅行に行く機会がありました。和倉温泉に行ったり、寿司を食べたりしました。気候もまだ寒くなくとても過ごしやすかったです。金沢いいところ。


今回で金沢に行くのは通算3度目。
1度目は大学生の頃に行った「花咲くいろは」の聖地巡礼(オタク)。
2度目は自分のバンドの遠征。そのバンドの遠征時にお世話になったのが今回インタビューするジュンキさん率いる金沢のRoleです。

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(Roleの自主企画"KINGDOM"に僕たちが出演した時のフライヤーです、毎回フライヤーがかっこいい。)

初めて対バンした時、その壮大な轟音サウンドと美しい3本のギターのハーモニーに感動しすぎて、ジュンキさんに「和製envyですね!!」という謎の迷言を残してしまいました。本当に恥ずかしいですし、未だにその事を先輩方には擦られています。勘弁してほしい。

そんなRoleが今年10月に新作EP「Zohar」をリリースしました。(ゾハルと読むそうです)
4曲で30分を超える超濃厚な内容で、今までの作品の中では一番ダークでエクストリームな印象を受けるこの作品。
ただ金沢に旅行に行くだけでは勿体ないので、Roleの「闇の帝王」ことジュンキさん(とても穏やかで優しい方です)に直接バンドのインタビュー記事を書かせてもらうことにしました。

経験の薄い稚拙な文章ですが、本当に素晴らしい作品ですので、これを読んで興味を持ってもらえたら幸いです。どうかよろしく。

Role(金沢)ジュンキ氏インタビュー


▪︎では先ず結成の経緯について教えてください。

Junki(以下J):就職するときに、東京の大学から地元の金沢に戻ったんだけど、東京にいるときにCapture of the skyというバンドをやっていました。それはit prevailsみたいな叙情系ハードコア/メタルコアみたいなバンドだったんだけど、自分で見に行くライブはHeaven in her armsやenvyみたいな激情ハードコアと呼ばれるようなバンドが多かったんです。それで地元に戻ってきたときにそういうバンドを組みたいなと思って2012年くらいにメンバーを集めました。


・メンバーはその時と同じですか?

J:いや、僕と桜井さん(Vo)以外はみんな変わってますね。

・Roleの音楽は激情ハードコアやブラックメタルなどからの影響を感じるのですが、具体的に影響を受けたバンドはいますか?

J:結成当初はA Hope for homeというアメリカのバンドを意識していました。
ハードコアなんだけどかなりポストロックに近いアプローチのバンドで、そのバンドもトリプルギターですね。最初はそういうポストロックに近い激情ハードコアをやりたかったんだけど、自分で作曲していると想定してたものと違うものになることが多くて…。それと、当時のメンバーは所謂叙情派のハードコアが好きな人が多くて、最初のEPの「Heretics」までは横浜のwithin the last wishみたいな叙情系ハードコアとenvyみたいなポストロックを足したような音楽をやっていました。個人的には今よりも明るい音楽性だったかなと思います。


・その後、1st Album「Abyss」のリードトラックの
「Terminate」ではブラッケンドハードコアとも呼べるようなブルータルさが楽曲に加わっています。この時期にバンドが変化していったんでしょうか?

J:そうですね。1st EPを出したあとにメンバーが少し変わることがあって、そのとき僕がブラックメタルばかり聴いていたのも影響していると思います。


・ちなみにそのときに聞いていた具体的なバンドとしてはどんなバンドがいますか?

J:一番聞いていたのはOathbreakerの2ndですね。それとブラックメタルではないんですけど、Reflectionsの「The color clear」というアルバムを聞いていました。すごい名盤だと思っています。リフとかを聴くとメタルコアぽくはあるんですけど、全体を聞いてみるともっとアトモスフェリックというか全然違った印象のバンドですね。歌メロとかもすごいかっこよくて今でもたまに聞いてます。とにかくその時期にブラックメタルと暗い音楽をたくさん聞いていましたね。


・2019年の5/12に国内最大級のハードコアフェスである「AFTER HOURS」に出演されていますね。オファーを受けたときはどんな気持ちでしたか?

