イシイが挑戦中!大量生産ではできない「地域と旬」の取り組みで実現したいこと
今まで15回にわたってお送りしてきたこの栗のプロジェクト。
秋の味覚である「栗」についてもっと知って欲しい!情報を届けたい!と思って始めましたが、秋の終わりと共に今回が最終回です。長い間お付き合いいただき本当にありがとうございました。
今回は最後なので、栗に限らずイシイがいま力を入れて進めている「地域と旬」というテーマについてお伝えしたいと思います。
深刻な地域離れが招く消費者の「知らない」
日本全国にはその地域ごとに伝統的な旬の食材や食文化が根付いています。しかし、小さな地域で作られている「地域野菜」は、ブランドとしてなくなってしまうことがあるのが現実です。
日本全国どこも観光地として有名というわけではありませんので、地域の名前がついた野菜を消費者に知ってもらうのは難しいことです。また農家さんの販売経路として「直販」もしくは「農協経由での販売」という手段がありますが、直販の場合は知名度がないと売れず、農協経由の場合は、そのエリアごとのブランド名をつけることができないケースもあるため、伝統的な地域野菜を残すことは難しいのです。
例えば、イシイが2019年からハンバーグに調理している千葉県市原市の「姉崎だいこん」。こちらもある一定の時期を越え、農協経由での販売となってしまう場合は「千葉県産」とひとまとめになって出荷されます。
知らない地域のもの、だからわざわざ取り寄せたり、その地域に足を運んでまで買いには行かない。
そんな「知らない」が原因で、徐々に地域野菜の火が消えていっていると、イシイは考えています。
目指しているのは食事を通した「プチ旅行」
イシイはその地域野菜の火を絶やさないよう、石井食品が発掘し、商品としてみなさまの食卓に届け、ご家庭で「食のプチ旅行」を楽しんでいただくことを目指しています。
その食のプチ旅行を通して、その地域のファンになっていただき、ゆくゆくはその土地に訪れていただくきっかけになれば…。そんなことを考えながら、各営業所にいるスタッフが農家さんのところに足を運び、お野菜をいただいて自ら味を確かめ、その地域のストーリーを伺う。そんな取り組みを行っています。
野菜は旬がある商品。提供できる量と期間に制限が
野菜には旬があります。収穫時期が本当に限られているのです。
イシイは「イシイのミートボール」や「イシイのハンバーグ」など、年間通して作られる毎日食べられる価格の安定した商品作りに取り組んでいますが、「地域と旬」の取り組みではそのようにはいきません。
イシイのページをみていただくとわかるのですが、「今年の販売は終了しました」という商品もちらほら。
こんな大量生産できないものだからこそ他の食品会社も手を出しづらいのが現実です。そこをあえて取り組むのがイシイ。産地ごとの素材のうまさを引き出せる調理法を考え、一つひとつの商品に力を入れています。
これこそ、イシイの企業理念にもある「地球にやさしく、おいしさと安全の一体化を図りお客様満足に全力を傾ける。」の体現なのです。
イシイと一緒に取り組む農家のみなさま
大正時代から栽培が始まったと言われている「あいちの伝統野菜」である「木之山(このやま)五寸にんじん」を作っている山口さん。名前の通り「5寸(約15センチメートル)」という短いにんじんに甘みが詰まっています。特徴は加熱したときにより引き立つ甘みと柔らかさ。それは口の中で溶けるほどと言われています。
このにんじんを生産する農家さんは、残すところわずか数件。イシイとの取り組みを通して木之山地域そのものの魅力発信にもつなげたいとお話しされています。
京都府亀岡市曽我部町で生産されている〇曽(まるそ)玉ねぎをつくる酒井さん。この玉ねぎは昭和30年代半ばまでは盛んに栽培されていましたが、農業人口の減少と共に、今では「幻の玉ねぎ」とまで呼ばれるようになってしまいました。この玉ねぎの特徴は「乾燥」という工程。乾燥させる前は辛味があるのですが、湿度のこもらない風通しのよい吊り小屋で乾燥されることで、おいしさが凝縮されます。幻と呼ばれるだけある美味しい玉ねぎを残すため、イシイは一緒に取り組んでいるのです。
イシイの目的は、商品の販売はもちろんありますが、農家の方とWin-Winの関係を築くことです。農家の方にもしっかりと利益を受け取っていただくことができなければ、農業の存続はできません。だからこそ、毎日食べられるイシイのミートボール…とは少し異なり、価格もちょっとお高めです。それだけこだわりの地域野菜を発掘してきているということが伝われば幸いです。