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2019年から復活!京都府亀岡市曽我部町のブランド「まる曽玉ねぎ」の農家さん・地域のみなさんとの取り組み

石井食品は、「地域と旬」の取り組みのもと、日本各地で発掘した旬の食材をもっと広く知っていただくための活動を行っています。7月は玉ねぎの収穫が行われる季節。石井食品のスタッフも、西へ東へ、玉ねぎの収穫祭にお邪魔させていただきました。

玉ねぎは北海道や兵庫県の淡路島を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、全国にその土地の特性を活かしたブランド玉ねぎがたくさんあります。

今回は、京都府亀岡市の曽我部町(そかべちょう)にて「まる曽玉ねぎ」というブランド玉ねぎを生産している酒井美明さんと、石井食品がまる曽玉ねぎの取り扱いを始めた頃からプロジェクトに携わっている大阪営業所の城井玲子さんにお話を伺いました。

まる曽玉ねぎの長い歴史〜令和に復活した伝統ある玉ねぎ〜

まる曽玉ねぎの歴史は長く、昭和30年頃まで遡ります。当時、曽我部町は新たな特産品を作ろうと取り組んでおり、農協の組合長が「なす」「にんじん」「玉ねぎ」の3つの候補を挙げたのだそうです。
その中から、最も優れた特産品に育てられるという結論に至ったのが「玉ねぎ」でした。ここから玉ねぎの生産に注力したのが「まる曽玉ねぎ」の始まりです。生産に注力した結果「まる曽玉ねぎ」の評判は瞬く間に広まり、京都の中央市場に出した際には「淡路にも北海道にも負けない!」とお墨付きをいただけるほどのブランドとして昭和37〜38年頃に生産のピークを迎えました。盛んに生産される特産品だったものの、その後の後継者不足のために生産量は大きく減少しています。

そんな中、亀岡市では圃場整備(ほじょうせいび)を進める話が持ち上がりました。これは、農業を効率よく継続するため、農耕機が入りづらい小さな畑の区画を変更し、機械化を進めて生産性を上げるための取り組みです。亀岡市は総力を上げて協議会や営農組織を立ち上げ着々と準備を進めました。

この整備した農地を使って生産量を拡大するのは、どの農作物にすべきだろうか。考えた末に、亀岡市として増産を決めたのが「まる曽玉ねぎ」でした。

まる曽玉ねぎ生産者と石井食品従業員

しかし、単に生産量を増やしても、まる曽玉ねぎの知名度が上がらなければ、全国にそのおいしさは広まりません。
そのため、亀岡市長の発案で「加工品作りにも同時に力を入れる」という方針を打ち立てました。そこでタッグを組むことになったのが近隣の京都府船井郡京丹波町に工場を持っている石井食品だったのです。

生産者 酒井さんのお話〜定年退職後に始めたまる曽玉ねぎ生産~

酒井美明さん
まる曽玉ねぎを栽培する農家たちによる営農組織「〇曽れい仙の郷」の代表。定年退職後、60代からまる曽玉ねぎの生産に関わる。

— 他の地域にはないまる曽玉ねぎの特長は何でしょうか?

まる曽玉ねぎの特長といえば、やはり伝統的な乾燥方法である「吊るし」の工程です。これは収穫した玉ねぎを吊るして干し、甘さを凝縮させる工程です。収穫時は糖度が8度程度のまる曽玉ねぎですが、干すことにより10度程度まで上がります。この吊るし玉ねぎの小屋は収穫時期に見られる風物詩です。

生産量がピークだった昭和37〜38年頃は、この吊り小屋が300もありました。1つの小屋で5トンの玉ねぎが干されていると考えると、全部で1,500トン。今では考えられないほど大量の玉ねぎを生産していましたね。

まる曽玉ねぎ吊るし小屋

— ピークから徐々に生産量が減ってきてしまったのはどのような理由でしょうか。

後継者不足が大きな理由です。農家の子ども世代は、学校卒業したら農家ではなく、収入が気候に左右されない安定したサラリーマンになる人が増えていきました。時代の流れなので仕方がないです。

しかし、そのころ生まれた団塊世代で、定年退職後に亀岡市に帰ってきて、農業を始めてくれた人もいますよ。私も定年退職後に農家を始めたので、その一人です。最近では東京から移住して就農してくれた方もいますよ。

— 「まる曽玉ねぎ」の名前の由来についてはご存知ですか?
私が農家になった時にはすでにまる曽玉ねぎと呼ばれていましたね。その頃から玉ねぎを運搬する箱に「〇曽」の文字が印字されていました。

— これからまる曽玉ねぎをどのようにしていきたいでしょうか。

生産と販路ともに今以上に拡大してほしいですね。農家は年々高齢化しています。だからこそ地元の小学生へ伝える活動にも力を入れています。学校給食で石井食品の『京都亀岡市曽我部町のまる曽玉ねぎをハンバーグ』を食べてくれたことから、小学生のみなさんのまる曽玉ねぎに対する興味はどんどん強くなってくれているようで、今では3年生が「まる曽玉ねぎプロジェクト」まで立ち上げてくれています。

最近はまる曽玉ねぎのキャラクター作りが町をあげて行われています。キャラクターの名前付けのために、生徒さんたちがまる曽玉ねぎをより知ろうとしてくれるので、指導する先生方までまる曽玉ねぎを学び始めました。今度、先生向けに講演をしに行く予定です。

このような活動を通じて、一人でもまる曽玉ねぎに興味を持ってくれる人を増やしていきたいです。

— 酒井さん、ありがとうございました!