J:最初、downyの青木ロビンさんから直接TwitterとFacebookの方にオファーがあったんですけど、僕は「偽のアカウントだ!」と思って(笑)。でもアカウントをよく見てみたら、本物なのかな?という気持ちが芽生えてきてメッセージを送ってみたら本当のオファーだったのでめちゃくちゃびっくりしました。

・(笑)。当日は緊張しましたか?

J:緊張しましたね。ボーカルの桜井さんが一番緊張してました。(インタビューに同席していた。)
前日から顔が強張っていましたね(笑)。いい思い出ですね。でもこんな良いイベントに出れたので思い出で終わらせずに、これからもっと頑張ってAFTER HOURSの様なイベントに出演することに相応しいバンドになろうと思えるようになりました。

・ありがとうございます。それでは新作「Zohar」について聞いていきたいと思います。今回4曲で30分を超えるアルバムに近いような大ボリュームの作品ですね。

J:このアルバムを聴き終わる間にGraupelの"Fade away"が10回聞けますね(爆笑)


・(爆笑)。内容の濃い作品だと思うんですけど。タイトルはどういう意味なんですか?

J:タイトルの「Zohar」は宗教用語でいうところの「教典」のような意味ですね。

・ここまで音楽的な変遷について語っていただきましたが、これまでで一番ダークでエクストリームな作品になったと思いますがどういった環境で作ったのでしょうか?

J:前作まで、歌詞はボーカルの桜井さんが考えてたんですけど、今作から作曲から歌詞までを全部自分でやりました。やはり全て1人でやった方が描いた曲のテーマに沿ったもの、純度の高いものになるので、そこは意識しました。それで歌詞が物凄く暗いものになっていると思います(笑)。

・ジャケットのアートワークが印象的ですが、これは何を意味しているのでしょうか?

J:今作は位置づけ的には前作の「Abyss」の延長線上と考えていて、前作の「Abyss」のジャケットは"穴"だったんだけど、今作は穴の底まで落ちたらジャケットみたいな暗闇の中に窓が開いている…そんなイメージが思い浮かびました。タイトルの「Zohar」はユダヤ教の教典のことなんだけど、そこから"正しい道を示してくれる"という風に個人的に解釈して、このタイトルを付けました。

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・なるほど。今回はブラックメタルだけではなく、かなりカオティックな要素も含んでいると思うのですが、そういった意図はありましたか?

J:実は、今回は所謂ヘビーメタルに寄せようと思ったわけではなく、もっとメタルコアのようなハイファイなサウンドに寄せようと思って作りました。
それと、1stを出したあとにRESENTMENTという地元の極悪ハードコアバンドのサポートをさせてもらっていて、その経験もあって今回はヘビーな音像になっているかもしれませんね。


・RESENTMENTでサポートやってるんですね!Roleのジュンキさんからは想像も着かないです(笑)。それでは先ず、一曲目の「Red」から。これはインパクトのある楽曲ですね。


J:そうですね。この曲は作品の一曲目を作ろうと思って作った曲で、耳に残るものにしたかったんですけど、耳に残るものとはなんだろうと考えたときに疾走感が欲しくて、そこを意識しましたね。それで僕の中のすごく早い曲…と考えたときにX JAPANが思い浮かんだんですよね。

・え?Xなんですか?(笑)

J:そうですね。Xが思い浮かびました(笑)。Xの"紅"とか"BLUE BLOOD"とかを意識して、仮タイトルに「Red」と付けたんですけどそれがそのままタイトルになりました。Roleは仮タイトルから変わらずにそのまま曲のタイトルを付けることがとても多いです。

・ということはタイトルにはそれほど重きを置いてないですか?

J:そうですね。どちらかというとアートワークなどの方に意味を込めているつもりです。
もっと言うと今回はサブスクリプションで配信するところを意識して、曲と曲の繋がりというよりはシングルを4曲、一つの作品に入れたような意識で一曲一曲で独立しているようなイメージですね。

・なるほど、ありがとうございます。
では2曲目の「origin」ですが、この曲は11分超えと今までの中で一番長尺の曲ですね。


J:長いですよね。意味わかんないですよね(笑)。

・いやいや(笑)。かっこいいですよ!3分半ばで登場するウネるようなギターリフがとてもかっこいいなと思いました。

J:ありがとうございます(笑)。この曲が一番エクストリームなギターリフを入れようと意識して作った曲ですね。聴く人によって気に入ってくれるパートが違くて、そのウネるパートの後のクワイアが入った荘厳なパートが好きと言っている人もいました。(曲中5:00〜付近)
長いからGraupelの"Fade away"が3回聞けますね。

・そこ、なんでそんなに押すんですか(笑)?