石井食品 城井さんのお話〜2019年のまる曽玉ねぎプロジェクト立ち上げメンバー

城井 玲子
石井食品(株) 大阪営業所所属。短大卒業後、石井食品に事務担当として入社し、勤続30年以上。学生時代は食品化学コースで食品の勉強に励む。働き始めてからも、調理師資格や野菜ソムリエ(旧ジュニア野菜ソムリエ)の資格を取得するなど、食への探求心はつきない。

— まる曽玉ねぎとは、どのようなきっかけでご縁ができたのでしょうか。
亀岡市長からのお声がけがあってのことです。まる曽玉ねぎの生産量を上げるにあたり、加工品もセットで開発・販売していきたいとの相談をいただきました。そこで石井食品がハンバーグを作ることになり、せっかく開発するのであれば地元に親しまれる味にしたいという思いがあったので、農家さんと相談した結果、明治時代から亀岡の地で醤油を作り続けている竹岡醤油さん(※)ともタッグを組むことになり、ハンバーグの味が決まりました。

※竹岡醤油株式会社
明治3年創業の亀岡市の醤油メーカー。醤油業界では唯一、蔵内全体にモーツァルトをBGMとして流しており、「モーツァルトが醸したしょうゆ」ブランドとしても有名。

竹岡醤油株式会社ホームページより

— 他の地域の玉ねぎもたくさん取り扱わせていただいている石井食品ですが、城井さんが感じるまる曽玉ねぎの特長はなんですか?

曽我部町は、寒暖差があるエリアで、霧がかかることもあります。その寒さでおいしさがぎゅっと詰まっている印象です。玉ねぎの茎の部分を長めに残して束にし、吊り小屋で1〜2ヶ月自然乾燥させることで甘みを凝縮させています。

生のままだと少し辛味が強いので、加熱して食べるのがおすすめです。加熱してもしっかり食感が残るので、輪切りにしてソテーで食べることを農家さんからはお勧めされました。私はよくポン酢でいただいています。こんな特徴の玉ねぎで作ったハンバーグは、ソースに使われている玉ねぎもシャキシャキなので、ぜひ食感を楽しんでほしいですね。

— まる曽玉ねぎのプロジェクトも5年目になりました。この5年間でどんな変化がありましたか?
初めは4つの集落で始まったまる曽玉ねぎの生産も、6つの集落で生産されるようになりました。後継者問題により、今年はハンバーグ用の玉ねぎ生産に参加できない集落もありましたが、当初より農家さんが増えているということは、生産しても売り先があるという安心感を農家さんが持てている証拠なので、いい兆しですね。

— 他にも学校との食育の取り組みも生まれたと聞いています。

昨年は曽我部小学校の給食に、石井食品のまる曽玉ねぎハンバーグを採用していただきました。生徒さんたちから「ハンバーグおいしい!」「玉ねぎを作ってみたい!」と声があがったのが本当に嬉しかったです。

食べるだけでなく、積極的にまる曽玉ねぎについても学んでくれていて、特に3年生は、校内放送でまる曽玉ねぎについて調べたことを伝える活動も行ってくれました。今年からは「まる曽玉ねぎプロジェクト」としてより深く勉強してもらえるようです。活動の中で「将来農家になりたい」と言ってくれる生徒さんまでいました。いつか生徒さんの中から、まる曽玉ねぎを引き継いでくれる人が出てきたら最高ですね。

この他にも、京都先端科学大学の京都亀岡キャンパスの学生食堂で、期間限定で石井食品のハンバーグを出していただけることも決まっています。少しずつ地元で愛着を持ってくださる人を増やしていきたいですね。

— これから石井食品として、まる曽玉ねぎとどのように関わっていきたいですか?曽我部町に対する思いを教えてください。

まる曽玉ねぎと出会ってから、播種(はしゅ/種まき)、機械定植(ていしょく)から収穫、皮剥きまで、一通りの工程を農家さんと一緒に体験させて頂きました。農家さんのご苦労を肌で感じたことで、玉ねぎの端の端まで捨てずに食べる意識が芽生えました。

農家さんとも直接、何度もコミュニケーションするので、思い入れがあります。
石井食品の「地域と旬」のプロジェクトとしては、安心安全なものを適正価格で取引し、農家さん、地域の皆さん、そしてご購入くださるお客様のみなさんが喜ぶことを実行するのが仕事です。実のところ昔は京都の市場でしか出回らず珍重品だったまる曽玉ねぎですが、石井食品としても協力し、淡路島産の玉ねぎと並ぶような全国ブランドに育て、地域を盛り上げていけたら嬉しいです。

— 城井さん、ありがとうございました!

『京都亀岡市曽我部町のまる曽玉ねぎを使ったハンバーグ オニオンソース』は好評販売中!

玉ねぎのカットサイズにまでこだわりました!
とろりとしたコクのあるオニオンソースによく絡むよう、改良を重ねて完成したハンバーグです。ふんわり食感のなかにシャキシャキした玉ねぎを感じられます。

調味料には地元亀岡の竹岡醤油を使用し、コクと甘みがありながら、さっぱり食べやすい仕上がりです。玉ねぎ嫌いなお子様でも食べられた!というお声をいただいています。

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