J:ちょうど、ミックスマスタリングをやってる時に、Graupelの曲が配信されてて分数が3分半だったんですけど、その中に色々展開やサビまであってすごいなと思ったあとに、この曲何分なんだろと思ったら10分超えてて、「やばくね?」って思いましたね(笑)。

・やってるうちに気づかなかったんですか(笑)?

J:色々入れてたら長くなっちゃいましたね(笑)。出来たら長かったんです(笑)。今回の反省ですね。

・反省とか言っちゃっていいんですか!?

J:(笑)。やっぱり自分じゃないバンドの11分の曲聴くか?って言われたら聞かないですもんね。絶対スキップします。

・ええ…?そうですかね?でも確かにRoleは壮大なサウンドですけど、凄く長い曲は今まであまり無かった印象ですね。では次に3曲目の「Trash」はどうでしょう。

J:これが一番最後に出来た曲ですね。最初はSilent planetみたいな曲になりそうだったんですけど、作品の色的に違うなと思って、かなりそこから変わりましたね。フレーズ的にはやったことのないドラムフレーズを入れてみようと思って、終盤のタム回しのパートとかは今までにない感じだと思います。

・最後に4曲目「mother」ですが、これは作品中一番美しい曲ですね。美しい曲ですが、やはり歌詞は少し暗い雰囲気を纏っています。

J:詳しくは言わないんですけれども、この曲は僕の奥さんと子供に宛てた曲ですね。曲的には一番サクッと作れたような気がしますね。いつものRoleのサウンドいいますか、envyチックな部分をイメージして作りました。

・今回、作品を通して歌詞もかなりダークな印象が強いんですがどう言った心境だったんでしょうか。

J:そうですね。前のアルバムを出してから個人的にもメンバー的にもヘビーな出来事が色々あって、そういった部分が反映されてる所はあると思いますね。
歌詞を書いていたのが今年の3〜5月だったので、なんというか現在の世間の状況も含めて、これからどうなるのかな…というような先行き不安なイメージが強く出てるのかも知れません。

・ありがとうございました!
新作を出したばかりで聴くのもなんなんですが、次作を出すとしたらまたダークな内容になりそうですかね?

J:そうですね…(少し考える)
おそらく次も僕が歌詞を書くので暗くなると思います(笑)。次に出すとしたらアルバムになると思いますね。現在の状況が落ち着いたら各地でライブもやっていきたいと思います。

「人生のFavorite album5選」

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Funeral For A Friend ‎– Casually Dressed & Deep In Conversation

みんなが愛する大名盤で、僕もハマり過ぎて毎日聴いていて、どんなところでも聴けるようにMDにもしたし、CDもいろんなところに持ち歩いていました。そのためいつのまにか紛失しました。それくらい思い入れがあるアルバムです。

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Underoath - They're Only Chasing Safety

メタラーなのでスクリーモのメタルリフが好きだったんですが、最初Underoathこのアルバム聴いた時はドラムのフレーズが独特ですごくかっこいいと思いました。ドラムを意識して聴くようになったのもUnderoathのおかげな気がします。

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SAOSIN - SAOSIN

白盤がもちろん素晴らしいんですが、先に聴いたのはこっちでした。田舎者の後追いには白盤を入手する方法が当時ありませんでした。

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envy - a dead sinking story

最初に聴いたのは先輩が貸してくれたInsomniac Dozeでしたが、こっちの方がたくさん聴きました。君靴とInsomniacの間の作品っていうのもあって、ちょうどその辺のバランスが好きなんだなと思ってます。

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KoRn - Issues

メロデス中学生だった僕をニューメタルに入門させてくれた一枚です。暗いんだけどとてもくせになる感じですごく好きでした。
Deftonesのwhite ponyと迷いましたがこっちを選びました。


INTERVIEWER:KANO

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